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沢渡あまね「デキるマネージャーは余計なことはしない 『やめる』ことから始めよう "悩みの種”がどんどん消える」

ふと気づいたら、この本の表紙が見えるようにどんと机の上に置いたままになっていました。恥ずかしくなって裏返しました。ちゃんと自分の手元側に背表紙が見えるようにして。本当なら、良いマネージャーになろうとすることは良いことのはずなのですが、なぜか恥ずかしいと思ってしまったのです。

なぜ恥ずかしいと思ったのか。
いや、正直、デキるマネージャーを目指しています。これは少し居心地が悪い表現かもしれません。そもそもデキるって何を以ていうのかよく分かりませんので。
ただ一つだけ言えるのは、自分がこんなマネージャーの下で働きたい、と考えていたようなマネージャーになりたい、ということなのです。それは、これまでの上司たちの、ありがたいな、と思ったことを繫ぎ合わせたみたいな感じなのです。
例えば、任せてくれたこと、経験させてくれたこと、必要な時に適切なアドバイスをくれて成長させてくれたこと、上司のそういう行動が、印象に残っています。
なので、そういう上司になりたいと思います。

とはいえ、そういう上司になりたい、というのも何だか恥ずかしいし、そのために必死で本を読んでいる、ということが知られるのも居心地が悪い感じがします。読むだけで実践ができていないと思われたくないのかもしれないですし。

まあ気付かれたら気付かれたで、恥ずかしがりながらも「いい職場にしたいから」くらい答えるのかもしれませんが。

そして誰に一番見られたくないか、といえば、部下たちなのかもしれません。それはやっぱり、いろいろ日々接している中で、色んなことを感じていると思いますから。そしてそれを、気になることがあったら言ってください、と言われて、ざっくばらんに話してもらえるほどオープンな雰囲気が作れていないであろうことは自覚しています。そして、多分、はっきりと言われたらかなり落ち込むだろうってことも。

この本の中で一番、耳が痛い、と思ったことは、第4章 生産性を高めるためにしないこと という章でした。無駄を省き、個人が正しく成長できる組織づくり、というところです。
この部分がなかなかできていないな、と実感しているところです。

特にやらなくていいことの一番最初に挙げられていた「自分でやってしまう」というのは、本当に今年一番の悩みどころでした。

「ああ、もういい! 自分でやるからいいよ」
こう言って、部下の仕事を取り上げてしまう管理職がいます。あるいは、はなから仕事をメンバーに任せずに何でもかんでも自分で抱え込んでしまうリーダー。

こんな言葉はもちろん発したことはありませんが、それでも、役割分担してやりましょう、と言いながら、ちょっと責任に関わってきそうなことは自分でコントロールできるようにしておこう、みたいなところがありました。特に自分もよく分からなくて、進めながら考えていかなければいけないことは、任せるにしてもどうゴールを設定してよいか分からず、どう指示をしてよいかも分からない感じだったのです。
今から時間をさかのぼることができたとしても、なかなかよい形にできなかったかもしれませんが、でも上司として、良くなかったなと反省しています。

改善行動の例として、次のように挙げられています。

①任せきる
一度メンバーに与えた仕事は任せきる。マネージャーの度量が試されます。やり方が自分と違っていて気になる。ついつい口出ししたくなる。その気持ち、グッとこらえてください。メンバーはあなたのコピーではありません。それを求めようとすると、メンバーはどんどん主体性をなくします。「やらされ感」でしか仕事をしなくなります。

任せきったうえで、どうしてもマネージャーとして口を出さなければならないケースが発生することが想定される場合には、あらかじめ、いつまでにできなかったら私がやる、など、介入条件を明確にしておけばよいと沢渡氏は言います。
自分としては、もう指示もできないくらい整理できていない感じだったと思うのですが、だからといって、自分で抱え込むのではなく、指示できるように整理することに専念しなければいけなかったのだと反省します。つまり……。

②あなたの仕事を書きだす
次にマネージャーであるあなたが仕事を抱え過ぎないためのポイントを。とにもかくにも、まずあなたの仕事、すなわちマネージャーの仕事を書き出してみてください。そして眺めてみましょう、マネージャーの仕事を俯瞰してみると、意外とメンバーに任せられるものがあることがわかります。

ということが必要だったのです。そして、自分が抱え込み過ぎない、また、メンバーに任せられるものがあるかな、という視点は新たな気付きでした。ああ、これはできるかな、と思っても、自分が過去に本当は上司の仕事ではと思いながらやらされた、自分の成長にもつながらない仕事の記憶があり、とても嫌な思い出がありました。ですが、自分が嫌だったからといって、その仕事が部下にとってもやっぱり成長に繋がらないということにはならないかもしれません。

③お金で解決する。
なんでもかんでも自分たちだけでやろうとする組織があります。しかし、スピードも求められる時代。それでは時間もかかれば、何より自分たちの経験やスキルではクリアできない課題も。ならばお金で解決しましょう。

これは自分たちのチームだけで解決できる話でもないかもしれませんが、外注の前に、他の部署に相談する、といったことも、一つの手段かもしれないと思いました。

この本の興味深いところは、もう一つ、社外の人との付き合い方についても一つの章を割いて書かれていたことです。組織の人との場合は、どこまで自分の権限で話ができるか、あるいは、上司を納得させられる形にできるだろうか、ということを常に意識しなければいけません。これは、マネジメントとは別の分野だと思っていましたが、ただ、自分の権限でできる話の範囲がマネージャーになることによって広がる以上、この部分を不得意なままにしていてはいけないのかもしれません。

沢渡氏の著書はだいぶ前に「職場の問題地図」を読んで、とても勇気づけられました。当時、子育て中で短い時間しか勤務できない中、あまりやりたくない定型事務メインの仕事で、なんとか節減して自分の工夫次第でよくできる仕事に取り組むことに必死になっていました。
あの時期に、こんな上司だったら、と想像していたような上司に自分はなりたいと考えていました。でももしかしたら、私は合わなかっただけで、あの時の上司のような指導で成長できる人もいるのかもしれません。実際、すごくお世話になった、と言っていた人もいました。それは上司の得意分野の仕事を任されていた同僚だったのですが。
ただ、合う、合わない、上司の得意分野かそうでないか、で、マネジメントが行われているのは、マネジメントとして問題があります。
もう少し沢渡氏の他の著書も読んでみて、考えてみたいと思いました。


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