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Twitter新機能、フリートへの疑問

 遅ればせながら、先月頃にTwitterに追加された新機能のフリートをようやく使うことができた。私自身のフリート利用が遅れた理由は、使っているスマホが古すぎてAndroidバージョンが4.4より上に更新されずツイッターの新バージョンをインストールできないため。そもそもインストール自体できないか、できても動作しないアプリも増えてきているため、さすがに来年早々にはスマホを買い替えたい(その際にはせっかくなので、スマホ買い替えをネタに使用感などの雑感を投稿したい)。スマホが対応しておらず、PCブラウザ版には現状未対応のフリートを使うことができたのは、普段ツイッター参照には利用していなかったタブレットが新バージョンに対応していることに気が付いたから。個人的なスマホ事情はここまでで、以降はフリートの簡単な用法や使用感を述べたあと、フリートへのとある疑問を呈したい。

 Tweetに対してFleetと韻を踏む新機能は、その言葉に含まれる「はかない」という意味が表す通り、フリートによる投稿は一日で消えてしまう。既存のツイッターから見て異例な仕様が採用された理由としては、利用者が各段に増えた現在のツイッターにおいて、従来のツイートは、"いいね"やリツイートによる他人からの承認を気にしすぎてしまうことにあるとされる。そこで、かつてのツイッターのように気楽につぶやくことを可能にしようというのが、新機能フリート。投稿内容が24時間で消えるだけではなく"いいね"やリツイートも存在せず、従来のツイートと共通するアクティビティは返信のみとなっている点も大きな特色である。

 フリートの主な見方として、タイムラインの上部に左右に並んで表示されるユーザーの丸いアイコンをタップすると、パワーポイント等のスライド表示のように、時間経過に伴ってアカウントごとのフリートが切り替わる。複数件フリートしているユーザーについては、連続して同じユーザーのフリートが表示される。フリートしたユーザーの丸いアイコンは枠線で囲われており、色によって既読と未読がわかるようになっている。タイムライン以外では、ユーザー個別のプロフィールページを開いたうえで、左上のアイコン画像をタップすると「プロフィール画像を表示」と「Fleetを表示」の選択肢が現れ、フリート表示を選択すると、そのアカウントのフリートだけを表示することができる。なお、フリートがないユーザーは先ほどの選択肢自体が表示されず、従来通り直接プロフィール画像が表示される。

 一定時間しか表示されない、はかない仕様の新機能フリートだが、デザインそのものは従来のツイートよりも充実している。画像の上に文字を重ねることができ、文字色や配置等も詳細に指定ができる。時間経過でフリートが切り替わることもあって、物語性のある紙芝居的な用途にも適している。見え方としては、既知のものでは、先ほども触れたパワーポイントのスライド表示が最も近く感じる。このように、ヴィジュアル的には従来のシンプルな仕様のツイートよりも、ずっと進化しているのが目につくフリートの特徴である。このあたりは他のSNSが視覚に訴えかける要素を前面に押し出している部分に新機能で対抗する意図だと推測できなくもない。

 私自身がフリートを一度試して最も気になった、ひとつの機能がある。それが足跡機能である。投稿したフリートを開いて下部をタップ(だかスワイプ)すると、そのフリートを見たユーザー数とともにユーザーの一覧が表示される。この足跡確認はSNSによっては前提として搭載されている機能だが、タイムラインを流れる短文を眺めるという仕様がベースとなっているツイッターに関しては、おそらく閲覧の有無をチェックすることにあまり意味がないことを理由として、これまで存在しなかった。これに対して新機能フリートは主にタイムラインからわざわざ選択しなくては表示されないこともあってか、閲覧ユーザーの足跡を提示することが可能になっている。実際にフリートした側としては、この足跡機能は面白い。何が面白いかというと、普段ツイートには反応しないフォロワーの足跡もついていたりするからである。もちろん他のフリートとの流れで眺めただけの可能性も高いのだが、普段反応してはいなくても、少なくともミュートされてはいないことはわかる。つまり、というか、やはり、足跡機能にはエゴサーチ的な側面がある。ここで、そもそものフリート機能追加の意図に立ち返って疑問が生まれるのである。

 フリートは気楽に投稿できるという目的をコンセプトとして追加された機能だったはずである。一方で、足跡といえば投稿側としてどのようなユーザーが参照したかを知るための有用性はあるが、既読と未読の葛藤を生むことから見る側に対する無言のプレッシャーが生まれやすい、SNSの負の側面としても度々取り上げられる代表的な機能でもある。つまりフリートのコンセプトと足跡機能の性質はそもそも相性が悪いとしか思えないのだ。提供する側としては、「いくら気楽な投稿がコンセプトといっても誰に見られたかぐらいは、わかるようにしておかなければ、利用動機に欠けるのでは?」という配慮かもしれない。しかし特に密接なユーザー間の関係確認に用いられやすく、場合によっては陰湿な状況を招きかねない足跡機能は、やはりフリートとはミスマッチに感じる。本当にフリートに反応したいユーザーにはリプライという道が残されているし、見られているかの確認だけなら、せいぜい閲覧ユーザー数表示までに限定するべきだった。それに加えて、機能紹介で触れたとおり、フリートはそもそもヴィジュアル的に訴える用途に適した表示仕様を採用している。これはある意味では、既存のツイートよりも"映え"を意図した投稿が求められやすい状況を生みかねない。

 私がタイムラインでフォローしているユーザーの利用を見る限り、ツイート数に対してフリートを利用しているユーザーは明らかに少なく、フリートするユーザーはだいたい固定されている。その理由として、先ほど挙げたようなフリートに搭載された仕様によるところはないのだろうか。新機能フリートに盛り込まれた仕様は果たして本当に、「反応を気にしない気楽な投稿」というコンセプトにマッチしているのか。これが実際にフリートを試して感じた率直な疑問である。

(※トップ画像はpixabayより。作成者はAnemone123様。)

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