幽体離脱体験
夢をみていた。
だれか知らないおじいさんか、それとも声だけだったか、あることを教えてもらう。
あなたの身体は三匹の犬が守っているよと。
座っている私の足元に犬が一匹いたような気がする。
私は、小さい頃から犬を飼っていたし、それを聞いて素直にそうなのか…と思っている。
少し意識が戻り、眠りから醒めかけたようで、まぶたを開けると足元の上に何かが浮かんでいるように見えた。さらに頭の上にも、見えないが、浮かぶように何かの気配。
次の瞬間、気づくと私はリビングの中央から、和室で寝ている自分の身体を見ていた。
青っぽい闇のなか、あおむけで眠る自分の身体。
そして、頭と足の上の空間に、小型犬くらいの犬が座る姿勢で浮かんでいる。
中空に浮かぶ犬は、お互いに背を向け、外側を向いている。
神社の狛犬みたい、と私は思った。
あれ?三匹って言ったけど、もう一匹はどこだ?と思っている。二匹しか姿が見えなかった。
自分の身体を真横から見る形で、教えてもらったとおり、たしかに、犬がバリアを作り私の身体を守っているという風に見えた。
闇のなかにぼーっと浮かぶそのなんとも言えない美しさに見とれながら、身体というのは誰のも等しく神聖なものなのだ、だから暴力を受けても与えてもいけない、雑に扱われてはいけない、と感じたのを覚えている。神殿のようなものなのだと。
これが私の幽体離脱体験。
15年前くらいの話。
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