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サステナビリティ100

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「サステナビリティ」の観点で優れた事例を収集し解説します。 環境分野だけではなく、社会活動や企業活動、日常生活まで、広い分野で事例収集しています。
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#脱炭素

熱水噴出孔周辺の生態系:太陽に依存しない、小規模で独自の生態系が深海に存在している。 (CASE: 76/100)

▲「熱水噴出孔周辺の生態系」とサステナビリティ 「地球外生命」の存在について、個人的に小さい頃からとても興味があります。いまだその確証は科学的には発見されていませんが、その存在が未来の世界において確認された時の自分の衝撃を、あたかもリハーサルしたかのような出来事がありました。 私は大学4年の夏季休暇中に、海洋研究開発機構(JAMSTEC/ジャムステック)が主催する短期間の教育プログラムに参加しました。大学では物理学を学んでいましたが、海洋科学に興味のある友人に強く誘われて

固形シャンプー:液体を固体にすることで容器が不要に (CASE: 34/100)

▲「固形シャンプー」とサステナビリティ シャンプーは液体である、という常識は覆されつつあります。 固形シャンプーとは、その名の通り、固形石鹸と同じ見た目をしたシャンプーです。髪を濡らし、直接シャンプーを頭皮につけたのち、手で泡立てて使います。 私の住むドイツでは、写真のようにすでに多様なブランドから異なる髪質・頭皮向けに商品が開発されており、紙のパッケージに入れられて、ごく普通にドラッグストアの棚に並んでいます。 消費者のエコ意識の高まりからこの数年で普及が進みましたが、日

重力蓄電:余剰な電気を使って持ち上げ、必要なときには降ろして発電 (CASE: 21/100)

▲「重力蓄電」とサステナビリティ 中学校の理科の授業で初登場した言葉、「運動エネルギー」と「位置エネルギー」を、皆さんは覚えていますか。たとえば、斜面の上からボールを転がすと、下にいくにしたがってボールのスピードが増していきます。この現象は、ボールが高い位置にあった際に持っていた「位置エネルギー」を、低い位置にいくにしたがって「運動エネルギー」に変換した現象の典型例となります。私は大学と大学院では物理学を学び研究していましたが、中学生当時は理科がそれほど得意ではなく、とても

Megloo:プラスチック容器を廃止するのではなく循環させることで持続可能な生活を(CASE 12/100)

▲「Megloo」 とサステナビリティ Megloo(メグルー)は、私が住んでいる鎌倉市で地域共通のリユース容器をみんなでシェアすることで、テイクアウト時の使い捨て容器を削減する仕組みです。 このリユース容器は、Megloo特製。通常の使い捨てテイクアウト容器に比べ、密閉性がよく持ち運んでもこぼれませんし、保温性も良く、おいしさが長持ちします。もちろん、そのままお皿としても利用でき、返却する際はテイクアウトした店舗以外でも、対応店舗ならどこでも大丈夫です。 Meglooが

自動巻きの腕時計:人の腕に寄生する半永久機関 (CASE 9/100)

▲「自動巻きの腕時計」とサステナビリティ 私の家の中で、電気を使わずに動くものは、ほとんど思いつきません。ぱっと思いついたのは、一番下の子のお気に入りのミニカーくらいでした。 いや他にもあるはずだと、必死に部屋中探してみると、機械式の腕時計、特に自動巻きの時計が目に留まり、それが家の中で、異彩を放っていることに気づきました。 腕時計の中でも、機械式のものはその駆動力に電気を用いていません。一般的には渦を巻いたようなゼンマイ形状のバネが内蔵されており、そのゼンマイを物理的な

黒電話:停電時でも使えるレジリエンスな機械 (CASE: 4/100)

▲「黒電話」とサステナビリティ 私が小学生の頃、長崎県に超大型台風が直撃し数日間にわたって停電状態が続きました。その時に、家の黒電話だけが鳴り響き、小学校が休校となることがわかりました。 あまり知られていませんが、黒電話は停電時でも利用することが出来ます。なぜなら、黒電話は、コンセントなどからの商用電源を用いておらず、電話回線からの給電により動作しているためです。そのため、電話回線が正常な場合には、停電時でも黒電話の利用が可能となっています。 さらに、気温や湿度への環境的耐

ポルシェ:古い部品も生産終了にはしない (CASE: 3/100)

▲ポルシェとサステナビリティ ポルシェは、高機能のスポーツカーを製造する会社として高い人気を誇っています。2021年は世界での新車販売台数が前年比11%増で初めて30万台を越えました。また、営業利益率は16%となっており、量産車メーカーの中ではトップレベルの実績を誇っています。(参考:トヨタ自動車の営業利益率は同期間で8.1%) ポルシェは、フラッグシップモデルとなる911をはじめとし、セダンからSUV、さらにはEVモデルへとラインナップを拡張させ、新しいユーザーを獲得す

式年遷宮:20年に一度作り直すことで、伝承を図る (CASE: 1/100)

▲式年遷宮とサステナビリティ 式年遷宮は20年に一度、東と西に並ぶ建物や全てを新しく作り直し、信仰や建物、建築技術の伝承を図る仕組みです。 建築物としては、旧社殿が現存している状況で新社殿を建築するため、隣り合った敷地に同じ構造の建築物が常に2棟存在することとなります。 式年遷宮の制度は、690年に第1回が行われました。長い歴史の間には一時の中断はあったものの、これまで20年に一度のサイクルで、約1300年の長きにわたり繰り返され、直近では2013年に62回目の遷宮が行