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「。」と「、」とカッコのお話

皆さま、お待ちかねの
昨日の続きでございます。

和歌子さんの記事にあった
素朴な疑問

なぜ、日本語の入力には、
全角と半角があるのか、
それによって、
弊害もあるという話でした。

この話は、いろいろ事情があって、
複雑な話です。

説明が長くなるし、
どこから話していいものやら、
というのがあります。

昨日の記事では、
活版印刷の話から、
日本語の全角、半角の起源について、
書かせてもらいました。

しかし、ちょっと、
説明が不充分なところもあったので、
補足させてください。

まずは、昨日のおさらいから、

・日本語の活字は正方形(これが全角)
・「、」「。」は半角
・紙面を長方形に収める

この三つの要素があるために、
日本語には、全角と半角が、
必要だという話でした。

しかし、先ほども書いたように、
ちょっと説明が不充分でした。

なぜ、「、」「。」が半角なのか、
別に全角の活字でいいんじゃない?
と思った方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。

(つまり、「、」「。」後ろに半角のスペースを
含んだ全角の活字だったらという話)

記号にはいろいろルールがある

このことに関しては、
私も考えたことがあります。

でも、もしも「、」「。」が
全角の活字だったら、
融通が利かないのです。

実は、みなさんが普段読んでいる、
印刷物、特に「本」は、
ただ活字を並べているわけではないんですよ。

例えば、「、」「。」は、
行の先頭に置いはいけない記号です。

前の文字と後ろの文字を
区切る記号なので、
この記号から行がはじまると、
読みにくくなるからです。

。前の文字と後ろの文字を

↑どうですか。違和感がありますよね。

専門用語で言うと、
これを「行頭禁則文字」
と言います。

実は、今まで、
説明をわかりやすくするために、
話を「、」「。」に限定して、
話してきましたが、
このような特別なルールを持つ文字は、
たくさんあります。

()「」『』
などのカッコ類も、
句読点と同じく、
文中で文字を区切る役割があって、
半角の文字幅になっているのです。

カッコ類も先ほどの
「、」「。」のように、
ルールがあります。

(「『
これら起こしのカッコ類は、
行末に置いてはいけません。

カッコの前の前の文字と、
カッコの中の文字を区切る記号なので、
この文字が行末にくると、
役割を果たさなくなるからです。

これらは「行末禁則文字」と言います。

)」』
これら閉じのカッコ類は、
句読点と同じく、
行頭に置いてはいけない、
行頭禁則文字です。

この他にも日本語の活字には、
行頭に置いてはいけない文字、
行末に置いてはいけない文字が、
たくさんあります。

例えば、「っ」「ゃ」など、
拗側音と言われる文字、
これらも行頭禁則文字です。

もちろん、内容によっては、
拗促音のルールは、
緩和される場合もあります。

1行の文字数が少ない印刷物では、
こういうルールを緩和しなければ、
逆に読みにくい紙面に
なったりすることもあるためです。

しかし、句読点やカッコ類の
行頭禁則、行末禁則は、
絶対に守るべきルールです。

区切りに強度差がある

こういう複雑なルールがあるために、
句読点やカッコ類は、
金属活字の時代には、
半角の活字にして、
調整に使っていたわけですね。

「、」の後ろの半角スペースを入れずに、
後ろの文字を詰めてしまって、
うまく行に収めたり、
そういう調整に使われていました。

ちなみに区切りにも強度差があって、
「、」の後ろの半角スペースを
なくすことはあっても、
「。」の後ろの半角スペースは、
なくしてはならないものだったようです。
(今は必ずしも守られてはいない)

これは「、」よりも、
「。」のほうが区切る意味合いが
強いからです。

「、」は文中で、
読みやすくするために区切る役割ですが、
「。」は文(センテンス)同士を
区切る役割を持っているので、
区切る意味合いが強いんですね。

とにかく、
こういう複雑なルールをもとに、
昔は職人さんたちが、
原稿を見ながら、活字を拾い集め、
適宜、スペースを調整しながら、
活字を組んでいたのですね。

ホント、頭が下がる思いです。

今は、こういう作業を
コンピューターでやっているので、
このような処理を自動的に行なっています。

もちろん、「自動的に」と言っても、
今でも、最初にデータを作る人は、
こういうルールを踏まえて、
そうなるように、いろいろと
設定を施さなければならないのですが。

ですから、日本語に全角と半角があるのは、
このような文字のルールの
影響も大きいです。

もしも、このようなルールがなければ、
句読点もカッコ類も、
前後に半角スペースを含んだ
全角の活字で良かったでしょう。

そうすれば、何にも考えずに、
四角形の活字をただ並べるだけで、
仕事が済みました。

でも、そうせずに、
少しでも読みやすくしよう、
といろいろ考えて、
ものづくりをしていた点は、
実に日本らしい文化だと思いますね。

さあ、そろそろ2000字に
達しそうなのですが、
まだ書きたいことが全然書けていません。

こういうことを言うのは、
ちょっとアレですけど、
私は何も見ずに、
30分くらいで、
この記事を書いているんですよ。

すごくないですか?

まぁ、自分の仕事のことなので、
当たり前か^^;

明日も時間があれば、
引き続き、全角と半角について書きます。

この話をするうえで、
英文の話を先にするべきか、
データの話を先にするべきか、
非常に悩ましいところです。

和歌子さんの疑問を解く鍵は、
「英文」「データ」
この二つにあると思われます。

次の記事をお楽しみに!
(↑逃げた^^;)


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