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【ラジオ】イタリア通信:日本映画と Sushi づくり


2ヶ月に一度、西日本放送のお昼の生ワイド番組
「CHIT CHAT Radio」内にて、イタリアから生電話で
珍しい文化や暮らしでの発見、イタリアにあるニッポンを紹介しています。

2023年5月に放送した内容をまとめたものです。



Buongiorno a tutti‼︎

早速ですが、イタリアニュース!
現在、イタリアに日本の映画が入ってきています。

昨年、日本でアラフォーを中心に爆発的な人気を博したアニメと言えば?


・・・


『スラムダンク!』


日本での公開からわずか半年で、ヨーロッパ内でも先行して公開されました。
タイトルは同じ『The First Slam Dunk』として、
日本語と字幕付きで公開されました。
期間はわずか1週間ですが、都市でも田舎でも
全土で見られる!というこの興行は
いかに、イタリアで人気があるか分かります。

漫画もアニメももちろんイタリアに入ってきていたので、
よく知られた作品でもあります。

かつて、フィレンツェでの留学時、漫画の本屋を見つけて、
イタリア語の勉強のために、スラムダンクのイタリア語版を買いました。

2012年に中古を €2 で購入。店員さんと会話し「イタリアでも人気だよ!
フィギュアをもっている!」と誇らしく語ってくれました。



視点が違うイタリア


映画の感想を読んでいて気になったことがありました。

ちなみに、日本の感想を見ていると、

「泣いた、鳥肌がたった!何回も見た!」

作品の世界観に再び惚れ込み、読んでいた当時の青春時代が
「蘇った」と懐かしむ声が多くありました。


それに対し、イタリアでは、

「アニメーションは驚異的で文句のつけようがありません。CGIも素晴らしい!
(CGIとは、Computer Generated Imageの略。3D立体モデルにより描いたアニメーション映像のこと。)

「CGI」に触れる人が何人もいたんです。
なぜでしょう…

おそらく、アニメや漫画を読んだり描いたりして勉強している人が多く、
彼らも実際に模写したり、インスピレーションを受けている。
だから、人物の描き方や動かし方など、アートとしての目線で見ているんだと感じました。

5月下旬には、新海誠監督の『君の名は』『言の葉の庭』の2作品上映!

こちらもイタリア全土で、一つの映画の企画として催されました。
新海作品はイタリアでもすぐに入り興行を組みます。
ですので『すずめの戸締まり』も既に公開済みです。



話題2つ目


突然、Sushi づくりを任される


転職しました!
2ヶ月に一度お送りしている「イタリア通信」。
前回の3月から急ですが、転職しました!!

これまでは、中国人経営する、
「日本食料理店」でホールスタッフとして接客を行ってきました。
半分ブラックな店だったこともあり、辞めたいと思っていました。

そんな時に、知り合いの魚屋さんに呼ばれました。
新しくオープンしたカフェレストランで「sushi」を作ってほしい!とのこと。
えぇーーーーーーーすしーーーーーーー!?
普通の主婦だし…

「できるならば来月(5月)から来て!」と。
急な展開に戸惑いましたが、好機と捉え、変わることに決めました!
前職をあっさり円満に終え。チャチャっとホワイトな契約を交わし、

今月からいきなり、カフェを併設するイタリアンレストランで働き始めました。
お店は、海岸通りに面した芝生を有する半屋外。
そこで、海を見ながら軽食としてSushiを提供するんです。


アペリティーヴォという文化

イタリアでは、夕飯の前に、
軽くお酒とおつまみを飲む「ペリティーヴォ」という習慣があります。
空っぽなお腹を落ち着かせる意味合いもあり、がっつりは食べません。
一杯のお酒とナッツやポテトチップスが一般的です。
フランス語の「アペリティフ」という言葉を聞いたことがある人もいるかも。

勤めるお店は、魚屋が営むカフェレストラン。
夕暮れ時に、夕方のお酒のお共に「sushi」を提供する計画です。
Sushi のアペリティーヴォ=Aperi Sushi:アペリスシ

現在、この街の日没は、20時半。
(ちなみに食事は21時頃、子どものいる家庭はもちろん早いですよ)
(毎日というより、大人の贅沢な時間や、週末の楽しみと言えます)

太陽は、目の前の海に沈んでいくきます。
オレンジ色に光る空と海を見ながら、
冷えたスパークリングワインを片手に、新鮮な魚介を使った sushi を一口…Mmmmmm‼︎
最高なひとときをお届けしようという考えです。

Sushi 作ったことある?

急に Sushi を作ってくれと頼まれるのは、
海外に住む日本人、いやアジア人あるあるだと思います。
あと、ラーメンや天ぷらも同じ。

5年間 Sushi レストランで働いてきましたが、普段の生活でも作ることはほぼないです。
イタリア人の友だちとのsushiパーティーくらい。できるかどうか…

多くの日本人にとって、寿司は外へ食べにいくものや買うものというでしょう。
自分で握り寿司を作るのは、釣り好きやよっぽどのこだわりの持ち主だと思います。

寿司は、職人じゃないとできない!包丁の入れ方に大きな差が出ますから。
学生の頃に、本格的な「日本料理店」でアルバイトしてきたので、
そのくらいのことは分かるし、魚の旨さもここで学ぶことができました。
こんなことを知られたら、おやっさんに怒られそうで怖いです。
(ラジオを聴いていないことを祈るばかり…)

ですが、私も39歳。
できるかどうか不安~という、甘いことは言ってられません。
これまでの勘と経験と図太さでやるしかない!という状況です!

こんな Sushi はアリですか?


ですが、家庭で作る寿司もありますよね!
そいえば、巻き寿司でしょう!これだったら私も気兼ねなくできる!
もちろん、職人さんに目を合わすこともできませんが…海外なので悪しからず。

外国人に人気な Sushi といえば、「裏巻き」です。
カリフォルニアロールのような、海苔を内側にし、外側にお米がきます。
海苔に慣れていない人は、黒色を怖がる傾向にあります。見た目から敬遠する人がいるんです。
ですので、海苔の上にご飯をのせ、それをひっくり返し具材を乗せて丸めるという作業になります。

新しい Sushi

しかし、ただ巻いただけでは売れません。
今、若者に求められている Sushi は、真新しさです。

サーモンときゅうりなんて普通すぎてありえません!
きゅうりを嫌う人が結構いるのも事実。(夏の野菜という印象も強いので)
アヴォカドとカニカマもダメ!新鮮な魚介を売りにしていますから。

勤務し始めて、材料を揃えいくつか試しに作ってみました。

そこでみんなの反響が良かった4つを店頭に並べることに決めました。

お品書きを発表します!


その1:Salmone e Kiwi
「サーモンとキウイで巻いて、その上にオクラとレモンとカリカリ揚げねぎ」
サーモンをキウイという意外な組み合わせです。脂身と酸味が調和し、
そこにあまり知られていないオクラをのせることで粘りを体感してもらいつつ、揚げた玉ねぎのカリカリで遊ぶ。食感を遊んでもらいたいんです。

その2:TOSA
「マグロとネギを巻き、その上にマグロの炙り、レモンと生のニンニクスライス」
赤身の魚とネギとニンニクスライスといえば…「カツオのたたき風」。
高知県のスーパーでは、「土佐巻き」というカツオのたたきを巻き寿司にしたものが存在します。そこに近づけました。
Sushiに生ニンニクは珍しいんです。スタッフのウケも良かったです。

その3:Gamberi e tobiko
「エビとリコッタチーズとベビーリーフを巻いて、上にとびこ(飛魚の子)とスパイシーマヨネーズと生姜を効かせる」
エビはイタリアではサーモンより高い傾向にあります。生で刺身として食べるのが一番美味しいと思いますが、
エビもSushiにしてほしいというので作りました。生姜もすりおろす文化があまりないので、爽やかな印象にさせます。

その4:Bianco e Nero con Miso
「酢飯をイカ墨で黒くし、鯛と赤パプリカをまき、その上に、鯛と味噌と小ネギを乗せる」
Misoを味噌汁ではなく、そのまま食べることを知らないので、新しい味にみんなが驚きます。
何これ?という感じです。味噌のことを、「大豆を発酵させたもの」と説明するんですが、
健康志向ブームから、前向きに受け止める傾向にあるようです。
鯛と味噌の巻き寿司は一番反応が強かったです。
お酒のお共に一番向いているかもしれません。

こんな巻き寿司いかがですか?



イタリア在住歴10年の経験から…

新しい食材の提案をしています。
10年暮らしてきた中で見えてきた食文化。
5年間働いた日本食レストランは、伝統の味を基本としていて、
どんなものが好まれるのか見てきました。


そんな私だからできるのが「珍しい味の提案」。
味噌やオクラ、生姜のすりおろし、ニンニクスライスなど、どれも評判は良かったです。
今後は、「鰹節」「カリカリじゃこ」「錦糸卵」などを加えていく予定です。


寿司じゃない!

話を聴いていたら、こんなの寿司じゃない!と思った方もいるでしょう。
そんな声もたくさん届きました。

では、「ナポリタン」はどうなりますか??
イタリアにもナポリにも、ケチャップで味付けたパスタなんて存在しません!
日本が独自に開発した料理なんです。
喧嘩腰ではなく…料理は、文化や環境などにより変化するものですよね。

今、イタリアや諸外国では、新しいsushi「フュージョン(融合)」が求められています。
顧客のニーズに応えないと、来てもらえないのです。

今後、どうなっていくのかまだ未知の世界ですが、
うまくいけば、「Aperi Sushi」をイタリア全土から他の国に浸透することになるかもしれません!
想像の規模が大きいですが、そのくらいまだ検索しても理想のカタチ出てきません。

2ヶ月後の報告をお楽しみに!


Ciao‼︎



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