クラウドソーシング・スキルシェア・知見共有業界の現状まとめ編(ランサーズ・クラウドワークス・ココナラ・ビザスク)

どうもコージです! 私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。 そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今週はクラウドソーシングやスキルシェア、知見共有といったオンライン上で個人で仕事をするような業界を取り上げています。
具体的には、ランサーズ、クラウドワークス、ココナラ、ビザスクを取り上げています。

今回はそのまとめ回となっています、各社の違いと業界の現状について見ていきましょう。

各社について詳しくはこちらをどうぞ。

一応各社の事業内容の違いだけ軽く整理していこうと思います。

まず、ランサーズとクラウドワークスはクラウドソーシングの事業を行っていて基本的にはBtoCの取引が多いです。仕事をしたい個人と企業をマッチングする事業ですね。
続いてビザスクは同じくBtoCがメインですが、仕事のマッチングではなく専門知識を持つ方と、それを知りたい企業とを結びつける知見共有のサービスがメインです。
最後にココナラですが、CtoCにより近いスキルシェアのマッチングサービスがメインとなっています。

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そういったサービスの違いもあり顧客数と単価を見てみると、ビザスクの単価が270万円と圧倒的で顧客企業数は735と少ないです。
一方でCtoCのココナラは単価が25,525円と非常に低いですが購入者数は23万人と非常に多いです。
そして、その中間にあるのがクラウドワークスやランサーズとなっています。

それでは、ほんとに軽くですが違いが整理できた所でまずは時価総額から見ていきましょう。

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時価総額では上から順に
①ココナラ:448億円
②ビザスク:380億円
③クラウドワークス:237億円
④ランサーズ:105億円
となっておりスキルシェアのココナラがトップで、クラウドソーシングの事業を行っている2社は低い評価となっています。

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では現在の事業規模、流通総額はどうかと直近の3か月間を見てみると上から順に(決算月にずれはあります)
()内は時価総額の順位
①クラウドワークス:36.7億円(3)
②ランサーズ:23.9億円(4)
③ココナラ:21.8億円(1)
④ビザスク:7.9億円(2)
となっていて実は流通総額ではクラウドワークスが最大で、時価総額の上位2社の方が少ないんですね、特にビザスクは7.9億円とクラウドワークスの4分の1以下しかありません。

ではどうして流通総額が小さいにも関わらず高い評価を受けているのかというと、その要因の1つは成長率にあります。

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2017年~2020年の流通総額の年間平均成長率(CAGR)では
ビザスクがトップで75.2%、ココナラが69.8%と高成長を続けいている一方でクラウドワークスは31.8%、ランサーズが19.1%となっています。

あああ

さらに直近の四半期の前年同期比というところに絞ってみても、ビザスクは76.5%、ココナラは59%と高成長を維持しているのに対してクラウドワークスは20.1%、ランサーズは13.8%と成長率が下がってています。

もちろん規模が大きくなれば成長率は鈍化していきますから、率で見ると流通総額上位2社の方が伸びにくいという事はありますが、ココナラとランサーズの流通総額は21.8億と23.9億円と大差ありませんでしたから、成長可能性の差が大きい事が分かりますね。

また、評価に差がついている大きな要因はもう1つあります。

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その理由はテイクレート(手数料率)です。
①ビザスク:60.4%
②ココナラ29.1%
③クラウドワークス:22.2%
④ランサーズ19.9%
となっており、ビザスクは圧倒的に高く、ココナラも比較的高くなっている事が分かります。

ちなみにビザスクだけ圧倒的に高くなっていますが、これは主力事業のビザスクinterviewでマッチングのフルサポートをしているために人員の稼働分があるからです。

ランサーズやクラウドワークスでもフルサポートのサービスは提供していますが、そのフルサポートテイクレートは30%ほどとビザスクと比べると低いです、さらに人員の稼働分は売上原価としているようで、すべてを販管費としているビザスクはテイクレートが高くなっています。

ちょっとややこしい説明になりましたが、フルサポートで人員の稼働があるので手数料率が高くなる他にも、会計処理の違いも影響していそうだって話です。

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とはいえビザスクのセルフマッチングサービスのビザスクliteでもテイクレートが30%なので、ココナラ以上の高水準となっていますのでそもそものテイクレートも高いことが分かりますね。

ではどうしてこの2社だけテイクレートが高いのかというと、まず大きな要因としては、圧倒的なシェアを獲得しているという事が考えられます。

こういったマッチングのサービスでは、マッチング量が増えればサービス内での人の評価データなどもたまって、発注者側からしても信頼できるワーカーが増えていきますし、ネットワーク効果(人が増えたら価値が高まる)が働きますのでシェアが高テイクレートを可能にしているという事です。

一方でランサーズとクラウドワークスはこの2社自体が競合ですし、ランサーズもテイクレートは現状維持という発表をしていますから、強い競合がいてテイクレートを上げられないという状況にいるんですね。

また、今後に関してもビザスク、ココナラはテイクレート面で優位性があると考えています。

まずビザスクでは競合が生まれにくいと考えているからです、専門家のマッチングでは専門領域のちょっとした違いからミスマッチも起きやすい上に、単価も高いサービスですから、1度のミスマッチで顧客を失うような事があります。

となると、現状1強でマッチングのたびにデータがたまり他社と大きな差がつき続けているという事で、このデータ量からくるマッチングの制度の差は大きな参入障壁になりそうです。

また、新興企業がシェアを拡大していく際の多くのケースは価格です、ですがそれも起きにくいと考えています。
というのもそもそも単価の高いサービスで、顧客が重視しているのは質の高いマッチングによる質の高い情報です。
となると価格を安くしたからといって、アダバイザー数が少なく精度も低い競合がシェアを取る事は難しいのではないかと考えています。

そしてココナラに関しては決済サービスの価値が高いので、高めのテイクレートが取れるのではないかと思っています。

例えばネットで知り合った方と仕事をする際に、BtoCのであれば、企業側は普段から労働や外注に関する契約や支払いを行っているので、仕事をする側からしても支払いに対する信頼性は一定程度ありますよね。
仕事したら普通にお金が振り込まれそうですし、振り込む側も普段の業務の一環なので大きな手間ではありません。

一方CtoCだとしたら、その支払いが本当に行われるのかという事に対してはあまり信頼できませんよね。
さらに支払う側も振込手続きをするのは手間です。

なのでプラットフォーム側が決済周りをしてくれるというのは、CtoCのサービスにとっては価値が高いですよね。

ちなみにこういったプラットフォームビジネスの支払い方法としては、先払いでプラットフォーマーがいったん預かり、契約完了後に支払いをする形で、未払いを防いでいます。

なので決済に関する重要度が最も高いCtoCをメインとするココナラでは、他のサービスより高いテイクレートをとってもサービスが利用されるだろうと考えています。

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続いて直近の四半期の売上を見てみると
①クラウドワークス:18.2億円
②ランサーズ:9.7億円
③ココナラ:6.4億円
④ビザスク:4.8億円
となっています。

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流通総額比で考えるとビザスクが明らかに高く、ココナラは低めになっています。

これに関してはテイクレートの違いも影響していますが、マッチングに人員が介入するかという点が大きく関連しています。

事業の大半がフルサポートで提供しているビザスクはその人員の稼働分が売上に上乗せされます、ランサーズやクラウドワークスも一部フルサポートのサービスを提供しているので売上が大きくなりやすいです。

一方ココナラは大半がセルフマッチングで手数料のみの売上となり差が出ているんですね。

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続いて営業利益と利益率を計算してみると
①クラウドワークス:1億700万円(5.8%)
②ビザスク:7700万円(16.1%)
③ココナラ:5700万円(8.9%)
④ランサーズ:0円
となっています。

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利益率という面で見るとテイクレートが大きく影響している事が分かります。

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続いて2020年度の流通総額に対する広告費率を計算してみると
①ココナラ:7.8%
②ランサーズ:7.4%
③クラウドワークス:5.8%
④ビザスク:4.4%
となっています、CtoCでよりマスにリーチしたいココナラが事業規模で考えると最も広告費をかけていて、業界2番手でより集客が必要なランサーズも多くの広告費をかけています。

一方で多くの方にリーチする必要性がなく、よりセグメントされた一部にだけのリーチでいいビザスクは広告費が少なくて済むという事でその点も利益率の高さに影響していますね。

という事で全体をまとめてみると、流通総額ではクラウドソーシング系の2社が大きいですが、市場からの評価はビザスクやココナラの方が高くなっています。
その要因としてて、企業の成長率とビジネスモデルや競合の環境要因からテイクレートに大きな差が生まれている事が考えられます。
さらに利益面で見てもビザスクは利益率高く、これにはテイクレートのほかにも事業内容的に大きな広告費をかける必要がないという事です。

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