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シニアのための音楽講座いろいろ


Chère Musique

イントロダクション

渋谷区民シニアのための音楽講座“歌ってラララ”、2023年度後期が今月で終わります。
6ヶ月ごとのクラスで、4月から9月の前期と10月から3月の後期。
受講される方は毎回抽選で決まりますが、ありがたいことにご希望くださる方が多いため倍率は高いそうです。
すでに2024年の選曲も進めており、新しいクラスでの出会いや再会を楽しみにしています。

シニア音楽講座

歌とピアノと身体音楽の、週一や隔週や月一の定期レッスンを、個人とアンサンブルどちらもしています。
それとは別に月一回の日曜日に一回ごとの募集で、毎回違う内容の音楽講座を行なっています。
レッスンも講座も、対面がほとんどですが、ご希望に合わせてオンラインでも行なっています。

そしてそれらとはまったく別に、いくつかの機関からのご依頼で、高齢者のための音楽講座を担当しています。
市区町村(行政)からのご依頼もあり、講座といっても難しいものや進歩を目的とするものではありません。
シニア層の方々の心身のご健康のために、歌やその他のかたちでの音楽活動を役立てるという感じのものです。
週一回や隔週や月一回など、ご依頼機関のご要望に合わせています。

そのひとつが冒頭に書いた渋谷区。
これは渋谷区のご要望により、歌うことをメインとした内容のものです。

講座の種類

歌うことだけに特化したこの渋谷区の“歌ってラララ”以外にも、心身の活性化のための“フレッシュアップ音楽教室“、その名もズバリ“認知症を予防するための音楽教室“など、いくつもの種類の高齢者のための音楽体験を提供してきました。
もちろんネーミングはその都度、ご依頼機関の担当の方と決めています。

どの講座にも、歌うというメニューは必ず入れており、歌がいかに心身の健康に役立つかを実証しているつもりです。
ですからこの“歌ってラララ”では、発声練習などもしっかりやっています。


“フレッシュアップ音楽教室”というネーミングでやっているのは、初めか終わりに必ず一曲二曲はしっかり歌いますが、メインは音楽を使って体を動かすこと。
高齢者のために特別に考えられたダルクローズ・リトミックの内容です。
ダルクローズですから、スポーツのようにハードなことをするのではなく、あくまでも音楽活動。
歩くのが困難な方が中にいても、充分に楽しめる内容です。
音楽に反応し音楽から影響を受けることによって、脳と身体を健康にすることを目的としたメニューです。

これは実は、歌講座ができなくなったコロナ禍の最中に、「声を出さない楽しい音楽体験ということは可能なんでしょうか?」というご依頼に対して提示したのがキッカケでした。
(その時でも、必ず歌を一〜二曲ご紹介して解説して、「ご自宅で歌ってください」と歌い方を指導していました)


“認知症を予防するための音楽教室“というのは、その名のとおり、認知症にならないようにするための音楽活動のメニューをたくさん盛り込んだ講座です。
(内容はとっても好評で人気の講座でしたが、そのご依頼元の機関の方が付けられたこのネーミングが今ひとつ不評でした)
この講座をするために、ある程度しっかりと認知症について勉強しました。
この分野は情報が日毎に進化してゆくので、ずっと勉強を続けています。
ただ楽しければ良いというより、やはり目的のための効果をきちんと出したい講座なので、もしかしたらフレッシュアップ音楽教室よりも内容は濃かったりすることもあります。

このように、ご依頼元のご要望によっていろいろな音楽講座を編み出しています。

“歌ってラララ”の選曲例

三月は“歌ってラララ”の秋冬期の最終回ということで、その内容を自分のためにも振り返ってみたいと思います。

どの月も、前半一曲目は日本の名曲、二曲目は子どものための歌、後半一曲目は外国の歌、二曲目は歌謡曲としています。
今期歌った曲は、、

10月
赤とんぼ
まっかな秋
ブラームスの子守歌
見上げてごらん夜の星を

11月
里の秋
たきび
峠の我が家
ブルーライト・ヨコハマ

12月
雪の降るまちを
赤鼻のトナカイ
荒野の果てに(讃美歌)
愛燦燦

1月
遥かな友に
雪(雪やこんこ)
風が吹いて花は揺れ(Amazing Grace)
津軽海峡・冬景色

2月
朧月夜
うれしいひな祭り
ダニーボーイ(ロンドンデリーの歌)
また逢う日まで

3月

どこかで春が
故郷の人々(スワニー河)
三百六十五歩のマーチ

そしてこれらの毎月違う曲の他に、前半の最後に『地球のうえに』、レッスン全体の終わりに『逢えてよかったね』、この二曲は毎回必ず歌いました。


その月の季節などのひとつのコンセプトで探しても数十曲あります。
その中から一曲を選ぶのは、本当に大変ででも楽しい作業です。
何度も応募してくださる方もいるので、過去に歌った曲はそのあと二期くらいはなるべく避けようなどということも考えます。

講座全体のメニュー

この“歌ってラララ”では毎期、ただ歌を歌うというだけに止まらない、たくさんの種類の広い音楽体験をしていただいています。
自分の振り返りのためにも書いてみようと思います。


まずイントロダクションは音楽瞑想。
これがどんなものなのかは、このことだけを語ったことが何度かあるので割愛しますが、普段の自分から音楽をする自分へと心身を切り替えていただく時間。
このために吟味して選んだ音楽、毎回違う曲を使います。

音楽体操。
のびやかな弦楽器の曲でストレッチ。
運動のためのものとは違い、重力をうまく使ってじんわりと、歌うのに必要な部分を伸ばす。
次に安定感のあるリズミカルな曲で手指の体操と脳トレ。
どちらの曲もバロック音楽から選んでいます。
毎回同じことをしますが、回を重ねるごとに効果的にできるようになっていきます。

発声練習。
解説の部分は一ヶ月ごとに、‘歌う姿勢’‘支えるということ’‘歌ならではの呼吸法’‘声帯について’‘響かせるということ’、最後の回は半年間のまとめ。
実際の声出しのフレーズは、一ヶ月ごとに少しずつ難しいやり方へ。

日本の歌。
季節や世情に合った曲を。
作詞者作曲者について、歌詞の内容、生み出された背景などの解説を、短い時間で簡単に。
発声練習で学んだことを活かして、皆さんがその日の一番いい声で歌うことを心がける。

子どものための歌。
こちらも季節にあった曲を。
簡単に歌えてしまうようでいて「実は。。。」という部分を解説。
歌いながら同時にソルフェージュのレッスンを、ゲームをしているような感覚で楽しむ。

『地球のうえに』。
一回目の曲紹介から、最終回の素晴らしい演奏へ、毎回徐々に進歩していくように。
三回目か四回目あたりで、歌いながら行なうジェスチャーを紹介。何のためにするのか目的をはっきりとお伝えする。

休憩

外国の歌。
外国で生まれた歌なら何でも、いろいろな分野の曲を“日本語訳詞で“歌う。
日本語訳詞という、文学とつながる特別なアートの世界を理解していただく。
各曲の地方や民族の背景を解説。

歌謡曲、ポップス、フォークソング、演歌などから一曲。
歌い方、乗り方、発声法、気を配るポイントなどが、歌曲などとはどう違うのかを知っていただく。
グループ分けや身振りなど毎回違う演出をつけて、いろいろな形の楽しい体験をしていただく。

最後に講座の最後をしめる歌(毎回同じ歌)を一曲。
一回目ではその歌を知らなかった方も、覚えやすいメロディで感動的な歌詞なので、すぐに馴染みます。

まとめ

今回は“歌ってラララ”の内容を書きましたが、いつか他のシニア講座の内容も書いてみたいと思っています。

子どもへの音楽指導、若者や同世代の大人へのもの、高齢者のためのもの、それぞれに音楽指導の手法やカリキュラムの立て方、留意すべきポイントなどが、まったく異なります。
それが音楽のセンセとしてのやり甲斐を感じるところでもあります。

その中でもこの高齢の方々のための音楽というのは、各年齢層皆さまの生活をより楽にシアワセにするお役に立つものだと思うので、今一番勉強していきたいと思っているのです。

Musique, Elle a des ailes.

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