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『24─TWENTY FOUR─』

7月2日1時59分から2時59分まで放送された、アメリカの連続ドラマ『24 シーズン1』が終了しました。
月曜日の深夜に放送されていたこの番組を、毎回楽しみにしていたので、今週からどうしていいか----『24』ロスです。

1月16日から始まったのですが、知らなくて1回目を見逃してしまい、2回目から録画して見始めました。
てっきり一番新しいシーズン8かと思っていたら、シーズン1でしたが、以前フジテレビで深夜にやっていたとき、シーズン1は見てなく、評判がいいので2から見た記憶があります。
24時間の出来事を、リアルタイムで1話1時間ごとに24話放送するなんて、正にグッドアイデアです。そのことを思いついた時点で、このドラマの制作者たちは、このドラマのヒットを予感したことでしょう。
事実、世界各国で放送され、世界的人気作品になり、レンタルビデオ店では人気ナンバーワンだったそうですが、それも頷けます。
主人公のテロ対策ユニットCTUの捜査官、ジャック・バウアー役のキーファー・サザーランドは、このドラマでゴールデングローブ賞ドラマシリーズ部門の主演男優賞を受賞。2004年には、作品賞も受賞しています。
こんなに面白い作品なら、日本でもゴールデンタイムでやればいいのにと思いますが、これだけ面白い作品をゴールデンタイムでやって、視聴率30%40%獲ったのでは、日本のドラマの立場がなくなってしまうでしょう。
今年の1月7日(日)NHK23時~24時に最終回が放送されたイタリアの連続ドラマ『DOC~あすへのカルテ~シーズン2』も面白かったし(2022.11.5ブログ『NHK海外ドラマ「DOG(ドック)~あすへのカルテ』http://ameblo.jp/ikusy-601/)、以前NHKで放送された韓流ドラマ、『冬のソナタ』『チャングムの誓い』も、ストーリーが面白いだけではなくて、出演している役者さんたちが、自分に与えられた役をよく理解して演じていたからでしょう。
演技のうまい下手は、シナリオライターが練りに練ったその与えられた役に、いかに近づいているかです。つまり、演技者の集中力です。それができていれば、見ている我々もそのドラマの世界に、ついつい引き込まれていきます。
日本のドラマでも、昨年脚本家の山田太一さんが亡くなり、12月30日深夜0時44分~2時15分に放送された、「山田太一さんをしのんで、ドラマスペシャル『今朝の秋』」などは、アクションドラマやサスペンスドラマのように、メリハリがないのにもかかわらず、内容の切迫感に引き込まれて、いつもは録画していたのをこま切れに見るのですが、一気に見てしまいました。
<さすが、超一流の脚本家のドラマツルギーは違うなあ---->と、思ったものです。
「離婚から時が経ち、人生の秋を迎えた元夫婦が一人息子の死を目前に再会。一家の思い出の地・蓼科で最後のひとときを過ごすなか、失われた家族の絆がよみがえる----。老いと人生の機微を描いた名作」というキャッチコピーの、1987年11月28日に放送された、珠玉の名作ドラマです。
元夫婦役を演じるのが、二人の名優、杉村春子と笠智衆。
その二人の丁々発止の演技が、まるで舞台劇を見ているようで、一心不乱に見入ってしまいました。
その点、最近のドラマや映画を見ていると、役者の演技力が同好会レベルで、個性的俳優と言われている人も、それは大いなる勘違いで、個性ではなく癖、それも悪い癖で、本来ならば矯正されるべきものなのに、個性と勘違いしているところが多々見受けられます。メソッド演技で知られる世界で最も成功した俳優学校、ニューヨーク・アクターズスタジオならば、「まず、今あなたが、自分の個性だと思い込んでいるものを解体することから始めなさい。その後、もっと大きな個性を作り上げましょう」と教えられます。
同好会だと、役者仲間の中で、一番教えるのが得意な人が教えているようで、昔の三大新劇(俳優座、文学座、劇団民藝)のように、芝居とはなんぞやということを知り尽くしていて、そのノウハウをきちんと教える人がいないようです。
そこから出てきたのが、俳優座の仲代達矢、山崎努、栗原小巻、文学座の松田優作、中村雅俊さんたちでしょう。共通しているのは、NHKの大河ドラマや黒澤明監督作品でも、主役が務まるほどスケールが大きいということです。
映画の現場でも、そのノウハウの継承がされていないようで、かつて撮影所にあったそういう継承システムが、完全に崩壊しつつあるように思われます。
それが映画界に黒澤明監督、木下惠介監督のような巨匠、名匠、三船敏郎、石原裕次郎、小林旭、高倉健、加山雄三のような、スター俳優が出現しない原因でしょう。
           
           <了>
 


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