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寝ない夜、哲学する親

 最近、我が家の小さな息子は驚くべきことに、夜中に起きずに朝までしっかり寝てくれるようになった。これは多くの親にとって、宝くじに当たったような喜びだろう。ミルクが一回分少ないのが心配かもしれないが、体重は増えていて、医者からも「無理に起こして飲ませなくても大丈夫」とのお墨付きをもらったので、何も心配していなかった。

 だが、今夜はちょっと違った。我々が寝る直前に息子が泣いて起きた。これは稀有な瞬間だ。妻と僕はその機を逃さず、ミルクをあげることに成功した。そこで我々は勘違いした。「これで朝までぐっすりだな!」と。しかし、その予想は見事に裏切られた。息子は何度も泣いて起き、なかなか寝ない。

 妻と僕は、なぜこんな夜になったのかを議論したが、眠い頭で冴えた答えは出ない。唯一変わった点といえば、寝る前にミルクを飲んだこと。それと、台風が近づいているから気圧が低いかも、などと。でも、それがどう影響しているのかは謎だ。いずれにせよ、謎は謎なりに面白い。少なくとも僕ら夫婦にとっては。

 「もしかしたら、息子は台風が来るのを知っているのかもしれない。彼は自然の一部だから」と、哲学的になってみた。「それなら、次は地震や火山の噴火も予知してくれるといいね」と1人で想像して笑ってしまった。

 こうして、我々はその夜を過ごした。謎の現象は解明されなかったが、それもまた人生。そして、翌朝、息子はいつも通り朝までぐっすりと寝ていた。ほんとうに、子供は未来の謎だ。でも、それが何よりも面白い。そして僕たちは、新たな日を迎える準備を始めた。台風もそう遠くない未来の謎だけど、それはそれでまた面白くなりそうだ。

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