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識学 安藤広大「とにかく仕組み化ーー人の上に立ち続けるための思考法」

昨年度、女性の後輩が一人、職場を去りました。それまで一緒に仕事したりしたことはなかったのですが、知性の溢れる感じがあり、同性ながら素敵だなと思っていました。昨年度になって、部署は違うものの、何度かやりとりするようになり、いろいろ考えていて、いくつかアイデアも出し合ったりしていました。もっと色んなことを一緒にできるんじゃないかと勝手に妄想して、その後輩と話す度にワクワクしていました。
お休みの日にリモートで残務を片付けていたら、辞めるというお知らせをチャットで知らせてくれて、衝撃で10分くらい画面の前で固まってしまいました。何度もその文章を読みながら、泣けてきて、自分がいかにその後輩と一緒に頑張りたいと思っていたか、思い知らされました。
残念ながら、他にも職場を自ら去っていく人が少なくありません。しかも中堅どころ。もちろん、その新しい人生を歩もうという決断には、敬意を感じます。一人一人にその理由を訊いたわけではないですから、本当のことは分かりません。ただ、新たな場を見つけて前向きに、というよりは、あまりに失望して、という印象が否めなくて、悲しくなってしまいます。

成長をあきらめた人たちもいるかもしれません。
そういう人たちからの反発に負けないでください。
活躍する人が辞めるような組織にしないでください。

この本の中にこんな言葉が出てきて、真っ先に彼女のことを思い出しました。

識学は3冊シリーズになっていて、これまでの2冊を読んできました。

3冊目でも、最初に5つの質問が挙げられています。

  1. 「頑張れ」を多用していないか?

  2. 「締切」を設定しているか?

  3. 「ここだけのルール」を許していないか?

  4. あなたの仕事を誰かが「引き継ぎ」できるか?

  5. 「全員の納得」を得ようとしていないか?

私の場合、1,3はクリアできるかもしれませんが、4はものによっては微妙、2はつい、忘れがちになってしまいます。
そして個人的には、5が一番難しいと思うのですが、私はは常に全員が納得してもらえるようにしたい、と考えてしまいます。
安藤氏はこんな風に言っています。

新しい仕組みを取り入れるとき、必ず反発は起こります。
既得権益を持っている人は、ルールを曖昧にしておきたいものです。成長をあきらめた人たちも、頑張らない理由を欲しがっています。
そういう人たちからの反発に負けないようにしましょう。
そのためには、
「成長したい人のために決断をする」
というスタンスを貫くことです。そこでブレないようにしてください。

それくらい新しい仕組みをつくり、運用していくことは難しく、でもだからといって、反発が起こるからやらない、というのは、大変な間違いだし、反発をおそれていては、仕組みはつくれない、ということなのだと思います。

私の職場が完全に、残念な職場に成り下がっているというつもりはありません。でも、既得権益を持っている人がいたり、本当なら変えなければいけない仕組みがそのままになっているのではないか、と思うことはあります。

だから変えたいと考えていました。下からでも空気は換えられる、と思っていました。気付いたら、仕組みを変えないとおかしい、という雰囲気は作れると想像していました。

でも、安藤氏は仕組みを作るのは上の役割だといいます。

意思決定は、上から下におこなわれます。
ただし、下から上に情報をあげることは正しい。

一見、これを見ると、すごく古い感じがしますが、これが組織の本質の姿なのだ、ということが、本全体を通して理解できます。
ただ空気を換えようとすることをあきらめるつもりはありません。
変えようという意図をもって、情報をあげるのは違うのかもしれないと考えなおしました。ただ、こういう問題が生じている、こういう課題があると考えている、ということなら、下から上に向けて、できるのかもしれないし、組織のルールをやぶっているわけではないかもしれません。

この本の最後に、1冊目、2冊目の種明かしというか、答え合わせ、みたいなものも出ていたりします。

プレーヤー時代は『数値化の鬼』を、マネージャー1年目には『リーダーの仮面』を、さらに上を目指していくには『とにかく仕組み化』を、それぞれ読んでいただくことで、組織のピラミッドは完成します。

実は私は2冊目の『数値化の鬼』はよく理解できたのですが、1冊目の『リーダーの仮面』は少し理解できないところがありました。私は部下を持ってからはまだ3年目、まだまだプレーヤーよりなのだろうな、と感じています。
ただ、正直なところ、じゃあ、誰が理想的なマネージャーだったかと振り返ると、数えるほどしかいません。マネジメントしないマネージャーか、プレイヤーの思考でものごとを進めるマネージャーがやっぱり多かったような気がします。
まずは『リーダーの仮面』を読みなおしてみたいと思いました。

組織や個人が成長できる環境であれば、優秀な人は辞めない。

安藤氏はそう言い切ります。だから私は、下から上に変えた方がよいと思ったことがあったら、その問題や課題の情報を挙げて、判断をあおぎ、決断をしてもらおうと思います。
大切な後輩たちが、ここでは成長できないと感じて、辞めていくことがないように。

そしてもう一つ、安藤氏は大切な話をしてくれています。
組織においては、歯車となるべき、でも、友達、家族、趣味の中では「替えが利かない」存在になることが重要だといいます。
どちらのコミュニティも生活に欠かせず、どちらが上で、どちらがしたというものでもないといいます。
もしかしたら、この辺りに、働き方改革の本質があるのかもしれない、と考えたりしました。
このシリーズは、最初の2冊はは図書館で借りましたが、3冊目はKindleで購入しました。他2冊もKindleで購入し、時々読み返す本にしようと思います。


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