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坂本龍一が「売れるポップス」に苦悩した時代(3)諦めから一転、奇跡が起こる

昨日に引き続き、
’90年代の坂本龍一の話です。

’94~’95年に「売れるポップス」を
目指して作られた2作のアルバムを経て、
’96年にはアルバム『1996』を発表します。

坂本の過去の楽曲を
ピアノ、バイオリン、チェロによる
トリオ編成の演奏で録音した
セルフカバーアルバムでした。

「売れるポップス」路線から方向転換し、
自身の原点回帰とも言える
クラシック路線のアルバムで、

今でもファンの間では
人気の高い作品の一つです。

方向転換して急に
売れたわけでもありませんが、

このアルバムは、
ゴールドディスク大賞の
インストゥルメンタル部門を受賞しています。

翌年の’97年には、

オーケストラによる協奏曲を収めたアルバム
『DISCORD』を発表し、
ますますクラシック色が強くなっていきました。

同年には、
娘の美雨のボーカルをフィーチャーした
『The Other Side Of Love』
(オリコン最高6位)

その日本語バージョンを
中谷美紀が歌った
『砂の果実』もヒットさせています。
(オリコン最高10位)

ちなみに、学生時代の私が
坂本龍一に注目したきっかけは
『砂の果実』のヒットでした。

’98年には、自身初のピアノアルバム
『BTTB』を発表します。

タイトルの「BTTB」は、
「Back To The Basic」に由来し、

デビュー前の「原点」に戻る
意味がありました。
(若かりし頃の坂本が影響を受けた
 ラヴェルやサティを意識した)

そして、迎えた’99年、
奇跡が起こりました。

この年にシングルとして発表した
『ウラBTTB』がオリコン1位を獲得、
4週連続1位、
10週連続トップ10入りを果たしたのです。

CDの累計販売枚数180万枚にのぼり、
坂本の作品としてはもとより、
インスト作品としても異例のヒットでした。

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