見出し画像

【イタリア】大麻:マリファナが合法へ!?

イタリアで大麻の合法化を訴える団体が、一週間で50万人もの署名を集めた。そして来年、国民投票が行われるようだ。


イタリアでは吸っていいの?


この国の刑法では、医療用の使用は許可されている。しかし、売買や栽培などは有罪になることもあり、10年以下の禁錮が言い渡されるらしい。



前述の推進団体が、合法化に向けて行動する理由はこうだ。

・「大麻が合法化されれば、少量の大麻を理由とする不必要な裁判を終わらせることができ、耐えがたい痛みを緩和するために使う患者が二度と裁判にかけられずに済む」   

・大麻が合法化されれば何千もの新規の雇用が創出され、国家の税収も増えると主張している。

・「大麻を合法化してイタリアのマフィア一掃を」と呼びかけている。
                       (CNNニュースより)

理解できるようでできない。納得できる理由が見当たらず、単なる吸いたい人の言い訳に聞こえてしまうのは、私だけだろうか。


実際、イタリアの14万人の小さな街に暮らしていて、吸っている人を見かけたり、臭ったりするかというと、「普通にいる」というのが現実。日本に比べると、入手も容易でその瞬間を見かけることもあった。というほど、日常の中に入って来ている。


というのも、2021年の9月8日に個人で利用する場合のみ、少量の大麻栽培が合法化された。

また、街にはかつて薬物の取引が行われていた公園があり、夜になると人気のない場所だから、輩が集まることは難しくない。




アムステルダムで知った大麻


なぜ、私が大麻:マリファナの臭いを知っているかというと、9年前 オランダへ一人旅へ行った際、細い通りを歩いて不思議な香りを味わった。なんだか香ばしく、ほうじ茶のような香り。B&Bにチェックインして調べてみると、マリファナに関する規制が緩く、みんなが吸っているということを知った。

街の建物と建物の間の小道には、安い椅子が無造作に並んでいて、そこでおじいさんの集団がもくもくと白い煙を上げながら吸っていた。その一人と目があった時は、逃げるように早足で通り抜けた。

画像1

アムステルダムには、コーヒーショップと呼ばれるお店で、大麻を販売している。老若男女問わず利用している人を見かけ、誰でも気軽に買えてしまう。


日本人も吸っていいの?

誰でも買えるなら、日本人も?と思うだろう。買うことや吸うことはできてしまう。オランダでは合法ではないけれど、やろうと思えば出来なくもない。

しかし、日本の法律では、所持や譲渡は違法なので、処罰の対象になることはある。海外で行われた場合でも、日本国民なら法律にしたがって適用されることがあるということだ。

つまりは、「手を出すな」

一度吸って、病みつきなると、簡単にやめられるほど薬物は甘くない。これにより命を落とした人、特に芸能人だけでも私たちは何人知っているだろうか。

そんなことに興味を持つ人より、ビジネスで成功へ向けて挑戦している人の方が魅力的だということを忘れてはいけない。


アムステルダムの観光事情

画像2

アムステルダムへ旅に行ったことをイタリア人に話すと「大麻は試した?」と冗談で言ってくる人は何人もいた。旅行先にアムステルダムを選ぶ理由に、格安航空の直行便があることも大きいが、目的の一つにソレがある。外で堂々と吸えることが快感なのだろう。


私は、全く興味がないから、ゴッホ美術館やレンブラント家、運河ツアー、散策で十分満喫できた。街は美しく整備され、映画の中にいるようなイタリアとは全く違う暮らしぶりに気分が高まったことを覚えている。

画像3



大麻に待ったをかけたアムステルダム


大麻に寛容だったアムステルダム市長は、ついに動き出した。


ロックダウン前のアムステルダムは、常住する人口より観光客が上回るほど、旅の人気のスポットになっていた。その多くは大麻を購入したり、喫煙したりしていたようだ。

外国から訪問客が溢れることに、住民は不満を抱く感情はよく分かる。街は汚れるし、危ない状態の人が増えることをよく思う人はいない。こんなことから、オランダの他の街では、外国から来る訪問客のコーヒーショップ利用が禁止された。


ついに、アムステルダムでも、外国人は利用できなくなる方向だ。


市長の意向は、

・コロナ禍の収束後に観光業の再編を断行する

・「アムステルダムは国際的な都市で、観光客を受け入れたいと思っている。しかし観光客には、同市の豊かさや美しさ、文化施設を目的として来てほしい」

・ハードドラッグの流入や、大麻取引に関わる組織犯罪に対処することを目指している。同市長は「大麻市場を縮小させ、管理できるようにしたい。大規模な計画だが、これ以外の策は考えられない」
                      (Forbes JAPANのより)


もう一つのグレー

さらに、アムステルダムにはキケンな観光がある。
「飾り窓」という、女性が個室内にてセクシーな服装で、窓から見る男性客を呼び寄せるというもの。気になる女性がいれば、入っていくシステムだ。

私が泊まった宿がこの場所の近くにあり、興味本位で夜の散歩に出かけた。真っ赤なライトに照らされた各部屋で、濃いメイクにギリギリの服装で誘っている女性たち。圧倒されて写真を撮ることもできなかったが、これがまかり通る街は、グレーゾーンでしかない。

日中の、観光スポットの華やかさとは裏腹に、夜の生々しい姿を見てしまった。この複雑な気持ちは、中学時代に体育の先生二人が結婚した時と同様の、大人の表と裏を見たような感覚だ。今となってはヘェ〜と他人事だが…



反省のアムステルダムと盲信のイタリア


アムステルダム市長は、規制することで組織犯罪にメスを入れるが、イタリアでは、合法にすることで、マフィアを一掃するという、まさに逆の行為。

イタリアで署名した人々は、アムステルダムのニュースを知った上で行ったのだろうか。国民投票でもし合法にでもなれば、今後のイタリアは衰えていくことが目に浮かぶ。

すでに若者の間では、残念ながら薬物の取引は日常茶飯事で行われている。焦点が定まらず、言動も不思議な人は珍しくなく、「あの子もか」と呆気に取られる。若者が親になった時に、その子どもが薬物に手を出すことをどう思うだろう。

夫の友だちにも、ドラッグにハマって抜け出せなくなり、セラピーを受けた人がいる。なんと彼の母親も薬物に溺れてしまったほど根深い問題に発展している。

アムステルダムのように、禁止にしたいと法律を変える日が来ることは間違いない。もしくは、薬物禁止の街ができ、それ以外の人はそこに住み、医療面でも生活面でも格差社会が加速するだろう。


今は、治療するために必要な人をサポートする体制を強化し、それ以外の快楽への規制は緩めるべきではないと思う。今後どのように国民の意思が表れるのか。来年の投票が待ち遠しい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?