さんぽのはなし その2
古い建物が好きだ。
特に昭和一桁から10年前後までのもの。
つまり空襲を逃れて生き残った貴重な建物。
けれど多くは耐久年数をとっくに過ぎて次々に取り壊されている。
やはり空襲を逃れた街、神保町の「旧相互無尽会社ビル」も年内に取り壊されるとのこと。個性的で味のあるデザインで、この街を散歩する度につい写真に収めてきた。
古い建物を残していても持ち主にとっては負担なので仕方がない。
著名な建築家が手がけたものや歴史的に意味のある立派な建物は国や自治体が残すことがある。
けれど自分が好きなのは、民間の企業のビルや個人商店、民家などで、建築家の名前も残ってなかったり、それどころか時には家主が自分で意匠を凝らしたような、ちょっとヘンな建物たちだ。
どこかの様式を真似てたり和洋折衷だったり、なぜここにこれが?と不自然な装飾があったり。
当時の市民が少ない資材や知識の中で一生懸命工夫して建てた気配を感じて妄想するのが散歩の楽しみの一つだ。
経済効果はないかもしれないが、そんな多層的な過去の雰囲気を残すことも街の魅力ではないかなあと思う。
(代々木の九龍城こと代々木会館も今年取り壊された。こちらは自分と同い年...)
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