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デスクワークで生じやすい身体の使い方とその特徴

前回の記事で椅子で作業する理想的な姿勢や坐骨の見つけ方について書かせていただきました。今回は、前回の最後に紹介した周辺環境によって座っている姿勢が変化してしまうことの具体例とその対応についてご紹介させていただきます。

◾️今回の記事の概要 〜具体的な状況とその対応について〜
・モニターの位置
・マウス操作が多い
・電話の受け取りが多い(オペレーター業務)
・同じ方向への動作が多い場合
・日差しが強い
・冷房が強い
・お尻のポケットに物が入っている場合
・まとめ

はじめに

普段の癖や周囲の環境によって、人間の身体が変化することがある事があります。逆に身体の状況に合わせて周囲の環境が変化することもあります。
例えば、ズボンを履くときにどちらから履くことが多いでしょうか?おそらく多くの方は無意識にどちらかの足を決めていると思います。例えば右足からズボンを履く動作を長年続けていれば、段々と身体もその状況に合わせた使い方へと変化していきます。動作が環境に適応していく事自体は悪いことではありません。ご心配なさらずに。
その動作をしていて、何も感じなければ病院に来ることはないのですが、ズボンを履こうとして腰に痛みを感じるとみなさんは病院を受診されます。僕らは治療場面で患者さんに身体の使い方を確認したり、問診したりすることで、腰にどんな負担がかかっているのかを評価して治療を行なっていきます。その中で、患者さんから「そう言えば、〇〇な感じで動作を行なっている」というお話を聞くことがあり、その情報が治療のヒントになることが多々あります。今回は、実際に僕が経験してなるほど!っと納得した「環境が身体に与える影響とその対応について」の一例をご紹介をさせていただきます。あくまで一例ですので、全ての場合に当てはまるわけではない事をご了承ください。

PCモニターの位置

会社のデスクの環境として、ご自身の正面にモニターがある場合はいいのですが、複数のモニターを使用して作業される方、椅子や周辺環境の影響でモニターが正面に置くことができない方は、結果として首や目などが頑張ってしまいその部分に疲労を感じることが多い印象があります。これはPCに限らず、リビングでのテレビの位置やスマートフォンの位置によっても肩や首への負担を強めることにもなります。
対応としては、自分の正面にモニターをおく。モニターの高さを少し高めに設定する。ノートPCでモニターの高さが変えられない場合は外付けモニターを使用する。モニターと自分が正面に位置することができない場合は、椅子の向きを変えてみる。作業が一段落としたらモニターと反対方向に首を動かす。

マウス操作が多い

キーボードやマウス操作が中心となるデスクワークですが、マウスを操作する位置も意外と大切なんです。マウスの位置が自身の身体よりも外側で作業が多くなると、脇が開いて来る方がいます。これはタイピングも同様ですが、左右の脇が開きやすくなると自然と肩甲骨周りの筋肉が緊張して、肩こりを感じやすくなります。
対応としては、脇が開かない様な位置を見つける。脇が開いたら肩の力を抜くことが良いです。マウスパッドを変えたり、マウスの操作する場所を変えることも有効になることがあります。また、指を使う作業なので以前の記事で紹介した肘の内側へのセルフケアも有効だと思います。仕事や作業の合間に軽くマッサージしてあげることも効果的です。

電話の受け取りが多い

コールセンターなどでマイクを利用している場合はあまりないかと思いますが、自宅でのスマホの通話や受話器を耳と肩で挟む様な姿勢が多いと、やはり慣れている側ばかりの首や肩周りが疲れやすく、症状があることが多いです。
対応としては、作業環境としてはマイクが導入できれば解消されますが、すぐには解消できない場合は会話の内容をメモするなど片手で作業できる内容に変えてみること。受話器を挟んでいる反対側の方向へ首や身体をストレッチして、真ん中の位置に首の位置を戻してあげること。

同じ方向への動作が多い

オフィスワークや工場でのレーン作業の方が該当すると思います。ある特定の方向での作業が多くなってくると身体の真ん中のラインのデフォルトがいつの間にかそちら側に変化してきます。具体的には、右への振り向き動作が多い場合の方は、身体はいつの間にか右への振り向きやすくなります。同時に左への振り向きが行いにくくなることがあります。
対応としては、普段行なっている逆方向に身体を軽く動かすこと。出来れば、普段の中でも逆方向に動きながらの作業を行ってみることも良いかもです。ただし、無理をかけながらの動作になる様であれば行わない方が良いです。

日差しや冷房が強い

上記の記事は少し強調していますが、日光や冷房などの温度環境、光環境も身体に変化を与える要因です。その瞬間では特別何かが起こるわけではありませんが、長時間の環境で作業を続けていると、身体が順応した結果、上記の様な症状が出現してくることもあります。
最近では、気温も徐々に上がってくるので熱中症予防のためにも冷房使用が勧められています。冷房が効いていると左右の肩甲骨の間が硬くなって来ることがあります。
対応としては、エアコンに直接当たらない位置に座る。風向きを調整する。首に一枚薄いストールやスカーフを巻くだけでも身体が冷えにくくなります。

お尻のポケットに物が入っている場合

これは主に男性になると思います。お尻のポケットにお財布を入れていると自然とお尻の位置が物が入っていない側へ流れる様に左右均等に体重をかけることができなくなります。こうなると前回の記事でご紹介した“坐骨”で座ることが出来なくなり、姿勢が崩れやすくなってきます。
対応としては、お尻のポケットから物を出す。もはや対応になっていないですね笑。

まとめ

人間は良くも悪くも周囲の環境に身体を適応させていくことが出来る生物なんだと思います。環境面に関しては変えられる部分と変えられない部分があると思いますが、その環境に適応した結果、姿勢や動きが変わってくることがあります。往々にして、その場合は特に症状がないので気がつかないことが多いんです。
上記の具体的な環境についての対応が特別な対応でないことは読者の皆さんもお気付きだと思います。ですが、臨床では患者さん達はそんな当たり前の部分に気がつきにくくなっている方が多いんです。だからこそ、環境を変えることよりも自身の周辺環境や自分の作業の特徴・クセに気がつくことがとても大切なんです。
先ずは自分がどんな環境で仕事をしているかという状況に気がつくことが、セルフケアへの第一歩になると思います。身体のコリや痛みなど何か違和感が生じたときには、ご自身の身体や周囲の環境面について一度客観的に見直してみると問題が見つかることがあると思います。
今回は、僕が経験した環境面が身体に与える影響についてまとめてみました。今月から通常通りの仕事が再開する方もいらっしゃると思いますので、仕事環境がリモートワークから変わった方も含めて、少しでも参考にしていただけると幸いです。

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