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【イタリア】美意識が衰えない👠高齢者のスタイル

バス停で待っている時のこと。
二人のご婦人がなんだか気になり出したんです。

イタリアではよく見かけるマンマ(ママの意味)。
薄手のワンピースを着て軽やかな雰囲気。

ですがよく見ると、細部にまでオシャレに手を抜いていません。


それがこの写真


遠くに見えるバスを待っています。


この二人を観察してみましょう。

分かりやすく、イタリアの仮の名前をつけてみます。

髪の短い婦人を「アンナ」
手前の婦人を「ラウラ」としましょう。


アンナとラウラの
ファッションチェック


Capelliカペリッリ: 髪

二人とも毛量は豊かです。
アンナのボブは毛先が揃っています。
アイロンをかけているのかクセもあません。

ラウラのアップにしたお団子は髪が長いのでしょう。
ハリや艶やかさもあります。

そしてなんといっても「」です。

アンナのシャンパンゴールドヘアーは、染めたてでしょうか。眩しい。

ラウラのブロンドもメッシュが入っていて美しい。
白髪とも見事に融合しています。


年齢を感じさせない艶と色は手入れしていることが伺えます。

鏡を整えることは身だしなみの大きな部分でもありますね。


Vestitinoヴェスティティーノ: ワンピース

夏になると、一枚で簡単に着られる服は、マンマの必須アイテム。

涼しくて、洗ってもすぐに乾くから便利。
マーケットに行けば安く手に入ります。


アンナの刺繍のようなデザインは素敵です。
それだけじゃない。実は白地のドット柄により少しお高く見えます。

ラウラの花柄パターンも似合っています。
曇りがちな空なので長袖くらいがちょうどいいのでしょう。

Sandaliサンダリサンダル

寒くなくなるとマンマたちはサンダルを引っ張りだします。
少し早いのでは?と感じるくらいですが、
日が高い時に出かけるのがマンマ。
(食事の準備がありますからね)

注目すべき点は「ヒール」です。

日本の高齢者は、快適さや実用性を求め、平たい靴を履く人が多いです。

一方イタリアのシニアは、いくつになってもヒールをはいています。

優雅さや女性らしさを表現しているようです。
かつて培ったファッションへのこだわりを持ち続けています。
ラウラの伸びた背筋は若々しさを感じますよね。

90歳を迎えようとしている義母もお出かけだけでなく、
室内のスリッパでも少しヒールあるものを好んでいます。
背筋が伸びるのと、後ろに倒れないためと言っていました。

イタリアでは、腰を曲げて歩いている人をほぼ見かけません。
バランス感覚や脚の筋力を保つ秘訣がヒールなのかもしれません。

見逃せないのが、ラウラの足首。
さりげなくアンクレットをしています。


Borsaボルサ: バッグ

二人とも両手が塞がらない斜め掛けバッグを使っていました。

ラウラはブラウン系のバッグで、ストラップの部分に、
しっかりとイタリアのブランド
「BORBONESE」と刻まれています。

日本円で約3万円くらいでしょうか。
職人技による伝統を重んじ、エレガントであることも人気の秘訣。
持つことで若々しい印象を与えることにもなります。

アンナは写真では見えませんが、黒いバッグを持っていました。


ここで、あることに気づいた方はいらっしゃいますか?

ヒントは、「組み合わせ」です。


色の。



二人とも、バッグとサンダルの色を合わせているんです。

アンナのスタイルは、
白い花柄のワンピースに黒のバッグと黒いサンダル。

ラウラのファッションは、
緑のワンピースに、茶色で揃えています。

当たり前かもしれませんが、服装から見ると、
ラフな買い物に出かけていると思います。

サンダルなんて、履きやすさや歩きやすさを重視しそうですが、とんでもない。

バッグと色を合わせるんですよ。
いや、サンダルのためにバッグを選んだのか。

意識していると思います。



さらに細かく見ていきましょう。


Smaltoズマルト: ネイル

イタリア女性は爪への関心が高い!
していない人の方が少ないと感じてしまうほどです。

会社員はもちろん、飲食店スタッフもほとんどの女性がしています。
しかも派手な色を。日本のように目立たない柄なんてありません。
細部に気を遣っていることの方が重要なのでしょう。


ラウラは少し長めのシルバーを。
アンナは赤いマニキュアをつけています。

ペディキュアはまだしていないようですが、時間の問題でしょう。

していないとサンダルを履かないという人もいるくらい、
服と同じよう感覚なのかもしれません。

以前私は、夫に勧められてマニキュアをしてもらいに行きました。

ここポイントです。

夫は私に、美への興味をもう少し持った方がいと思ったのでしょう。

シニアでも手入れをしているんだから、そう思うのは自然な感覚。

しかし予想通り、私の爪は脆いので、3日も持たずに剥がれました。


Truccoトゥルッコ: メイクアップ

写真から二人の顔は見えませんがバッチリメイクをしていました。

アイシャドウは派手な色をつけ、マスカラも眉もしっかり。

今の時代に合っているなんて関係ありません。
私には派手に見えてしまいますが、他人の目よりも、
自分を美しく見せる技を培って来たんですから。
それを通すんです。


一番印象的だったのは真っ赤な口紅。

赤い口紅を使う日は、特別な気がします。
服装に合わせたり、気分をあげたり。

"ちょっとそこまで"の買い物に使うと言うより、
"ここぞ" と気合いを入れるアイテムでもあると思います。


どんな思いで二人とも真っ赤な口紅をさしたのか。
女性らしさだけでなく、自信も感じられます。


あっ、バスがやって来ました。

今日もマンマは着飾ってお買い物に行っていることでしょう。
美への関心は高齢になっても衰えない、イタリアらしい文化。
今後も継承し続けてほしいと願うばかりです。

そんな私も、気づいたらワンピースを着ているのかもしれない。

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