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副業や複業が「スキルアップの手段」になりにくい理由

昨日、トヨタ自動車の豊田章男社長が「もはや終身雇用は難しい」という趣旨のコメントを出したことによって、わかっちゃいたけどいよいよか…!とTwitter界隈が盛り上がりました。

こうなると、現在広がっている副業や複業がさらに注目され、「本業だけじゃ食っていけないかもしれないし、将来が不安だから副業やって所得を増やさな!スキルアップにもつながるしな」という人がより一層増えることが予想されます。

でもこの考え方、危ないなと。

「複業」も本業以外の仕事のことですが、「副業」があくまで本業の片手間に行う、所得補てんを目的としたサブ的な仕事という意味合いが強いのに対し、「複業」ではどちらが本業か明確に区別できないような時に使われます。 業種の異なる複数の仕事を、どちらも本業として兼務するような働き方であり、勤労形態としては「兼業」に近いでしょう。
※出典:「副業・複業」とは? - 『日本の人事部』

本業だろうが、副業だろうが、複業だろうが、役務(えきむ)を提供し、その対価として報酬をもらうなら、プロの仕事としての価値が求められます。

発注主は、期日までに、発注している金額に見合った品質の成果物を求めます。仲の良い経営者や発注担当者があなたのことを応援してくれ、スキルアップを兼ねた仕事を発注してくれる稀有なケースもなくはありませんが、それはかなり優秀な人や顔の広い人だけが獲得できる例外です。

仕事ですから、プロ品質の役務提供と報酬を交換する。それが大原則です。

「スペシャリストかゼネラリストか」は、正直どっちでも良いのです。大事なのは、プロ根性なのか、アマチュア根性なのか、です。

副業だからって、報酬をもらうならプロなんです。でも、副業=本業じゃない=アマチュア=そこまでの品質は求められないと理解してしまっている人が結構いる気がしています。

副業や複業は、本業と同等、ないしは本業よりも高いレベルで「仕事の進めやすさ(コミュニケーション能力)」「納期」「品質」を求められ、一度でもそれを破れば、次からの発注は無い厳しい世界ととらえるべきです。

なぜ、本業よりも厳しい世界なのか。それは、「会社」という後ろ盾がないからです。

会社に所属する社員なら、何かのミスがあったとしても、よっぽど大きなものでない限りあなたは切られないし、次も発注してもらえます。なぜなら、顧客はあなたではなく、会社(やチーム)に発注しているからです。

でも、副業は、多くの場合、個人で仕事を受けるので、何の後ろ盾もありません。欠損した機能を埋めるべく「いつまでに、この予算で、この品質の成果物を上げてね」であり、それができないなら、もういらないなのです。

前にこんな記事を書きました。

そうしたら、はてブに「いまの時代、副業や複業でスキルアップすればいいじゃん、やる奴はみんなやってるよ」というコメントが結構な数付きました。

本当でしょうか。それはすごく優秀なごく一部の人だけだと思います。

僕は29歳~30歳の頃、2年ほどフリーランスで独立マーケティングコンサルタントをやっていました。2002年~2003年で、まだブログもmixiもない時代です。

独立したときは「俺は自由だ!」「これからは自分で仕事が選べる」「好きなことをやって食っていけるんだ!」と期待に胸を膨らませていましたが、現実はそうではありませんでした。

フリーランスになったとたん、発注元から聞かれるのは「何ができますか?」「経験はありますか?」「XX円でやれますか?」の3点のみ。

「こんな経験を積みたい」「こんなことにチャレンジしたい」「仕事の幅を広げたい」などのこちらの都合は、相手には関係ありません。そりゃそうです。なにが嬉しくて、しがない29歳の若造にお金あげながらスキルアップの手伝いをしてやらなきゃならんのか。そんな意味不明な奇跡がこの世に存在するはずはありません。

ということで、少なくとも僕の場合は、フリーランスで飯を食っている2年間は、「やりたい仕事」ではなく、過去の経験を切り売りしながら「やれる仕事」で換金し、なんとか食いつなぎました。

本業で優秀なエンジニアやライターが、そこで得た知見や経験をアウトプットしながら副業で成功しているケースや、機会や環境に恵まれ、スキルアップしながらいくばくかの換金にも成功している複業家(パラレルワーカー)は存在します。

でも、そういった人はごく一部です。この層の人がTwitterやFacebookで目立っているから、自分もできそう、と安易に考えないでください。

これから副業や複業が一般化していく中で、「こんなはずじゃなかった」という人が大量生産されるでしょう。それは、一部の成功事例を自分でも再現できると錯覚してしまったからです。

多くの人は月に3万円稼ぐことも苦労します。仕事内容は、経験の切り売りであり、スキルアップにはつながらない労働に近いものでしょう。そして、一度ミスったら、次はありません。

だからこそ、僕は「スキルアップの機会は本業にあり」と考えているんです。会社という後ろ盾があるうちに、失敗が許容されるうちに、仕事の幅を広げたりチャレンジできる機会を担保しながら報酬が得られるうちに、限界までスキルアップしてほしいんです。

ちなみに、うち(トライバルメディアハウス)は、副業も複業も認めています。どんどんやってほしいし、事実、ゲーセン女子や書道家、大学講師など、活躍しているパラレルワーカーも多い。みんな副業や複業の可能性や厳しさを理解し、チャレンジしていると思います。

ちなみに、僕自身は、Goodpatchの土屋さんや、鎌田さんと同じ。

みなさんも、世の中が本格的な副業・複業推進祭りに突入する前に、一度冷静に自分にとっての本業・副業・複業と、その実現可能性について考えてみてはいかがでしょうか。

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ソーシャルメディアに強いトライバルメディアハウス代表。得意領域はソーシャルメディア、ブランド、インフルエンサー、効果測定など。著書・共著書10冊。年間講演回数50回以上。サーフィン、ワーゲンバス、キャンプ、登山、DIY、ロードバイクが大好きな48歳。鎌倉稲村ヶ崎在住の2歳児パパ