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【イタリア】売れる?夏の革製品と冬のジェラート

季節限定の労働


季節によって繁忙期が左右される職業が存在する。
海の家や、リゾート地、農業や漁業などがある。


ラジオ局に勤めていた時、
製紙会社を営んでいた人に取材したことがある。
夏に向けて団扇を作っていて、繁盛しているのは知っていたが、
団扇の季節が終わったら何をしてるのか気になった。

失礼ながらに質問した。
まさか、みんな休む?

・・・

そんなワケはなく、
冬に新調する、紙製品を製造していると教えてくれた。



それが、「カレンダー」だ。



なるほど!と膝を叩きたくなるような、見事なサイクルに、
ますます世の中の職業が気になった。


フィレンツェと革製品


フィレンツェには、革製品を扱うお店が数多くある。
個人商店から、服やバッグを扱うお店、また大手ブランドまで
あらゆるタイプの製品を手に入れることができる。

フィレンツェと革製品の歴史は、
1500年代、すでに革製品を扱う産業があったと記録されている。
トスカーナの豊かな土壌で育った牛がいること、
街の中心を流れるアルノ川が、製造や流通で活躍したこと、
技術ある職人が多く集まったこと、
また、彼らにしか出せない色やつやがあるなど、
さまざまな条件が重なって発展し、今も受け継がれている。

グッチやフェラガモなど、
有名ブランドの発祥の地となった理由もここにある。
そして、世界中から、革細工を学びにくる学生が詰めかけている。


私が初めてイタリアに来たのは9月。
日中は暑いが、朝晩は肌寒くなる。

そんな時に、一枚あると便利なのが「革のジャケット」。
お店には、時代に左右されない定番のデザインや、
個性を出したい人には、珍しい色など見つけることができる。

イタリアでは、バイクに乗る人も多いと感じた。
ライダーにとって、オシャレであり、防寒着として重宝される。
また、ライダーズジャケットはいつの時代もファッションに
取り入れられ、失敗しにくいアイテムの一つとなっている。


夏でも革製品って売れるの?


しかし、ふと疑問を抱いた…

革製品って、主に寒くなってから使うもの。
カバンや靴を、夏にはあまり利用しない。
強いて言えば、財布やベルトくらいだろうか。


「真夏の30度を越える日にも、革製品って売れるの?」

私は、うだるような暑い時に街を歩いていて、
革のジャケットなんて見たくない!と思った。


そう、彼らは、年がら年中販売している。


その一つの理由に、観光客がある。

これは新型コロナウイルスが蔓延する前のこと。
異国から訪れた人々は、
フィレンツェが革製品で有名な土地とはもちろん知っている。
だから、一着良いものを安く買おう!と
真夏でも購入する人がいるようだ。

とは言っても、真夏はジャケットより、カバンや財布などの
小物類をメインに扱うことになる。

旅の最中に、革製品を買うことで、
長期に渡って、思い出に浸ることができる。
それほど、フィレンツェの製品は良く、
また訪れたいと思わせる技術がある。

実際に、私も手袋とベルトはフィレンツェで購入している。
暖かさと、持ちが全然違う!

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この写真は、親友が訪ねて来てくれた時、
親しくなった革を販売するお兄さんのお店で撮った。
HDDが壊れて写真がこれしかなかった。



イタリアのアイス 「ジェラート」


もう一つ、気になる職業。
それが「ジェラート屋」。

ジェラートは、夏になると、毎日でも食べたくなる。
身体を冷やし、甘さでエネルギーも与えてくれる。

フィレンツェに住み始めた頃、
街を覚えるために、一日何時間も歩いた。
その時に、街に何軒もあることに驚いた。
カフェにあたるバールほどではないが、
欲しいと思ったら、近くで見つかるというくらい。
中心地には密集していた。

学生だったこともあり、
言葉が慣れないことから、こぢんまりとした店へ通った。
学校の裏にある、狭い路地にひっそりとたたずむ店は、
2種類の味を選んで、2ユーロくらい。
そこから、広場の端っこにあるオシャレな店、
日本にも支店を持つ有名店など、次々と開拓して行った。


食べ歩いているうちに、それぞれのお店で
味の種類が違えば、素材へのこだわりも知った。
フィレンツェで知り合った日本人の中には、
ジェラートの勉強で来ている人にも出会った。
そこから、さらに水分量や調合の話を聞いて、
好みの味を持つようになり、行きつけが決まっていった。


冬のジェラート

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そうこうしている内に、夏が終わろうとしていた。
するとまた疑問が浮かんだ。

「冬でもジェラートって売れるの?」


夏が終わり、しばらく食べない日が続いたが、
ある日、友だちに誘われてジェラート屋へ。

家の近所にある、地元民に親しまれているお店だった。
店内の装飾は、子どもに喜ばれるポップなデザイン。
夏場と変わることなく、賑やかに営業していた。

一つだけ違うことがあった。


屋内で食す!



さすがに冬は、ジェラートを食べながら歩くことはしない。
歯が冷たくなり、味覚が鈍くなる。

だから、暖房のついた店内で、寒さから逃れて、
ぬくぬくのダウンを着たまま食べる。
人がごった返すことはなく、
みんな食べ終わったらそそくさと出ていく。
(もちろんこれは、コロナ以前の話。)
兎にも角にも、
冬場でもあったかくしていれば、
ジェラートが欲しくなる。軽いおやつになるからたまらない。



限定の味!


冬になると、ジェラートのショーケースも変わる。
フルーツ系よりナッツが好まれる。
それだけじゃない、私が通ったお店では、
こんな味があった。


「冬限定のチョコレートムース!」

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大晦日にジェラートと自撮り。画像が荒いのは8年前だから…

ムースは、ホイップした生クリームとチョコレートを合わせる。
夏場はすぐに溶けてしまうから、冬時期のみ扱っている。
良いところに目をつけている。
現在も、この店を越えるチョコムースに出会えていない。
もしくは、最初に食べた感動があるのか。

濃厚なムースのジェラートは、夏を越える勢いで私を魅了していった。
明日も、明後日も食べたくなるほどの魔力があった。



さらにもう一つ、
ジェラート屋が冬でも営業できる理由がある。


ケーキの販売

ジェラートの数が減り、
ショーケースの中に、アイスケーキが並ぶ。
小さなサイズで、いくつか食べたくなる。
チョココーティングした中に、アイスが入っていて、
ちょっとだけ味わいたい人にはもってこい。

他に、ホールの半冷凍ケーキも扱っているので、
誕生日やお祝い用のケーキとしても需要がある。

私の知り合いの店は、
冬場は、ワッフルやクレープにも力を入れている。
あったかい生地にアイスや生クリームを添えたら立派なおやつ!
がっつりデザートを食べたい時に訪れている。

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ということで、
季節によって売り上げは左右されるかもしれないけれど、
いつも年中開いていることを知った。

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