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【映画】湊かなえ原作「母性」:親と子供、両方の視点から「愛情」について考える作品#152

こんにちは。

先日、noteの募集からたまたま試写会のページをみつけて、湊かなえさん原作の映画「母性」を観てきました。
今日11月23日から一般公開になります。

試写会の参加者の9割が女性で、ご家族がある方や20歳前後の永野芽郁さんファンのような方も参加されていました。
私は原作を見ずに予告編を観たのをきっかけに興味を持ち参加しました。
タイトルとポスター写真からわかるように「母と子」の関係が描かれている作品という前情報だけでも、とても見応えのある作品でした。

映画「母性」の見どころについて今回は書きます。

試写会でいただいたパンフレット

同一シーンを2人の視点から描く中で際立つ演技力

「母性」は母親(戸田恵梨香さん)からの視点と、娘役(永野芽郁さん)の両方の視点から描かれています。

その中で、同一の場面でお互いがどのように見えていたのか、受け取っていたのかが随所に出てくるのですが、戸田恵梨香さんの演技力がとても印象に残りました。

出典:映画.com

上と下の写真が母親と娘で、受け取ったもの、与えたことが食い違っているのがよくわかるシーンでした。

(上)娘の視点
祖母へプレゼントをお願いした時に、祖母への深い愛から「なぜそんなことを言ったのか」と母親に厳しく迫られている

(下)母親の視点
娘が祖母へプレゼントをお願いした時に、祖母がどうやったらもっと喜んでくれるのかを娘に提案している

出典:映画.com

この場面以外にも、母親と娘で受け取ったもの、与えたことが食い違うシーンが随所に描かれており、戸田恵梨香さんの表情と感情を表現しているのも見所の1つだと思いました。

母親、娘、祖母、義母の異なる愛情のかたち

出典:映画.com

母親に対する祖母(大地真央さん)義母(高畑純子さん)の関わりも見所の1つです。

映画「母性」は、母親、娘、祖母、義母の4人が中心となっている作品だと思いました。
それぞれの役が際立っていたからこそ、それぞれが抱く「愛情(母性)」というのを強く描いているように感じました。

祖母からの愛が娘に向けられていることに、嫉妬する母親
義母からの苦言から母親を守ろうとして、母親から咎められる娘
母親と娘のどちらに対しても、愛情をもって接する祖母
自分の子供とは対照的に、いつも母親を苦言を言い続ける義母

娘の立場が私の場合は想像しやすかったのですが、
母親だけでなく、この家族関係だったら「逃げ出しているかも。。」と思うシーンも多かったです。

まとめ

観終わった後に感じたことは
母親と娘、どちらの視点からみたものが真実なのかというよりも、
母と娘2人の関係がどう変化してきたのか
求めあう関係は、お互いを窮屈にする
というのが印象に残りました。

最後に娘から母親に連絡を入れるシーンでも、「仲良くなったのか」「母親の期待に応えたのか」どちらなのかを考えさせられました。

私は、祖母の母親に対する愛情のかたちが、理想の1つのように思いました。

私はまだ結婚しておらず子供もいないので、家族を持ってから観るとまた違う事を感じられるのかなとも思いました。
次また観るときは、母親か娘の立場で最初から最後まで観て、3回目に答えあわせを自分でしてみようと思います。

■作品情報

試写会にて

監督       :廣木隆一
原作       :湊かなえ
メインキャスト:戸田恵梨香(ルミ子)
        永野芽郁(清佳)
        三浦誠己(ルミ子の夫)
        大地真央(ルミ子の母)
        高畑純子(ルミ子の義母)

ベストセラー作家・湊かなえの同名小説を映画化し、戸田恵梨香と永野芽郁が母娘役を演じたミステリードラマ。ある未解決事件の顛末を、“娘を愛せない母”と“母に愛されたい娘”それぞれの視点から振り返り、やがて真実にたどり着くまでを描き出す。
女子高生が自宅の庭で死亡する事件が起きた。発見したのは少女の母で、事故なのか自殺なのか真相は不明なまま。物語は、悲劇に至るまでの過去を母と娘のそれぞれの視点から振り返っていくが、同じ時間・同じ出来事を回想しているはずなのに、その内容は次第に食い違っていく。

出典:映画.com


枡田泰明

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