かつて、黒澤明監督がこんなことを言っていた。 「日本が欧米に比べ、一番劣っているのは、監督でも脚本家でも俳優でもなく、プロデューサーだ」 この短編小説は、映画の企画を実現する為に奔走する、そんなプロデューサーの奮闘を描いた物語です。 江島竜次は、映画が作りたくて大東映画に入ったのだが、彼が大東映画に入社した1975年当時、映画は斜陽産業と言われ、かつての輝きを失いつつあったので、テレビ部に配属になった。 彼は、プロデューサーになるや、次々とヒット作を制作し、業界人から
では、小説家として世に出るにはどうすればいいでしょう? 一番最初に思いつくのは、大手出版社が主催している、小説の新人コンクールに応募することでしょう。しかし、これがなかなかの難関です。何故なら、日本中の腕に覚えのある作家志望者たちが応募してくるのですから、その中から頂点を勝ち取るのは、至難の業と言っていいでしょう。“汝、力を尽くして狭き門より入れ”という言葉がありますが、小説コンクールに限って言えば、一人しか頂点に立てないので超狭き門です。 運良く入選したとしても、五木
一般論ばかりだと面白くないでしょうから、多少方法論も書いておきます。 我々人間は、他の動物と違い、言葉を話したり、書いたりすることで文明というものを作り上げて、現在の繁栄を築きました。 言葉を話したり、書いたりするという行為は、赤ちゃんの時期から、家庭という集団で育つことと、学校教育という場で覚えていきます。 我々日本人は、やる気と方法さえ間違えなければ、英語、中国語、韓国語、フランス語と他国の言葉でも話したり、書くことができるようになります。それと同じことで、文章が
目次 (一)Creator(創作者) (二)実戦的小説習得法 (三)小説家になる!! (一)Creator(創作者) 先日投稿しました「あなたも、3年でプロのシナリオライターになれる!!』(コンクール編)(売り込み編)(依頼・紹介編)三部作の小説家版です。それゆえ、シナリオライターと小説家の比較論になる場合がありますのでご容赦ください。 シナリオと小説は表現形式が違うとはいえ、事実を追求するノンフィクションと違い、フィクション(虚構)というジャンルに分類される、人間や人
(コンクール編)(売り込み編)でも書きましたように、 「何人の人を知っているかではなく、何人の人に知られているか」 が、成功のカギです。 念願のシナリオライターデビューを果たした後、 「最近、いろんな所で、君の名前を聞くようになったよ」 と直居先生に言われたときは、ジーンときて涙が出そうになったほど、うれしかったものです。 倉本聰作品流に言うと、「グッときていた-----!!」というところでしょうか。 この業界は、人に名前を認知されることが必要です。企業がテレビコマ
話がかなりそれてしまいましたので、元に戻します──。 結局、私の書いたその小説は映像化されなかったのですが、そのプロデューサーが私の才能を高く買ってくれ、知り合いの東京電力の社内番組を制作している制作会社の社長を紹介してくれました。 幸運にも、今、東京電力の各施設(横須賀の火力発電所、高輪のお寺の下にある地下変電所-----etc.)をドラマ仕立てで紹介するPRビデオを作る企画があり、シナリオライターを探しているということでした。 その話は、トントン拍子に進み
しかし、運命の女神は、いつ、どこで微笑んでくれるか分かりません。 ある日、家に帰ると留守番電話のランプが点滅していました。また何かの勧誘か、アンケート調査の依頼だろうと思いながら何気なく再生すると、 「ある人に、あなたの書かれた小説が面白いということを聞いたのですが、是非、その作品を読ませていただけないでしょうか」 と、メッセージが入っていました。 その電話は、あるテレビ制作会社のプロデューサーからでした。あとで知ったことですが、その制作会社に私の小説を紹介してくれた
前回、『売り込み編』でも書きましたが、リード(導入部)が長いというのが私の欠点なので、今回は寄り道をしないで、早速本題から入ります。 私の経験上、私もそうであったように、デビューの仕方では、『依頼・紹介』という今回の方法が一番安全かつ、確実だと思われます。 私の場合、一応テレビ局主催のメジャーな新人シナリオコンクール受賞者ですが、フジテレビのヤングシナリオ大賞と違い、他のシナリオコンクール同様、単なるイベントになっていて、フォローはありませんでした。フォローがあれば
やはり、人に頼るより、自分の事は自分でやった方がいいと思い直し、初心に帰って、個人営業を再開しました。 某大手映画会社のテレビ部に、以前からつき合いのあるプロデューサーがいたので、その人に企画書を持っていくと、しばらくして電話連絡があり、 「この企画、面白いので、フジテレビの夜10時の連続ドラマの枠に持っていきます」 と具体的な色よい返事がありました。 その企画書は、シナリオを習っていた先生にも見せたら、 「この企画、面白いから、どこかに持っていったら通るよ」 と言
一般社会の売り込みと言えば、不動産、車、生命保険がありますが、この業界の売り込む商品は、テレビドラマ、映画と言った、映像の基となる企画書です。 いい企画を考えて、何人もの制作会社の人が読んで、「面白い。すぐに映像化できる」と絶賛されても、即あなたに脚本執筆の依頼が来ることは、ほとんどありません。 「悪い、僕はあなたに脚本を書いてもらうつもりだったんだけど、局のプロデューサーがどうしても視聴率的に、名のあるシナリオライターがいいって言うんだ。だから、今回は泣いて。次回で必ず
営業は、商品を売り込むだけではなく、自分を売り込むことでもあります。相手に気に入ってもらえないと、次はないと思って下さい。真剣勝負のつもりで、気を抜かないで対面して下さい。不用意なたった一言が命取りになります。極力、嫌われることは慎みましょう。それが、売り込みの基本です。 営業の基本は、饒舌(じょうぜつ)ではなく、相手の話をよく聞くことです。相手が話し終わったのを見計らって、タイミングよく、こちらの言い分をさり気なく言うと、すんなり受け入れられます。“自分が自分が”では、
さて前置きが長くなりましたが、この回の本題に入ります。 リード(導入部)が長いのが、私の欠点ということなので-----。 コンクールの次のデビュー方法といえば、売り込みでしょう。 しかし、この売り込みという方法も、コンクール同様、向き不向きがあります。 私も以前、某大手飲料メーカーの飛び込み営業の仕事をしていたことがあり、赤字だった販売所を1ヶ月で黒字にしたほどの営業力がありましたが、この業界はガードが堅く、テレビ局に飛び込みで企画の売り込みに行っても、入り口に守衛がい
『コンクール編』で書きました通り、コンクール入選は、この業界へのパスポート、つまりシナリオがある程度書けるという証明書にはなりますが、即デビューとはなりません。私の知る限り、コンクール入選後、永遠にデビューできなかったという人の方が多いと思われます。 フジテレビのヤングシナリオ大賞を除いては、 「入選おめでとうございます。では、お元気で」 で、お終(しま)いです。その後のフォローはありません。それが実情です。 私の場合も、テレビ局主催のメジャーな新人シナリオコンクールに
この記事のタイトル通り、3年でプロのシナリオライターとしてデビューするために、あなたが真っ先にすべき事は、シナリオの入門書を買ってきて、独学でシナリオを書くことではなく、いいシナリオコーチ(師匠)に出会うことです。 その前にいかほどのものが書けるか、腕試しに独学でシナリオを書いてもいいのですが、撮影現場では一行たりとも使えないシナリオが出来上がるだけです。それは、時間とエネルギーの無駄です。 いいシナリオコーチ(師匠)との出会いがなければ、3年でプロのシナリオライターに
現在、日本のテレビ業界では、20人くらいのトップクラスのシナリオライターを、各テレビ局で奪い合っている状態です。 では、トップクラスのシナリオライターになるためには、どうすればいいでしょう? 子供の頃からの豊富な読書量、それ以降の豊富な人生経験、そして、これが一番肝心なことですが、いいコーチ(師匠)に出会うことです。 このどれが欠けても、トップクラスのシナリオライターになるのは無理でしょう。 さらに、“御三家”と言われた、倉本聰、山田太一、早坂暁といった、その上に“
現代社会は出版不況と言われているように、活字社会ではなく映像社会ですから、メジャーなシナリオコンクールともなると、小説コンクールのように数百人の応募数ではなく、千人を超える活況です。賞金額も小説だと、せいぜい50万円から100万円ですが、フジテレビのヤングシナリオ大賞などは300万円です。 当然、それを勝ち抜いて頂点である大賞を獲得するのは、並大抵のことではありません。 今や、シナリオコンクールで入選するのは、応募数の多さからしてもハイレベルで、小説の世界で、芥川賞、直