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さんぽのはなし その1

仕事で出版社を訪ねてまわるようになったことがきっかけだった。編集者にアポを取り、時間に遅れないように10〜20分早めに着き、時間まで周辺をブラブラする。編集者は忙しいので時間に遅れても早く行ってもダメだと前任者に教わった。ブラブラしていると急な坂道や階段、古い喫茶店や神社仏閣が目につくようになった。

出版社は神保町界隈に多い。歩いてはしごも出来る。某大手女性ファッション誌編集部を後にして某老舗主婦雑誌社がある御茶の水駅方面へ歩いていた。結構急な坂を登ったところにその出版社はあり、その前に立つと眼下に総武線と中央線の線路、その下に神田川が見える。その対岸はもっと急な崖。御茶の水駅周辺は、神保町界隈に較べるとかなりの高台になっている。そこでふと気がついた。

なぜこんな高台を切り裂くように神田川は流れているのか?

川は高いところから低いところへ流れる。神田川は飯田橋から直角に東に向かい、御茶の水駅がある高台にぶつかりそのまままっすぐ進んで、また平地である秋葉原に流れ出る。

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編集者との商談が不発に終わった後、ネットで調べた。
神田川は徳川幕府が江戸城を造った後に、治水と防衛の為(諸説有)に作った人口の川だとのこと。人力で高台を深く削り川を通したのだ。
今はその崖に沿って線路が通り御茶の水駅がある。ホームから下を覗くと結構な高さ。上には美しい聖橋が架けられている。

さんぽは元々好きではあったが、地形や街の成り立ちを気にしながら都心を歩くようになったのはこの頃からだ。

以後、段々マニアックな東京散歩にはまっていく。

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さんぽのはなし その2

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