UFJの決算から見えてきた若手社員の大規模な退職

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
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今日見ていくのは、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループです。

早速ですがこんなニュースがありました。

三菱UFJの20年3月期、一転して最終減益予想に のれん償却響く
2020/2/4 17:07
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は4日、2020年3月期の連結純利益の予想を下方修正した。前期比14%減の7500億円にとどまり、3%増の9000億円を見込んでいた従来予想から一転減益となる。海外子会社の株価下落に伴い、のれん2074億円を一括償却したことが響く。
あわせて発表した19年4~12月期の連結決算は、純利益が前年同期比33%減の5842億円、本業のもうけを示す業務純益(傘下2行の合算ベース)は、3%減の4334億円だった。国内外の金利低下に伴う利ざやの縮小が収益を押し下げた。

この海外子会社の株価下落とは、インドネシアの中堅銀行であるバンクダナモンの影響です。
それによってどうやら利益予想を下方修正したようで、さらに本業のもうけも3%減となったようです。

面白ポイント!!設備投資減少の余波

減益の理由を探っていきましょう。
それではこちらをご覧ください

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実は経常収益(他の業種であれば売上高に相当する部分)は3000億円も増回していることが分かります。

しかし、資金調達費用が2300億円も増加してしまっているため減益となってしまったようです。
資金調達費用とは銀行が貸し出しをする元本を調達するための費用です。
基本的には我々の預金から貸し出しを行うわけですから、そこに支払われる金利や口座管理費などがこの費用に該当するわけです。

これだけ資金調達費が増加している様子を見ると、近年の休眠口座を没収したり、口座管理費を取りたいという気持ちもわかる反面まだまだ6000憶円近く利益出てるんだから頑張ってよって気持ちもあります。

さてなぜこれだけ資金調達費用が増加したのでしょうか?

預金の利息が1300億円ほど増加していることが大きな理由に挙げられます

どうして預金利息が増加したのでしょうか?

預金金利上がっていませんので預金残高が増えたという事ですよね
最近は米中の貿易摩擦の影響もあり設備投資が減少傾向にありましたのでその影響が大きいでしょう。

基本的には個人の預金より法人の預金のほうが大きいわけですから、設備投資が止まると銀行の預金が増えてしまうというわけですね。
さらにこの低金利のですし、そもそも設備投資が止まると貸付が出来なくなってしまうので非常に厳しい状況になっていることがうかがえます。

面白ポイント!!退職給付にかかる負債の増加

こちらの資料をご覧ください。

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退職給付にかかる負債が200億円も大幅に増加している事が分かりますね。
昨年度はこの数字がほぼ横ばいだったことからもこの伸びの大きさが理解してもらえるはずです。
この退職給付にかかる負債とはざっくり説明すると、退職金の支払いに対して積み立てしてますよって数字です。

今後三菱UFJは自然減によって2023年までに6000人の人員削減をすることを発表しています。
ちなみに自然減とは、リストラしないけど定年退職者1000人に対して新卒500人しか採用しなかったら500人減るよねって事です。

つまりこの自然減の部分は想定通り毎期一定の退職者が出るという事なので、退職給付にかかる負債をこれだけ増加させる要因にはなりません。

ではどうしてこれだけ急増したのでしょうか?

実はこの退職給付にかかる負債は割引計算をします、割引計算は説明が大変なので説明しませんが結論だけ言うと、近い未来のほうが金額が大きくなるという特徴があります。

例えば、1年後1000万円退職金を払うのと10年後に退職金を支払うというのを割引計算すると1年後だと積み立てる必要があるのは980万円だけど、10年後だと800万になるといった感じです。

つまり、30年働く予定で退職金を積み立てていた若手が5年後にやめていくという予測になると積み立てる必要のある金額が増えるんですね。

つまり、この退職給付にかかる負債の急増から見えてくるのは若手社員が大幅に退職しているので予測数字の期間が短くなったよって事なわけです。

三菱UFJの未来!!

金利の低下や資金調達コストの増加、フィンテック企業の台頭など厳しい状況に立たされている中で、テックを入れて省人化していく必要がありますから、想定通りもしくは想定以上に人員を削減出来ているので短期的には、利益を確保し続けられる可能性は高そうです。

しかし若手を中心に大幅に退職していっている可能性が高いので中長期的に見たときには厳しい状況ではないかと考えます。

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