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音楽レビュー『Buena Vista Social Club』Buena Vista Social Club(1997)明るさと憂いが共存した音楽


キューバ音楽を
メジャーに押し上げた名盤

アメリカのミュージシャン、
ライ・クーダーが
キューバを訪れた際に、

老ミュージシャンたちと
セッションしたことが
きっかけで生まれたアルバムです。

のちに同名の
ドキュメンタリー映画も
製作されました。

キューバといえば、
サルサやマンボの母体である
ソンという伝統音楽の
発祥地でもあります。

このアルバムでは、
他にもボレロやサルサ
といったキューバ特有の
音楽を聴くことができます。

明るさと憂いが共存した音楽

キューバ音楽には
それほど詳しくないので、
あまり的確なことを
書く自信はないのですが、

音楽としては、
「陽気さと陰鬱さの共存」が
最大の特徴ではないでしょうか。

例えば、このアルバムでも、
②では、陽気さが目立つ
歌になっていますし、

⑥で聴けるような
のどかなボーカルも印象的です。

一方で、①、③、⑤のような
どこか憂いを感じさせる
メロディーや歌声も
強く印象に残ります。

やはり、この両方を
兼ね備えたのが、
キューバ音楽の
特徴なのかもしれません。

キューバ特有の楽器を
複数組み合わせて独特な響きに

これはキューバ音楽に限った
特徴ではなく、
多くの民族音楽がそうですが、

使われている楽器の種類が
多いのも、特筆すべきことでしょう。

料理では、一つのスパイスを
単体で使うのではなく、
複数のスパイスを
調合することによって、

そのおいしさが格段に増します。

これと同じようなことが、
音楽でもあるんですね。

シンセサイザーで音を作るのも、
単音ではなく、複数の音を
組み合わせることによって、

独特な深みのある音に
変化するんですね。

このバンドでは、
弦楽器だけでも、
ギターのみでなく、

トレス、リュート、
コントラバス
といった楽器が使われていますし、

打楽器は、
ドラム、ギロ、ボンゴ、コンガ、
マラカスが使われています。

さらに、そこへ、
ピアノ、トランペット、
トロンボーンが

アクセントとして加わり、
複雑な味わいが生まれるんですね。

キューバにも西洋音楽の影響が
あったのだと思いますが、
ピアノの音色には、
ジャズ的な雰囲気も感じられます。

本盤に収録された歌はいずれも
キューバの公用語である
スペイン語で歌われており、

この言語の独特な響きも
そのボーカルワークに
多大な影響を及ぼしている
気がしますね。


【作品情報】
リリース:1997年
アーティスト:ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ
レーベル:ワールド・サーキット
     ノンサッチ・レコード

【アーティストについて】
アメリカのライ・クーダー、
キューバの老ミュージシャンによるバンド。
’96年に活動を開始。

【同バンドを追ったドキュメンタリー映画】


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