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イベント告知文の「基本のキ」について編集者が伝えます

こんにちは。長年、編集者・ライターをしていますが、少しずつ業務を減らしている藤嶋です(*´∀`*)。おはこんばんちは。

早速ですが、イベントの告知文について。たまに相談されるので、一度、まとめておこうと思います。ちなみに、私は、出版業界出身。夫はいまも現役のプロモーターで、コピーライター、デザイナー、ディレクターを兼業する広告業界出身。彼は世界的に知られる企業にいたこともあります。

ここに書くことは一般的で、幅広く通用することなので、個人事業主はもちろん、企業の広報担当など、さまざまな職業の方にとっての基本となると思います。

現在、私たちが個人的にメジャーではないのは、現在おこなっている事業については、こうした経験を活かしたプロモーションをするつもりがないからであり、「売りたいもの」によると感じているためです。夫曰く、自分の大切に思っている絵画について「買わせるコピー」は書きたくないとのこと。今後、また方針を変える可能性はありますが、現在の私たちは「心を丁寧につなぐ」という手法で、自分たちの仕事を売っています。私たちの主催するイベントやワークショップについてのSNS告知については実験中といったところでしょうか。

※カバー画像は「ドラムでダンス部」というワークショップです。4年前に始めました。初回は友人3人だけの参加でしたが、現在は20名ほど参加するイベントに成長しました。↑画像は2年前のもの、↓この動画は今春のもの(元ブルーハーツのドラマー梶原徹也氏をゲストドラマーに迎えて)。


まず「だれに来てもらいたいのか」

なにかを告知する文章において必須なのは、やはり5W1H。

5W1Hとは、ビジネスでよく使われる、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」の英単語の頭文字をとった言葉です。

これらは多くの商業文書でなんらかの情報発信をする場合にも必要な要素でもあるのですが、イベントの場合、それ以前に、まず、「イベント開催を決定する時点」で、ここをしっかり詰めて決めておく必要があります。

「なぜ、今、このイベントを開催するのか」。編集者の「記事企画」においても同じような会議をします。

たとえば、お花見企画を4月にしても、すでに桜が散っていたらどうしようもありません。「ビジネスマナー特集」を組むのであれば、新入社員向けに提案するのか、それとも、就活の人向けにするのかで時期が違いますよね。

また「Where(どこで)」「Who(だれが)」開催するのかにもよります。

例えば、独身の人が多い場で、子育てに関するイベントはしません。外食やコンビニ弁当が好きな人に、自然食のワークショップをしてもだれも参加しません。無理にそれを伝えようとするのはエゴであり、押しつけとなってしまいます。愛情があったとしても、です。無理やりに振り向かせる必要はありません。

また、「だれが」話したり教えたり歌ったり、主催したりしているのかにもよります。有名人であれば、ただ「一目見られる」というだけで企画として成り立ちます。

でも、無名の私たちの企画については、たとえば、どれだけその道でキャリアがあったとしても、講座やイベントとして告知した場合、初回はたった数人が興味を持ってくれたらそれで十分成功だと言えると私は思います。

記事企画も、高齢の方をターゲットにした雑誌には、ビジネスマナー特集は向いていませんよね。20代のファッション雑誌で健康特集などは組まれにくいものです。これも著名人であれば、その人の「哲学」のほんの一欠片の記事であったとしても、企画になり得ます。

そして、何度もお伝えしますが、とにかくイベントについては企画する段階で、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」をしっかりと決めておく必要があります。複数人数で関わるプロジェクトにおいてブレをなくすためです。告知をどこでおこなうか、手法そのものも異なってきます。

重要なのは「なぜそのイベントをするのか」

なかでも、ここ。「企画意図」が、編集者が一番重要視するところです。「なんとなくいいと思うから」では記事は作れません。同じように、イベントも、だれがなぜ、なんのために開催するのかをしっかり決めておく必要があります。

①ターゲット「Who(だれのため)」
②企画意図「Why(なぜ)」
③いつ「When(いつ)」
④どこで「Where(どこで)」
⑤主催「Who(だれが)」
⑥内容・概要「What(なにを)」「How(どのように)」

重要な順番で並べると、こんな感じ。

絶対にやめたほうがいいのは「なんとなくいいと思ったから」。時間、労力、お金、信頼を失いかねません。

特に、重要なのが①ターゲット「Who(だれのため)」②企画意図「Why(なぜ)」の2点。どうして、そのイベントをしようと思ったのか。主催するメンバーや会場の方などと、しっかりすり合わせておく必要があります。イベントは周囲を巻き込まないと育めないからです。


だけど読み手が一番知り合いのは「想い(企画意図)」ではない

さて、これらを確認したうえで、実際に告知したときに、ターゲットとなる読み手がどこを読むのか。というと、上記の順のほぼ逆です。

①内容・概要「What(なにを)」「How(どのように)」
②主催「Who(だれが)」
③いつ「When(いつ)」
④どこで「Where(どこで)」
⑤企画意図「Why(なぜ)」

読者が見るのは、こんな感じの順番です。

ターゲットは自分なので置いておいて、
①まず「内容」に興味が持てるか
②そして「だれ」が主催しているのか
 その内容について詳しい人か、有名な人か、説得力はありそうか。
③ここでようやく「いつ」④「どこで」開催されるのか。

主催している人の想いというのは、よほど主催者との関係性が築けていないと、あまり読み手には影響しません。

ゆえに告知文の「内容」の部分に想いを載せ過ぎなくていいのです。説明しすぎると内容がわかりにくくなってしまう危険性があるので、なるべく端的に書くのがポイントです。ただし、あまり世間一般的ではない内容の場合は、どうしても説明が必要になってきます。そこは、工夫が必要です。

そして「思い」をどうしても書きたい場合は、しっかりその思いを別の枠で書くと良いでしょう。たとえば、「主催者の想い」などとタイトルを書いたうえで、企画意図を伝えると良いでしょう。

広告文を含む、商業文書は兎にも角にも「読み手」を意識します。読み手のことを考えずに、書き手が自分の思いだけを書くのは「片想いのラブレター」。どれだけ熱心に書いても、あなたにすでに魅力を感じている人にしか響きません。

たとえば、発信者が芸能人であれば、これも成り立ってしまうというわけです。でも、一般の私たちがなにか発信するときには、読み手が受け取りたいものを与える必要があるのです。

そのイベント、どんな人に来てもらいたいですか?
行きたいと思ってくれそうなのはどんな人ですか?
主催者、講師、参加者が関わるとどんな発酵が起こりそうですか?


しっかりイメージしたうえで「伝えたい相手」をイメージして告知文を書いてみましょう。

客観的に伝えるのが苦手な方は、興味がなさそうな人に一度読んでもらうという手もあります。男性に読んでもらうのもいいですし、それだと貶されるだけだなと思ったら、共感はしてくれそうだけどちょっとクールな方に見てもらいましょう。

そして、ここに書いていない重要なポイントがもう一つありますが、すでに2500文字を超えているため、今回はここまで。それを知りたい方は、なんらかのワークショップや文章講座にお越しくださいませ。必ず生徒さんにお伝えしております。


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