参加者の声:「声を聴き、怖さに飛び込むことで変化はつくれる」
はじめまして。わたしはiLEAP主催の「気候変動とフードシステム」のプログラムに参加した京都在住の大学4年生Kuniといいます。オンラインセッションと栃木県那須塩原市にあるアジア学院での学びを短い体験記としてシェアさせて頂きます。
このプログラムに携わってくださった皆様への間接的な恩返しと、読んでくださる皆様の新しい気付きや変化の入り口になれたら幸いです。
【参加動機】
わたしがこのプログラムに参加を決めた理由は「気候危機の本質的な問題を知りたい」という純粋なものでした。シアトル留学中に知ったiLEAPさんが運営をされリーダーシップの側面からも課題について考えられる、という事もわたしにとっては参加の大きな理由でした。オンラインセッションが朝の6時から始まる、すべて英語で行われる、など懸念の面もありましたが、そのドキドキ感も心地よく意を決して応募を決めました。
【フェーズ1】
最初のフェーズはオンラインで行われました。顔合わせセッションが事前に行われていたため、初日からリラックスして臨めました。
よいリーダーの資質と役割
気候危機に関する語彙と数字
食の生産から消費においてのエネルギーの出入
など対話を中心に気候危機の根底にある問題と個人の在り方について学びを進めました。なかでも印象深いものは、自分の潜在的な価値観(core value)を見つける、というものでした。感覚的に大切にしている価値観でも、そこに名前がつくと大切にしたい自分らしさをより意識することができました。
わたしの場合は「authenticity (真の自分)」を大切にしている事がわかりました。セッション中に他の参加者の方が大切にしている価値観や理由を知れた事もよかったです。(当たり前なのかもしれませんが)根底にある価値観は一人ひとり異なり、これが共感や衝突の原因にもなるのかもしれません。
【フェーズ2】
このフェーズは栃木県の那須塩原市にあるアジア学院、通称ARI (Asian Rural Institute)という場所で開催されました。アジア学院は、世界中(主に途上国とよばれる国や地域)から若い優秀なリーダーが集まり、有機農業とサーバーントリーダーシップを学ぶ類を見ない学校です。食の生産、収穫、調理、すべての工程を循環的にアジア学院で行い、製造した醤油やにんじんジュース、クッキーなどの販売もされ、食の循環が学校内だけでなく、地域を巻き込んだ経済循環につながっているところも心が惹かれました。
循環的なエサの調達と配合
家畜の病気リスク
発酵の潜在性と応用性
見えない過程の想像とヘルシーの条件
などなど書ききれないほど多くを学びましたが、特に驚いたのは、生徒の皆様の主体性です。使命感のある生徒の皆様の意欲と実行力は凄まじく、サーバントリーダーとしての傾聴と思い遣りにも優れた方々でした。
はじめてオフラインで会う他のプログラム参加者との対話も印象的でした。
初日の就寝前に1時まで「機械化(効率的)の良さ、手作業(非効率)の良さはそれぞれ何だろう」「便利になっても時間に追われるのはなぜだろう」「個人のワクワクを基準に意思決定をしてもいいのだろうか」という話をしました。
さらに2日目の夜には、論理的で意思決定が早い人でも傾聴力は必要であるし、感情的で物事を慎重に進められる人でもスピーディーに意思決定をしていく強さが求められるといった話をしました。自分とは異なる価値観の方々と疑問を深めることで「潜在的な自分らしさ」に気付ける事に対話の魅力を感じました。
ARIでの学びは毎日が濃く、食から自然の尊さや命の責任を感じ、対話から分かり合えないを越える癒しを感じ、自然と人類の関係だけでなく「わたしとは何か」をじっくり考える契機となりました。
【フェーズ3】
最後のフェーズでは、今まで学んだ事を振り返り、どのような変化を自分たちのコミュニティ内で起こしていくか、について意見交換やプレゼンテーションを行いました。
わたしは「京都において、幼児期の子供たちや若い親世代が気候危機を知れる仕組みづくり」について発表しました。日々の生活でのチェックリストについてプレゼンされる方、地域からでる廃棄物からエコバッグをつくるプロジェクトを共有される方、所属するコミュニティがさらに良くなるための仕組みを共有される方など多様なアクションの形が共有されました。発表をしている時の皆さんの表情は穏やかで暖かいものでした。
【変化をつくるために】
気候危機に対するリーダーとして、多くを学ばせて頂きました。ここで全体を振り返り、わたしが思う「変化のつくり手となるための3つのステップ」を端的に綴ります。
ステップ1:動機付けをつくる
変化のつくり手となる上で「動機付け」される環境づくりが大切だと感じます。他のリーダーたちから感化されたり、地域の人たちと課題について話し合えたりする場に身を置くことが大切でしょう。
ステップ2:具体的なプランをつくる
次に、わたしたちの目的は何か、課題の原因はなにか、と問い、抽象的な目標から具体的なアクションを探ります。使用可能な資源、新しい試みのリスクなど具体的な数値で落とし込みます。
ステップ3:手でつくる
どれだけ頭で考え、データでシミュレーションを繰り返しても変化にはなりません。小さなものでもいいので手を動かし、変化を積み重ねることでインパクトの規模が大きくなります。
かなり抽象的にまとめてしまいましたが、3ステップ(仮)ということで、私自身のアクションプランの実行をもってして具体化させていきたいと思っております。
【まとめ】
このプログラムを通じ、多くの気付きや出逢いを与えていただきました。この素晴らしプログラムを支援いただいたThe Japan Foundation様、気候危機に向き合う参加者の心をオープンにし人としての可能性を見出してくださったiLEAPの皆様、忙しい日々の中濃密な体験の場を与えていただいたアジア学院の皆様、コミュニティや次世代に対する責任感を持ち飛び込まれた参加者の皆様、このプログラムに携わって頂いたすべての方々に心より感謝申し上げます。
気候危機について思考を巡らせ意見を交わせる友が世界中にできたこと、多くの問いを通じ「わたしとは何か」について深められたこと、かけがえのない貴重な経験でした。「見えないものを想う丁寧さ」と「怖くとも突き抜ける強さ」を大切にすることを誓い、わたしの体験記を終えたいと思います。
2022.11.27 Kuni
上記文章は、独立行政法人国際交流基金(The Japan Foundation)の助成金を受けて実施された「気候変動とフードシステム」についてのリーダーシッププログラムに参加してくださった方が、その経験を一人でも多くの方に伝えるために書いてくださったものです。
私たちiLEAPは、今後も「自分らしいリーダーシップこそが、真のリーダーシップ。」を掲げ、自分のリーダーシップを育てたい人、世界をより良くしていくために何をするべきなのかを常に探求している人のために、さまざまな機会をご提供して参ります。
また、学校・会社・組織向けにカスタマイズしてプログラムをご提供することも可能です。まずは下記メールアドレスまで一度お問い合わせください。
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