サンマルクホールディングスの決算から考える今後の業績。

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社サンマルクホールディングスです。
サンマルクカフェや鎌倉パスタなどの運営を行っており、カフェ運営を中心としながらもレストラン業なども行う飲食グループです(グループ企業の詳細はこちら)。

この会社は「この会社の決算読んで欲しいという要望を大募集します!!」にてご要望いただいた会社です。

飲食業界に関してはこのnoteでも度々取り上げているのですが、カフェ業態に関しては取り上げた事が無かったので取り上げてみることにしました。
今回はサンマルクカフェの今後はどうなっていくのかについて考えていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

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売上高は1.7%減の689億円、営業利益は35.1%減の41.6億円、純利益は48.9%減の14.8億円となっており、減収減益となってしまっている事が分かります。

また売上は微減ですが利益は大きく減少してしまっています。
それはどうしてでしょうか?

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まず売上が減少した理由としては、2020年3月期の上期は前期越えとなる一方で下期には前期比93%台と大きく悪化しているからだと分かります。

下期の業績悪化の要因は、新型コロナはもちろんのこと、消費増税、台風といった要因もあったようで、外部要因によって売上が悪化してしまったようですね。

とはいえ、消費税も下がるわけでは無いですし、新型コロナもまだ継続中、異常気象も今後は増えていくと考えられていますから、外部要因が改善することはなさそうですので業績悪化は続きそうです。

続いてこちらの資料をご覧下さい。

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店舗数も922店舗から932店舗へと10店舗増えていますので、大幅減益の理由としては、増店によって増えた分のコスト増と下期不振だと考えられますね。

続いてこちらの資料をご覧ください。

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サンマルクの事業セグメントは①レストラン②喫茶とある事が分かります。
①レストラン:売上高365億円→357億円・利益42.6億円→31.5億円
②喫茶:売上高313億円→311億円・利益35.8億円→23.7億円
となっており両セグメントで業績が悪化していますね。

しかし、新型コロナによる影響が本格化したのも3月からという事で、その影響は1ヶ月分程度ですのでこの決算ではそこまでの業績悪化は起こっていません。

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実際に2月までは減少傾向にあるとはいえ既存店の売上も前期並みであり、3月になってから急に前期比66%まで減少となっている事が分かります。

さらに緊急事態宣言もあった4月・5月・6月は前期比で14.3%・17.5%・62%となっており、4月5月は壊滅的な状況ですし6月は6割ほど戻ってきていますが、最近は感染者数の増加に伴い、再び飲食店から人が減っているという話ですので7月はまた悪化している可能性が高く相当危機的状況にいると考えられます。
2021年3月期の業績が大きく悪化することは間違いなさそうですね。

観光業や飲食業の月次を見ていると、4~5月はこのサンマルクのように前期比10%台などはざらですし6月も5~6割といった感じです。
感染者数増加によって再び自粛ムードとなり始めていますが、このままだと財務的にも精神的にも続けていくのは厳しいというお店は増えてくるでしょう。

飲食や観光またはエンタメに携わる人はもちろん少数派です、マジョリティの意見を聞いていれば当然この業界は潰れます。
何の対策もせず好き勝手に遊べばいいとは思っていませんが、多数決では正解が出ない事は明白でしょう。

しかし多数決の意見が通るのが民主主義です、政治判断はもちろん多数側によりますので今後も自粛を是とする状況が続きそうです。

さて、サンマルクに話を戻しましょう。
相当厳しい状況にいる事が予想されますが財務状況は大丈夫なのでしょうか?

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まず、現預金や売掛金といった手元資金が177億円ほどある事が分かります。
また、その他にも現金化できそうな投資有価証券が7400万円、関係会社貸付金が資金が17.2億円ほどあります。
しかし貸倒引当金が16.5億円ほどありますので関係会社貸付金は回収できない可能性が高いのでこれは含めない方がよさそうです。

となると現金化しやすそうな資金は177億円となりますね。

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一方流動負債は67億円、固定負債を含めた負債の合計も105億円ほどですから資金的には大分余裕があるようです。

しかし4~6月の売上げの大不振と7月に入ってもまだ回復しそうにない状況を考えると、ここから資金の流出が続いている事も予想できます。

どの程度の資金が流出していると考えられるのでしょうか?

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具体的な数字は分かりませんが、固定費に近いと考えられる給与・賞与などの人件費が205億円、家賃が大半を占めると考えられる賃借料が113億円ほどある事が分かります。

単純に12で割ると1ヶ月に26.5億円ほどかかる計算になります、しかしアルバイトスタッフが多い業態ですし、家賃の減額などもありそうですので結構減っているでしょう。

とはいえ減っているとしても人件費と家賃だけでも10~18億円ほどはかかっていそうで、4月5月は売上が前期比で10%台ですしもちろん他の変動費も掛かっていますから、1ヶ月で10~20億円近いのキャッシュアウトが起こっていてもおかしくはありません。

かなり危機的な状況ですが、先ほど見た通りで手元資金177億円に対して流動負債は67億円と、100億以上の余裕資金がありましたので今のところはまだ厳しい状況とはいえ余力はありそうです。

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さらに200億円の借入を実施したようですので手元資金はかなり余力がありそうです。

資金的な余裕はまだありそうでしたがどうして新たに200億円もの借入をしたのでしょうか?

もちろん今後の見通しが立たないために手元資金を増やしておきたいというのが1番の理由でしょう、低金利なので多少の利息払っても手元資金を潤沢にして起きたい状況ですよね。

もうひとつ考えられるのは、廃業してしまうお店が増える可能性が高いので逆に出店チャンスともなるという事です。
好立地の店舗に空きが出れば、出店を行う可能性は十分にあるでしょう。

という事で、4~6月の月次は大きく悪化していますし需要の回復はまだしばらくおこらなそうだという事で、短期的にはかなりの大赤字となる事を予測します!!

しかし資金的にはまだまだ余力がありますので廃業などによって出てきた好立地店舗を確保できれば、長期的に見れば業績が向上する事も予測します!!


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