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一億総野生的思考時代

皆さんは、「ブリコラージュ」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
日本語に置き換えると「野生的思考」と表現され、計画的・論理的・規則的に物事を進める、現代の世界秩序が保たれていることを前提とした人間の行動原則や組織体系である「科学的思考」(エンジニアリング)とは正反対の概念です。
※詳しく理解したい方はWikipediaを参照ください。

ー科学的思考と野生的思考ー

ここ1-2年で、起業家育成や組織改革の文脈において、
「ブリコラージュ」
「セレンディピティ」
「エフェクチュエーション」
といった、一見すると非科学的な概念を取り入れることの重要性が提唱されていることにお気づきの方も多いのではないかと思います。

「確実性が高く秩序が保たれていること」が前提にあった社会において、科学的思考(エンジニアリング)こそが正しい行動様式と考えられてきたこれまでの時代背景から、VUCA(※1)の時代に突入し、「不確実性が高く無秩序になりつつある」社会において、ブリコラージュ(野生的思考)の重要性を認識し、行動する人が増えてきた背景があるのだと考えられます。

ー(※1)VUCAー
※出典元:NECソリューションイノベーター

2021年に僕が書いた記事「"良い偶然"を引き寄せる習慣」では、計画的偶発性の是非について論じていますが、ここではおおよそブリコラージュ(野生的思考)のことを自分の原体験から述べています。

科学的思考(エンジニアリング)、野生的思考(ブリコラージュ)。
どちらが良くてどちらが悪いかという話ではありません。

ただ、ちっぽけな自分でも1μワットくらいの影響力があるのなら、「行き過ぎた計画的・規則的・論理的思考前提の思想や行動、組織のあり方」だけではVUCAの時代においてはちょっとまずいんじゃないか?という警鐘を世の中に鳴らしたいわけです。

僕のことを知っている人は、いかにも鈴木が言いそうなことだと苦笑しているかもしれません(汗)

僕は野生的思考の持ち主であり、計画的に・論理的に・規則的に計画された物事をひとつひとつこなしていくことがあまり好きではありません。
ゆえに、組織においては無秩序で無責任でいい加減な生き物と見られているフシもあると思います。

確かに、組織やプロジェクトが大きければ大きいほど、科学的思考(エンジニアリング)ベースで仕事を進めていかなければ体を成さない構造になっている現代の企業/組織がほとんどですし、僕たちはそういう社会が前提の教育を受けて育っていますから、まずもって科学的思考が至極真っ当な考え方、行動様式であるというのがマジョリティの捉え方であることは言うまでもありません。

でもちょっと考えてみてください。
例えば僕のように、一般的に転職市場では不利である40代の会社員がある日突然「会社の解散」を宣言され、フリーランスとして食べていかなければならない局面になったとしたら?

世の中の多くの会社が副業解禁をしている(=ずっと面倒見きれない可能性高いから自分たちでもなんとかしてねのメッセージ)中で、顧客や上司から与えられた科学的思考の仕事をこなすだけしかできなかったら結構危なくないか?と思わないでしょうか?

とはいえ、組織というものが無くなることはないので、科学的思考的働き方の存在価値が無くなるわけではありませんし、科学的思考的働き方を選んで組織に属する人生を選ぶのも全然悪くないし自由です。
何より、僕のような野生的思考の生き物が組織に存在できているのはまぎれもなく科学的思考の人に助けてもらっているおかげであり、頭が上がりません。

ただ、例えば最近増えているフリーランスのコンソーシアム、はたまた、ギルド型ユニットによるプロジェクトなど、小規模組織が今後圧倒的に増えていく未来が僕には見えております。
今よりさらに、できる人ほど独立する未来が。

そこで重要なのが、ブリコラージュ(野生的思考)を持ち合わせた人材なのではないかと思うわけです。
野生的思考・科学的思考を自己の中に良いバランスで共存させ、場面によって使い分けたり、小規模組織においても野生的思考人と科学的思考人を良いバランスで配置したりというのがベストなのかもしれません。

「視野が狭まっているなー」と思ったら、自分が所属するいつもの職場のいつものメンバーとのいつもの仕事から、少し視野を広げて、

・今の自分と関係ない業界の情報に触れてみる
・社外の人との出会いの場に足を運んでみる
・小銭稼ぎでもいいので自分でビジネスを作ってみる

そんなことを心がけてみるのもいいかもしれませんね。

お読みいただきありがとうございました。

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