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佐藤尚之「ファンベース——支持され、愛され、長く売れ続けるために」

ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売り上げや価値を上げていく考え方。この本では、その手法について、様々な事例を挙げながら、紹介している。
ファンは多ければ多いほどよいと考えてしまう。でも佐藤氏はこんな風にも言っている。

ファンとは少数であり、全体の20%程度くらいである。(中略)ファンベース施策のとき一番間違えがちなのは「全員にファンになってもらいたい」と望んでしまうことだ。

例として挙げているのが、新聞の勧誘の際にたくさんサービスをして、その後、長く取っている人にはサービスをしないということ。これは本末転倒だけれど、多くの人にファンになってもらいたいと考えると、こういうことをやってしまう。
ファンとの信頼関係を気付くこと、そして、ファン自身が「ファンであること」を自信をもって表明したくなるような雰囲気や仕掛けをつくることが大事だという。なぜなら、この情報があふれた世界の中で、どんなに宣伝も認知されにくく、認知されても一瞬で話題から、記憶から消え去ってしまうから。でも身近な人、考え方が似ている人からおススメされたことは、やってみようかなと思うことが多い。だから、ファンにファンでい続けてもらうためのことを考えよう、ということになる。

私は初めて車を買った時から、ホンダのフィットに乗り続けている。最初に買った時は、もともと車にそれほど興味があったわけではないし、実家もホンダだったし、運転に自信がないからコンパクトな大きさが良かった。車選びに嬉々とする方わけでもないから、あまり選択肢を広げたくなくて、フィット、赤、走行距離の低いもの、みたいな検索で絞って決めた。
実際に乗ってみると運転しやすくて、気に入った。運転に余裕が出てくると、周りを走る車を見る余裕も出てきたけれど、どの車を見ても、自分の車の方がステキと思った。月1で送られてくる冊子も隅から隅まで読み(当時はまだ色んなことに余裕があった)、やっぱりホンダっていいなあと思った。これがファンになるということなのだと思う。
ファンと言うとたくさんの中から選びとってとか、ひとめぼれみたいに好きになって、というイメージもあるけれど、こういうファンもある。
あと思うのは、仮にみんながホンダばかり乗るようになってもつまらないな、とも考える。他の車がいろいろある中で、自分の車が好きだな、と思うわけで、みんながホンダに乗るようになったら、今ほど好きと思えるかどうかも分からない。

あとは、天狼院書店のファンでもある。天狼院書店とは、本を売るだけでなく、ライティング講座があったり、カフェが併設されたり、本にまつわる様々なサービスを提供している会社。こことの出会いは、Facebookを見ていて流れてきた広告にくぎ付けになり(これはひとめぼれだった)、ライティング講座を申し込み……2年間くらい毎週毎週苦しみながら書いては課題を提出し、落とされて落ち込み、採用されて掲載してもらっては舞い上がり、という生活を送っていた。その後、書けない時期が続いて断念したものの、今はこのnoteを書きながら、本を楽しむ生活を続けていて、たまに講座を受講してみたりしている。
※当時実名で掲載してもらったものの一覧はこちらにリンクしています。
イクメンママの自己紹介|イクメンママの読書日記|note

佐藤氏は、KAGOMEやネスカフェなど、様々な事例を挙げてくれているけれど、自分がファンであるものについて、それを提供してくれている会社がどのように自分に接しているか、ということを考えると、少し理解できるような気もした。

では地域のファンになってもらうにはどうすればよいのだろうか。もちろん地域を選んで暮らしている人もいるだろうけれど、そこに生まれたから、家族がそこに住むことに決めたから、職場の都合で、色んな理由があるかもしれない。でもファンになってもらえれば、私がホンダを気にったように、乗っていて楽しい気持ちになれるのだから、できるだけファンになってもらいたい。
でも一方で、住んでいる人全員がファンに、というのも違うかもしれない。すごく地域を好きな人が見えていて、なんかすごい熱狂的だね、でもそんな人たちがいるここって悪くないのかもね、くらいでも、結構幸せな気持ちになれるのかもしれない。

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