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映画レビュー『トップガン』(1986)手に汗握る空中戦

型破りな主人公

航空戦訓練学校の青春を描いた
トム・クルーズの出世作です。

「トップガン」とは、
実在するアメリカ海軍戦闘機兵器学校で、
ごく限られたエリートだけが、
入学することができます。

トム・クルーズ演じる主人公は、
パイロットとしての才能はピカイチですが、
ルールを逸脱した操縦をするため、
たびたび上官から指導を受けていました。

チームの和を考えると、
彼の行動は決して、
褒められたものではないかもしれません。

しかし、敵機と遭遇した場合、
想定外のことが次々に起こるのが、
当たり前の世界です。

そんな時に頭で考えてばかりいて、
行動するのを後回しにしてしまえば、
たちまち敵にやられてしまうことでしょう。

時には、彼の型破りな行動も
あながち間違いとは言い切れないところが、
戦闘機パイロットの難しいところです。

空中戦の絶妙なカット割り

仲間との友情、ライバルとのぶつかり合い、
はじめて出会った女性との恋愛模様。

青春時代に欠かせないエピソードが
一通り詰まった作品であり、
王道ではありますが、
ストーリーもよくできています。

しかしながら、本作における
それは添え物に過ぎません。

なんと言っても、
一番の見どころは、
上空でのドッグファイトです。

基本は訓練なので、
常に死と隣り合わせ
というわけでもないのですが、
ハラハラさせてくれます。

基本的に、本作で見られる航空機は、
ほとんどが実機の映像で、
アメリカ海軍による全面的な
バックアップがあったようです。

とはいえ、さすがに
航空機が撃墜されるシーンなどは、
模型を使った特撮になっています。

しかし、それは言われなければ、
まったくわからない出来栄えで、
実際の映像と特撮を
非常にうまく組み合わせています。

航空機が飛んでいるカット、
操縦士のカット、
母艦の司令部のカット、
これらを巧みにつないだ映像が
素晴らしい出来栄えでした。

音楽と映像の相乗効果

航空機の映像はもちろんのこと、
公開当時、トップガンのあった
カルフォルニア州サンディエゴの
美しい街並みも印象的でした。

そして、本作を語るうえで、
忘れてはならないのが、
その背景を彩るポップな楽曲の数々です。

ケニー・ロギンスが歌った
主題歌『Danger Zone』は、
公開当時も全米第2位になったほどの
大ヒット曲でした。

現在でも航空機の映像には
よく使われる曲なので、
リアルタイムで本作を観た世代でなくとも
なじみのある曲ではないでしょうか。

他にも印象的な曲が多い本作ですが、
監督のトニー・スコットは、
兄のリドリー・スコットと同じく、
テレビCM などを多く手掛けていた監督です。

短い時間の中で、音楽と映像を
ぴったり合わせて印象的なカットにするのが、
すごくうまいんですよね。

楽曲と映像が、
ともに引き立てあっている気がします。

ちなみに『Danger Zone』の PV も
トニー・スコットが手掛けたそうですよ。

なぜ、こんなタイミングで、
本作を観たのかというと、
それは、本作の続編が公開予定だからです。

本来は2020年公開予定だったのですが、
延期となり、現在は来年の5月に
公開を予定しているようです。

公開が実現すれば、
本作の公開から、実に36年ぶりの
続編となります。

あんなに若かったトム・クルーズが、
今度は教官役を演じるのでしょうね。

続編も楽しみです。


【作品情報】
1986年公開
監督:トニー・スコット
脚本:ジム・キャッシュ
   ジャック・エップス・Jr
出演:トム・クルーズ
   ケリー・マクギリス
   ヴァル・キルマー
配給:パラマウント/UIP
上映時間:110分

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