「お前、デザインわからないならデザイナーの後ろで作業ずっと見てろ」と言われ、素直にやってみたらすごい気づきがあった思い出
20年ほど前、フリーランスでマーケティングコンサルタントをやっていた頃、お世話になっていた(社員10人くらいの)デザイン事務所の社長から、「池ちゃん、うちもマーケティングの提案を強化していきたいから役員として手伝ってよ」と言われ、デザイン超絶門外漢の僕が突如デザイン事務所の役員を務める、ということがありました。
その会社は大手メーカー商品のネーミングやパッケージデザインを手掛けることも多く、最初に僕が担当したのも新商品のパッケージデザイン案をクライアントに持っていき、合意を取ってくるものでした。
クライアント先に行ってデザインを見せると、「おお!いいですね!」と好感触を得たものの、「でも、ここんとこ、オレンジに変えたいなあ」と。
小さな変更だから大丈夫だな、と思い、「承知しました!オレンジに変えたものをすぐにお送りしますね!」と返答し、帰社。
デザインの責任者に、「クライアントのOKもらいましたよ!でもここだけオレンジに変更して欲しいそうです」と伝えたところ、みるみるうちに顔の形相が変わり、「は!? ここオレンジにするって何? そんなことになるなら、このデザインはイチから全部やり直しだよ!」と激昂されました。
「ええっ?! たったこの小さなスペースをオレンジに変えるだけで全部やり直しって何??」と混乱して立ち尽くしている僕に、社長が、「池ちゃん、デザインのことわからないもんな…。一度、デザイナーがどういう仕事をしているのか、何も言わず、何もせず、ただ後ろからデザインするとこずっと見ててみ?」と言われ、その夜、数時間デザイナーの後ろに座り、一言もしゃべらずずっとパソコンの画面を見ていました。
するとどうでしょう!!
ものすごく小さな箇所の線の引き方、0.1mm単位での配置、何十回もの色の変更を繰り返し、最終的なデザインができあがっていることを恥ずかしながら初めて知りました。
「俺が見ていたのは、何十回、何百回の試行錯誤を経て出来上がっていたデザイナーのファイナルアンサーだったのか…!!」とガツンと頭をぶん殴られたような衝撃でした。
「そりゃ、ここオレンジに変更ね!よろしく!」なんて言われたらキレるよな…と、その背景と重みをよく理解した僕は、翌日、クライアントのところに出向き、「デザイナーは数十色以上の試行錯誤を繰り返し、ここはこの色と決めています。これが全体として最高のデザインなので、こちらで進めさせてください」と説明し、無事(?)了承を取り付けることができました。
目の前の仕事の完成形の裏には、プロの数十回、ときとして数百回の試行錯誤がある。
営業やプロデューサーは、一緒に仕事をするパートナーが出してきた「成果物」だけを見るのではなく、その背景にあるプロセスと想いも含め、クライアントに伝える覚悟をもたなきゃならない。
そして、それをするためにも、相手がどんなプロセスで仕事をしているのか理解しようとする努力をする必要がある。わからないなら、わかるまで背中に張り付いてでも相手を理解する努力をする、、ということを学んだ、若い頃の思い出です。
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