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ネットで検索すれば何でも出てくる時代だからこそ、「暗記量」が多い奴が強いというお話

情報大爆発時代においては、知っているかどうかではなく、自分しか持っていない一次情報をどれだけ多く持っているかが重要、という話を前に書きました。

また、ビジネス上の戦闘力は累積矢面時間に比例し、その質を向上させるためには、仕事力=引き出しの量×瞬発力(必要な引き出しを特定して瞬時に開ける力)を高める必要があることも書きました。

二次情報を知っていることの価値が逓減し、自分しか知らない一次情報の価値が上がる。

ビジネス上の戦闘力は累積矢面時間を増やすことでしか増えず、そのためには仕事力=引き出しの量×瞬発力を鍛えなければならない。中でも、顧客との動的な会話(キャッチボール)の中で相手が抱える課題や範囲の解像度を上げる仕事の場合、要求定義力を高めなければならず、そのためには「瞬発力」を向上させなければらない。

こういうことを書くと、ちょっと誤解が生じそうなので、補足をしておきたい。

二次情報を知っていること(だけ)の価値は逓減していくでしょうが、「暗記していることの価値」は下がりません。むしろ、すべての出発点は、鍵となる知識をどれだけ多く暗記しているかにかかっているとも言えます。

例を挙げます。

広告やマーケティングの仕事をしていて、客先でチャネル戦略の会議をしているとき、「多くの物量を売るためにはコンビニ流通をどれだけ確保することができるかにかかっている」という話題になったとします。

そのとき、コンビニの現状について何も「記憶」していないと、具体的な会話を生むことができません。

でも、下記の情報が頭に入っていたらどうでしょう。

・店舗数はセブンが21,000店(弱)、ファミマが16,000店(強)、ローソンが15,000店(弱)で、大手3社で約52,000店舗(3社でほぼ寡占)
・一店あたり商品数は約3,000アイテム
・平均日販はセブンが65万(!)、ファミマが53万、ローソンが53万でファミマとローソンが激戦中
・1日あたり来店客数はセブンが(非公開だけどたぶん)約900人強、ファミマが880人、ローソンが770人
・客単価がセブンが(非公開だけどたぶん)700円強、ファミマが600円、ローソンが690円(客数はファミマが多いが、客単価はローソンの方が多く、日販は同じ)
・コンビニのフランチャイジー(店舗)に、毎月フランチャイザー本部から仕入れを推奨される新商品の提案は100アイテム(!)
・新商品の仕入れ権限は(例外を除き)フランチャイジーである店舗側にある。仕入れてもらっても商品の動きが悪ければ2~3週間で棚落ちする

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これらは二次情報なので、ネットで検索すればすぐに出てきます。だから、特段価値のある情報ではありません。

でも、”記憶” していれば客先での打ち合わせ中に、会話の一助になります。また、その記憶を手がかりに、さらなる課題抽出を進めていくこともできます。

客先の打ち合わせ中に、いちいち検索しながら話を進めることはできません。記憶していることが自分の引き出しの限界量であり、瞬時に取り出せる引き出しの数と中身の量を超えた「質の高い打ち合わせ」はすることができないのです。

なんでも検索すれば出てくる時代だからこそ、記憶量が打ち合わせの質にダイレクトに影響を与えるんです。記憶しているだけで、ライバルよりも一歩先へ行くことができます。

広告、広報、マーケティングに携わっている人は、キーになる情報を、できる限り多く記憶しておくことを強くお勧めします。

・世界の人口は75億人くらいで2100年には110億人になって減少に転じる
・日本の人口は1億2,600万人くらい
・日本の世帯数は5,000万、平均世帯人数は2.5人で世帯人数は減少傾向、世帯数は増加傾向
・いま一番多いのは既婚子持ち世帯(1,400万)ではなく一人暮らし世帯(1,800万)である
・日本人の平均年収は430万円(世帯年収、中央値、最頻値は別)
・初婚年齢は男性が31歳、女性が29歳で、都市部だと+1歳
・婚姻数は年間60万組(120万人)
・合計特殊出生率は1.4くらいで、年間に生まれる新生児は92万人。団塊世代が270万人、団塊ジュニアが200万人だったから雲泥の差
・全体の離婚率は35%で、実は結構高い
・生涯未婚率は男性24%、女性14%で、男性は4人に一人が生涯未婚(49歳まで結婚しない)

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社会構造に関連することをざっと挙げただけで、これだけあります。もちろん、もっとたくさんあります。

広告やマーケティングは、消費者という名の国民にメッセージを届け、知ってもらったり、興味を持ってもらったり、理解してもらったり、欲しいと思ってもらったり、買ってもらったりすることを促す仕事です。

であるならば、上記に関連する数値は、記憶しておいて欲しいのです(気になったときに調べるじゃ、動的なキャッチボールで価値が共創される打ち合わせでは使えないんです)

僕は人前で話すことが多いこともあり、”大切な数値” はできる限り記憶するよう、意識的に暗記します。

"大切な数値" とは、セミナーや客先で使ったときに、複数回、話題が広がったり、課題抽出やプランニングの一助になったものです。これらは、汎用性が高く、多くの場所で ”使える数値” なので、定期的にアップデートするリストに(頭の中で)加えます。 

数値は大事です。

「ここ数年で、ものすごい勢いで成長しています」よりも、「この5年間で年率平均150%、市場は8倍にまで成長しています」の方が圧倒的に説得力ありますよね?

ということで、二次情報よりも一次情報が貴重な時代かつネットで検索すれば何でも出てくる時代だからこそ、記憶量で差がつく時代でもあるぞよ、というお話でした。

暗記大事だよ!

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