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「明日死んでもいい」と思えるぐらい、好きなことをやって生きることができるのならば。

私事なのですが実は少し前からひょんなことがキッカケで、とてつもなく凄い方(語彙力よ)から楽器のレッスンを受けておりまして。
その方は某世界的ギタリストの元で、渡米し現地で8年間修行をされていたのです。そんな凄い方にFコードも満足に弾けない川原がギターを教わっているという、背中から冷や汗が止まらない出来事が起こってしまったのです。
※以下、その凄い方をこの場ではY先生と仮称します。

個人情報に関わるのでザックリとした説明しかできないのですが、Y先生とのレッスンはとある方の紹介がキッカケで始まりました。
その方はY先生と古い友人らしく、軽いノリで「彼のレッスンを受けてみては〜」と私に提案してくださったのです。ショボいといえど楽器経験者の川原、そんな世界レベルの方から教えを乞うことがいかに恐ろしいかなんてことは理解できるので、嬉しいですが恐怖の方が圧倒的に勝っていました。
「自分とは次元が違いすぎる。恐れ多い」
本当にこの言葉に尽きました。
しかし、こんなチャンスは滅多に訪れないのは明らかで、チキンハートの川原は勇気を振り絞って手を振わせながらメールでY先生に連絡を取り、初回レッスンに挑みました。

初回レッスンの日、Y先生の姿を見た私はこう思った。
「ギターを弾いてる姿が想像付かないぐらい、優しそうで穏やかな方だなぁ」
初対面時の外見だけのイメージは、本当に上記の言葉に尽きた。Y先生は私から緊張と萎縮のオーラを感じ取っていたのだろう、「あまり気負いせずに」「川原さんはどんな音楽が好きですか?」と私をリラックスさせるように気を遣ってくれた。
しばしの雑談後、レッスンに入った。左手のフォームからピックの持ち方まで、基礎のキから丁寧に教えていただいた。レッスンの終盤、Y先生がこう仰った。
Y「川原さんは何の曲を弾いてみたいですか?まずはそれを目標に練習していきましょう」
Y先生の提案に、私は驚きを隠せませんでした。
私「基礎ができてないので、まだ曲を練習するのは早い気がするのですが……」
恐る恐る意見してみると、Y先生は穏やかにこう返してきた。
Y「基礎も大事ですけど、やっぱり好きなことをやった方が良いですよ。好きなことをしないと、楽しくないじゃないですか」
先生は控えめな笑顔で私にそう言ってくれた。そして雑談としてだろうが、Y先生が「そういえば僕、ベースも一応教えられるんですよね」なんて言いながら持っていたエレキギターを軽々と弾きこなしていた。それくらいでレッスン時間が終了を迎えたので、Y先生は別のレッスンに向かい、私はお礼を言って帰路につきました。

初回レッスンを終えてしばらく、私の中ではY先生のある言葉が脳裏をよぎっていた。
「好きなことをしないと、楽しくない」
Y先生のこの言葉が、私の頭からどうしても離れなかった。
私の本当に好きなこと、やりたいことはなんだ?
しばらく考え、私はY先生にとあるお願いを申し出る決意を固めた。

次のレッスン日、私は通常レッスンではなく相談(カウンセリング)を申し出た。
Y先生を目の前にし、私は変な前置きをせず
私「先生、私ベースがやりたいんです。ギターを専門とされている先生にこんなお願いするのはどうかとも考えたんですが……本当はギターよりベースが好きなんで、ベースを教わりたいんです」
と単刀直入に申し出た(何を考えている)
すると、Y先生は顔色一つ変えずにこう即答された。
Y「良いんじゃないですか?自分が本当に好きなことをやった方が良いですよ。(何かを)二次的な理由でやっても楽しくないし、やっぱり好きなことをしないと楽しくないでしょう。ベース、やりましょうよ」
私の勝手なお願いを、Y先生は快く承諾してくださった。そしてY先生は、人生の先輩として私にギタリストとして成功に至るまでの経験談を聞かせてくれました。

・学校はちゃんと卒業したが、周囲の方とあまり馴染めなかったこと(学校にもあまり顔を出さなかったらしい)
・ギターをやっているだけで、教師から目を付けられたこと。
・会社員をやっていた時期もあったが、仕事が全然楽しくなかったこと。
・会社を辞め思い切ってギターのために渡米したが、最初英語でのコミュニケーションが困難だったり、尚且つ現地で人種差別を目の当たりにしたこと。
・音楽関係のお仕事でも、時には自分のやりたくない音楽にも携わらなければならないこと。


Y先生は今の地位に上り詰めるまでに、私の弱い頭では想像し難い体験をたくさんされてきた。そして今のような素晴らしい地位に上り詰めても、Y先生はこう仰っていた。
Y「好きなことで、色んな人に還元したい。僕はその手段がたまたま音楽だったというだけで。会社員をやっていた頃の僕は本当に目が死んでたと思う。音楽が無かったら、僕も心病んでいたかもしれない」
その言葉を聞いて、私は咄嗟にこう答えてしまった。
私「そうですよね……このご時世、会社員や公務員が安定なんて時代でもないですし。縁起でもない話ですけど、明日死ぬかもしれないんだから、日々を楽しく好きなことやって生きた方が良いですよね」
私は何て縁起でもないことを言ってるんだ!と口走った後に激しく後悔したのですが、Y先生は表情を曇らせることもなくこう仰った。
Y「そうそう、明日死んでるかもしれないんだから。だから毎日を楽しく生きることを考えた方が良いですよ。なので、やりたいことをやりましょう」
笑顔でそう断言するY先生が、私には光輝いて見えました。

好きなことをやって、楽しく生きることを考え実行していたら、自然と良い人が集まってくる。
Y先生は芸能人で例えるなら所ジョージさんのようだな、と思いました。好きなことをやりながら人を喜ばせて、自然と皆に慕われる。Y先生は人生のお手本となる方で、こんな素晴らしい方に音楽を教わることができることはとても光栄で、めずらしく私は自分が恵まれている気持ちになりました。
私も自分の好きなことをやって、誰かに還元したいです。明日死んでもいい勢いで、日々を楽しく生きたいです。

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