ネットワンの決算から考える、東芝IT含む循環取引の内幕

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

さてこんなニュースがありました。

東芝ITが架空取引によって19年9月中間期に計上した売上高は総額200億円規模と見込まれる。東芝ITとネットワン、日鉄ソリューションズが関わる取引は15年に始まっており、架空取引による東芝ITの売上高は累計で400億円超に膨らむ見通しという。5社以外の企業が循環取引に関与した可能性もある。
東芝ITがネットワンの担当者から求められ、取引実態と異なる内容を記した資料を提出していたことも明らかになった。東芝ITが扱う機器の購入先と販売先が、ともにネットワンになっている不審な資料も見つかった。機器の価格や販売先はネットワンが調整していたという。

どうやら、東芝ITでは2015年から2019年までで累計400億円ほどの架空取引による循環取引があるようですね、今期は第二四半期までで200億円ほどの循環取引があったとの報道もありますので一気に膨らんでいった可能性が高そうです。

さて、今回はネットワンシステムズの決算からこの循環取引の中身を予想してみましょう。
「循環取引って何?」という方は、前回循環取引についての記事を書きましたのでそちらをご覧ください(そちら)。

循環取引をすると財務諸表はどうなるのか?

まず循環取引を行うと財務諸表がどのように変化するのか考えてみましょう。

まず架空の売り上げを計上するので売上高は増加するはずです。
その一方で同程度の金額が戻ってくることになりますので、利益率が低下するはずです。

例えば売上100億円、原価50億であれば利益率は50%です。
これが50億円の循環取引によって売上高150億円、原価100億円となれば利益率は33%に低下するというわけです。

また架空取引の時期によって、商品(在庫)の量とCF(キャッシュフロー)が大きく変化する可能性があります。
今回は架空取引ですから、仕入れより先に売り上げが立つことになりますから在庫が減っていきます。そしてその後実体のない在庫が増え、CFと利益の数字が乖離し始める可能性があります。

1.売上高
2.売上原価
3.売上総利益
4.営業CF
5.商品(在庫)

という事でこの5項目の変化を2014~2019年で追ってみようと思います。

ぱぱっとエクセルで作っただけなので見づらいのですが、こちらの資料をご覧ください。

画像1

全体的に見て2015年から第2四半期の売上高の伸びが大きく売上総利益率が低下している事から、循環取引では第2四半期に架空売り上げを計上していている可能性が高い事が分かります。

さらに2016年までは営業利益は横ばいに近いですが、2017年からは大幅増益なことが分かります。さらに2017年の第2四半期の売上総利益率が向上して第3期の売上総利益率が大きく低下していることから、このあたりから期ずれの循環取引をしている可能性が高いですね。

同じ期中に循環が1週すれば、売上が100億増えても費用も100億円増えるのでプラマイゼロになりますが、期をずらすと売上だけが100億増えるので利益がプラスになるという話です。
もちろん翌期の費用が100億増えることになります。

つまり第3四半期の売上総利益率の低下は、第2四半期に売り上げた分が第3四半期に戻ってきた可能性が高そうです。

第4四半期も売上高、営業利益の成長が大きいことからここでも、期ずれの循環取引をしている可能性が高そうです。

その翌期からは、常に利上げ総利益率が高い状態にあります。
利益操作の影響でマイナスからのスタートなので、ここからはそれをカバーするために毎四半期ごとに金額を大きくして循環取引をしていったのではないでしょうか。

さらに、2017年には非常に好調になった営業CFが、2018年には大増益にもかかわらずマイナスになっています。

期ずれの循環取引を始めた、最初の期は売上だけが増えてその分が入金されるだけなので、当然CFは好転します。しかし翌期からは前期の循環取引の戻り分の支払いが必要になるのでマイナスになってしまうという事です。


営業利益-営業CFをしてみると2018年からプラスになっています。
つまり利益に実態のCFが伴っていない状態で、粉飾決算の際によくみられる傾向です。
2017年に利益の数字をいじり始めてしまった結果そうなった可能性が高そうです。

まとめ

2016年までは、第2四半期でちまちまと期中で循環取引をして売上高だけを増加させていた。(従業員レベルで売上目標達成のためかも?)

2017年からは第2四半期で、循環取引の期をずらして利益の数字をいじり始めた。
その結果第4四半期でもいじるようになった。(このあたりから、経営層も関与し始めたのでは?)

2018年からは、利益をいじってしまったせいで毎期金額を増やしながら循環取引をし続けなければいけなくなった。

業績大予測!!

循環取引があると予想される部分を除くと売上が伸びていないことがわかります。
よって2019年の第2四半期の売上高は2015年あたりとと同レベルで、300億近く少ない可能性があります。

実態は第2四半期時点で600~650億円程度の売上高だと予測します

実態の売上総利益率は22~23%程度である可能性が高いので、単純計算で70億~100億円近く実際の利益は少ない可能性が高いです。

そうするとネットワンシステムズの実態は第2四半期で売上高600億~650億円程度、営業利益はゼロ~マイナス30億近辺である事を予想します。

さらに過年度の利益も2017年度から累計70億円程度過大に計上されていると予測します。

記事一覧へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?