見出し画像

ライティング初心者がはじめてインタビュー記事と向き合って得た学び

先日はじめてちゃんとインタビュー記事を書きました。予定通り(?)さまざまな落とし穴にハマり、それはもう学びが深かったので整理しておきたいと思います。

なお、具体的なアウトプットのよしあしをふりかえる記事ではなく、「インタビュー記事を書く」というほぼ初めての経験に対してのふりかえりであること、わたし自身はまだまだ以下の内容を訓練中であることをご了承ください。

インタビュー記事は、「書く」というより「魅力的に再構成する」

今回の学びを一言であらわすなら、インタビュー記事は「書く」ものというより、伝えたいことを魅力的な形で「再構成する」というイメージを持ちました。

あくまで個人的な感覚ではありますが、インタビューを「書く」ものと思っていると気づけないことがあるような気がします。
まだわたしも超入門者で言語化が難しいのですが、インタビュー記事は、インタビュイーとインタビュアーのやりとりを通じて表現されたことばとその意味を、文字という形で「再構成する」と考えたほうが、魅力のあるインタビューになるのではないかなと感じました。

そう感じたポイントを、実体験をもとにいくつか挙げたいと思います。

発言をそのまま文字にしても「文章」にはならない

初っ端から初心者丸出しですが、実際にやってみて、思っていた以上に書き手の工夫が必要であると感じました。

日本語特有の事情かもしれませんが、口頭の会話では主語や述語が抜けていても、お互いに何を話しているかわかっていれば話が通じるので、「誰が・何が」「どうした」を曖昧にしたまま会話を続けられます。
もちろん、それにツッコミを入れながら深掘りをするのがインタビュアーの役目ではあるのですが、ツッコミと回答のラリーが文章的にしたときに理想の粒度で行われるとは限りません。
また、録音を自動で文字起こししてみて、口語では思っている以上に指示語をたくさん使っていることにも気づきました。(人による個人差は当然あると思います)

会話をそのまま文字にしてしまうと、主語・述語の省略や指示語の頻発などによって、初見の読者には理解しがたい文章になってしまいます。
とくに、話し手が考えながら話す場合は、言いたいことにたどり着くまでに足がかりとなるような言葉を多く要するのでより分かりづらくなります。

話し手の話し方によっても書き手が介入する度合いは異なりますが、初見の読者に伝わる文章にするには、発された言葉のチョイスやその意味、ニュアンスをとらえながら、文章として伝わる形に変換することが書き手の重要な仕事といえそうです。

インタビュイーの言葉づかいや口調からも、「らしさ」を表現する

いっぽうで、わかりやすい文章にしつつも、インタビュイーの「らしさ」をきちんと再現することも非常に大事だと気づきました。
「らしさ」には、インタビュイーが語る話の内容だけではなく、話す口調や言葉のチョイス、話すテンポなども含まれます。

これに気づいたのは、文章執筆にAIを活用したことがきっかけです。
インタビュー実施後、録音した音声を聞きながらまずは自分の手でインタビューを執筆し、その内容をさらに読みやすく・伝わりやすくするため、AIにアドバイスをもらい修正を行いました。

しかし、ここに落とし穴があったんです。
AIには、もとの会話の構成や使われているフレーズはなるべく残しつつ、冗長な表現や読みづらい表現を改善してもらう方向性で指示をしていたのですが、改善する過程で、その人らしい絶妙なワードチョイスや言い回しなどが抽象化されすぎたり、シンプルになりすぎてしまいました。

AIによる修正直後の文章は、インタビュイーから見ると「確かにそのようなことは言ったが、じぶんの言葉ではない感じがする」「AIが直す前の文章のほうが、じぶんの言いたいニュアンスだった」という感覚があったようです。

たしかに、AIは「要はそういうこと」という話の核には手を加えておらず、「~みたいなことだったり」→「~や」にしたり、「~~だとモヤモヤした」→「悩んだ」にするなど、表現や口調を整えたに過ぎません。
でも、そういった調整がされすぎることで、語り手自身にもしっくりこない文章になる。本人にすら違和感があるのですから、「らしさ」を伝えられている文章とは言えないでしょう。

この経験から、いかにその人らしい言い回し口調を残しつつ、文章としてわかりやすく、読みやすく仕上げるかのバランスが書き手の腕の見せ所だと思いました。

(ちなみに、AI推敲で失われた「その人っぽさ」は元の文章を部分的に復元して回復させました)

エッセンスとなる部分を「抽出して」「つなげる」

ほかにも苦戦したこととして、インタビュイーに話してもらった内容をどこまで含めるかの取捨選択があります。たとえば1時間のインタビューをしたとしても、実際に記事に盛り込めるのはほんの一部。記事の想定ボリュームやタイプにもよるとは思いますが、最終的に記事になるのは実際に話した時間の3分の1くらいの内容でしょうか。(めっちゃテキトーな感覚で恐縮です)

記事で伝えたいことやテーマの観点でエッセンスとなる部分にフォーカスを当てようと頭ではわかっていても、どれもいい話なので削りたくない。どうしたらいいんだ!と頭を抱えました。
事前準備や当日の深堀りのスキルによって大きく変わってくるのだろうと思いますが、何を隠そうわたしはピヨピヨの入門者のため、せっかく話していただいた内容を泣く泣く削らなければ読者が気軽に読めるボリュームに収められませんでした。

また、記事テーマとしてもっとも伝えたいことのエッセンスとなる部分を「抽出」して並べれば、自動的にストーリー性のある展開になるわけではないことも学びました。

イチ読み手の個人的な感覚にはなりますが、特別な有名人でもない限り、知らない人がただ質問に一つずつ答えているだけの記事が面白くなることは稀ではないでしょうか。記事のタイトルやそこから連想されるテーマの切り口になにか読者の興味をそそるような要素があり、読み進めるうちに喚起された興味ポイントが満たされていくことではじめて「おもしろい」「共感できる」と心が動く気がするのです。

そのためには、ただエッセンスを「抽出する」だけでなく、流れのある形で魅力的に「つなげる」、つまりストーリーとして届けるのが大事なんだろうなと思いました。

「抽出する」も「つなげる」も、具体的にどうしたらいいのかはまだ言語化できていません、というかこれから探求していきます。

今後の課題

以上、インタビュー初心者にとってのとくに大きな学びでした。
ここから先は個人のメモになりますが、今回の気づきをもとに、今後の課題も整理してみました。

インタビュー当日のエッセンス濃度を高める下準備

話してもらったことを全部盛り込みたい自分と、許容できる文字数との戦いに対する対策として、よりエッセンスの濃度を高めた状態で当日話していただけるように準備できないか?

たとえば、インタビュイーとの事前打ち合わせの段階で、話してもらえそうなトピックをいくつか伺い、その中で「ここは核になりそうだ」という切り口をあらかじめ見積もり、さらに深ぼる質問を考えておく。

そのために、インタビュイーの人物像や過去の経歴、テーマに関連する分野の価値観などをもっと深く理解しないといけない。
このあたりはまだまだ改善が見込めそう。

魅力的なストーリーを引き出しやすい企画にする

あとはそもそも論として、ユニークさやストーリー性が引き出しやすい企画になっていれば、インタビュー中の臨機応変な深堀りスキルの有無にそんなに左右されないのでは。

たとえば、よくみる「入社エントリ」。入社した人の何にどのようにスポットを当てるかで全然印象が変わりそう。
「これまでの経歴」「入社動機」「今後の展望」などの定番トピックを順番に聞いていくのもありだが、こんな感じで企画自体にストーリー性を引き出しやすい切り口を取り入れると、規格に沿って聞いていくだけでもおもしろくなりやすのではないかとか思ったり。

例1)(入社動機や、共感ポイントにフォーカスを当てて)「○○(社名)にビビッと来た瞬間」

→ビビッと来た瞬間を具体的に語ってもらいながら、「なぜそう感じたんですか」と深ぼっていくと自然とストーリーになりそう。

例2)(入社後に見えたリアルな感想にフォーカスして)「入社●か月で感じた、○○(社名)の第一印象とのギャップTOP3」

→「さいしょは~~だと思っていたけど、××という出来事があって▽▽と感じた」のように、ギャップを感じたエピソードを聞いていくとストーリーが引き出せそう。

AIの賢い活用

このnoteからも分かるように、個人的には冗長な文章になりやすい課題があるので、AIは賢く活用していきたい。
インタビュー記事においては「その人らしさ」をうまく残すにはAIへの指示の出し方や、出てきたアウトプットへの手直しなど工夫の余地は大きい。
頭で考えていてもわからないので、とりあえずガンガン使っていく。

モデルを持つ

「こんなインタビューが理想」というモデルケースがじぶんのなかでまだイメージしきれていない。ここがもう少しクリアになってくると、近づけていくための課題が見えてきそう。やっていき。

お読みいただきありがとうございました!インタビュー記事と向き合うライターさんや採用広報担当者の方とつながれたらうれしいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?