正岡子規『はて知らずの記』#28 八月十四日 一日市→秋田
(正岡子規の『はて知らずの記』を紹介しています)
湖を眺めて、引き返す。十四日、庭前を見れば、
始めて
蕗葉の大なるを知る。
宿を出で、
北する事、一二里、
盲鼻に至る。
丘上に登りて
八郎湖を見るに、
四方、山、低う囲んで
細波、渺々、
唯、寒風山の屹立する、あるのみ。
三ッ四ッ、棹さし行く筏、
静かにして、
心遠く、
思ひ、幽かなり。
八郎につきて口碑あり。
大蛇の名なり、とぞ。
引き返して、
秋田の旅亭に投ず。
盲鼻(→三倉鼻)
三倉鼻は湖上の眺望第一に押されて