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冷凍庫で未来が変わる

◆ 生きてるだけそのままで尊いとか思えない

人は、やることがいっぱいある。

息してるだけじゃ死ぬし。

食べて、適度に各部位を動かして、太陽に当たったり、眠ったり、日々を彩るために少しはお金も必要で、働いて稼いで、それを使って楽しみを見つけて、とにかく何にせよ24時間なんかしてなきゃならない。

寝ることだって、体の修復作業でもあるわけだし、人間に大切な仕事。

さぼっているわけじゃない。

活動のどれかゼロにしてしまえば、自分はうまくまわらなくなり、立て直すのが大変。

だから、きつい時は、うまく比率でバランスをとろうと努力し、ひとつを完全にゼロにはしないまでも、船が嵐を乗り切るように命という海に浮かび続ける。

はー、いつまで続くの、めんどうくさい、はーつかれる。

そんな愚痴もあんまりいいこととはされてないし。

ポジティブに! 前向きに! と、世界のどこかで誰かがいつも言う。

「人生は生きているだけで尊くて、誰しも人はそのまんまで美しく素晴らしい」

そんなふうにも、どこかの誰かは言う。

いつの時代にもそれを伝える人が、どこかしらから現れる。

でも、そんなの、相当達観しないといつもいつも思えないことはわかっているし、嘘かもしれないし、真実はつきとめようがないし、けど、そう思おうとしたり、思えないと自分を責めたり。

人はそのまんまで美しいとか、思うだけで人生が素敵にどうこうみたいな自己啓発本みたいなものもいっぱい出ているけれど、読めど読めど根拠がなくて、お腹にたまらないふわふわした楽な空気みたいなものを食べているようで、時間をつぶすだけで、心の骨や筋肉にはならないから人生を動かす足しにもならん。

そうこうしているうちに、疫病が流行って、自分がそれにかかるかかからないかは誰にもわからないけれど、行動の制限と、環境の変化と、え……え……え……。

みたいなことに、前の私じゃあなっていただろうなと思います。

え……え……となる私が消えたわけじゃないし、それなりに不安や、うんざりするような辛いこともあるものの、やっぱりそこそこ図太くなっていて、心はズルムケでも時としてヨレヨレでも今生きている。

そして、飯を食い、寝て起きて、こうして文字で時間を埋めているわけです。

そんな私が、もしこの世から消えたらどうなるんだろう。

そんなことを考えた時に、最初に浮かんだ家電があります。

それは冷凍庫でした。

そこから見えてくる世界は、あまりにもリアルで、そして何よりこれから先の人生に役たちそうで、面白かったです。

「人生ってさあ、なんかよう、なんだかよう、うまくいえないけどよう、はあ、ふう、んー、あのさあ、いやなんでもない、なんだかよう」

みたいな気持ちになった時、今を変える力が欲しくなったらこの記事をぜひ味方にしてもらえたらなあと心を込めて書いてみました。

お楽しみください。

◆ ただの調味料だったはずなのに

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