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【日本語教師】転機な出来事①

誰しも、人生の大転機/ミニ転機、のきっかけがあると思います。
私も、いくつか(自分内で)衝撃を受けて、それから授業の考え方や内容を変えた出来事があります。今日は、その①です。

それは私が、はるか昔に受け持った担任クラス・・
みんなの日本語Ⅰが終わって、Ⅱの教科書をしている頃でした。
そのクラスは、私が0レベルから受け持っていたクラスです。
その日は、第34課「~とおりに」の練習日でした。
私はこんな活動を試みました。

1. 1人の学生を指名。指示カードを渡す。
2. その学生は、「私が言ったとおりに、絵を描いてください」と言って、
3. カードに描かれている簡単なイラストの説明をする。
4. 他の学生は、聞いた通りに、ノートにイラストを描く。
5. あとで「本当に聞いたとおりに描けたかな?」とみんなで答え合わせ。

指示カードのイラストは、簡単な絵です。
例えば、
「ビルの上に象がいます。鼻からシャワーを出しています。ビルの横に人が立っています。象のシャワーを浴びています。・・」のような、みんなの日本語Ⅰレベルの日本語文で説明できるようなものです。

私は、クラスで一番成績がよかった学生を指名して、指示&イラストカードを渡し、みんなに説明するようにお願いしました。
そしたらなんと、「できない!!」と言って、困惑してしまったのです。

その時の、私の衝撃は今でもよく覚えています。
経験を積んだ今になってみると、どういうことかよくわかります。

そのころの授業のやり方・・
その日の学校のカリキュラムで当たっている担当課の項目の導入・ドリル・話題を一生懸命やる。練習する。その文法を使った文の話題をふって話す!
その項目を使う活動(インタビューとか、ゲーム的なものとか)。 
結構楽しいし、なかなか盛り上がったりしていました。

ですが学生は、忘れてしまう。
勉強した文法も、使わないとどんどん忘れる。

ちなみに指示カードで説明をお願いしたその学生は、英語・中国語が堪能でした。
つまり、授業中は日本語で話すけれど(それもソツなく)、
休み時間、プライベートタイムは、英語か中国語にほぼ100%スイッチ。

その学生にとって日本語は「教室でお勉強するもの」だったのかもしれません。
そして、そんな授業を作っていたのは、自分だった・・と気づきました。
それから私は、すべての教案を作り直しました。

🌟アウトプット活動を多くして、
🌟ペアワークやグループワークをとにかく入れて、
🌟現実に使えるような/使いたくなるような場面や会話を用意する。
🌟1授業に1回は、「まとまった文or会話」のワークを入れる。
 (→既習文の復習も自然にできる)

・・とはいえ、やはり「プライベートタイムはすぐ母語にスイッチ」の学生はなかなか手ごわいです。(なかなか日本語が上手にならない)

でも、そのころよりも、休み時間に学生同士で楽しそうに日本語でコミュ二ケーションしているのを見るのが多くなった気がします。

今でも自分の授業はなかなか自信が持てないですが、今後もずっと、「日本語でのコミュニケーションの楽しさ」を仕掛けていきたいと思います。

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