大公開!!妄想する決算流だれでも決算書を読めるようになる方法

今回は誰でも決算書が読めるようになる方法を公開してみようと思います。

実はこのnoteの読者の方はすでに決算書が読めます!!
うん、驚きですね。

書き始めの頃はそうでは無かったのですが、途中からこのnoteは単純な3つのルールのもと書き進めていました。
その3つのルールとは、このnoteを読んでいただければ誰でも決算書が読めるようになるためのものです。

とりあえずその3つルールからご紹介しようと思います。
ルール①企業間比較を行わず期間比較だけを行う。
ルール②会計用語や指標をなるべく使わない
ルール③なるべく毎回同じ手順で読む

まず①についてですが、決算書を読む・企業分析をする際の主な方法としては(1)企業間比較(2)期間比較の2つがあります。

企業間比較は例えばトヨタと日産を比べて、「トヨタの方がこの部分がいいよね」とか「日産はこの部分がいいよね」といった感じで他社との比較で結論を出すものです。

一方期間比較とは、トヨタだけの業績を期間ごとに比べて「この部分が良くなってる」とか「この部分が悪くなってる」など1社の期間ごとの比較で結論を出すものです。

企業間比較も重要なのですが、私の思いとしては「多くの人が決算を読めるようになって会計の最低限の知識を持ってる人増えたらいいよね」というのがあります。

そのためにはまず1社だけに絞れる期間比較の方が取り組みやすいだろうと期間比較だけを行ってきました。

次に②難しい用語や指標を使わないです。
多くの企業分析というのは、この指標がこうだからこの会社はいいんだ悪いんだといったものが多いです。
もちろんそれはそれでいいのですが、詳しくない方からすると知らない指標や専門的な用語は中々頭に入りませんよね。
少なくとも私の頭脳では無理です。

それに、専門的な会計の知識や指標などが無くても十分に決算書を読めますのでそれを実感してもらおうと思っていました。

あと、指標自体が基本的に企業間比較を行うためのものですので単純に相性が悪いという事もあります。

そして、私の記事をいくつか読んだことがある方はお気づきかもしれませんが、毎回同じような手順で記事を書いています。

これは書くときに楽だという個人的な理由もあるのですが、毎回同じ手順で読めるという事は、再現性があるという事です。
それを伝えるためにも毎回同じような手順で書き進めていました。

という事で①~③からも分かる通りで難しい用語や指標を知らずとも、方法を知っていれば決算が読めてしまうという事です。

妄想する決算流決算書の読み方

それではそろそろ本題に入りましょう。
今回は駐車場の経営などを行うパーク24の決算を例にして決算書の読み方を実践してみようと思います。

7つのステップを踏むだけです。

ステップ1.事業セグメントを見て売上と利益を分解して事業内容を把握する

複数の事業を行っている企業は「事業セグメント」という事業単位ごとに分けた、売上や利益などの情報を提供している事が多いです。
ここを見てみると、どのような事業をどのような規模で行っている企業なのかが分かります。

それでは早速パーク24で見ていきましょう。

パーク24の事業セグメントは①駐車場事業国内②モビリティ事業(レンタカーやカーシェア)③駐車場事業海外の3つとなっています。
国内外で駐車場事業を行っていて、レンタカーやカーシェアなどの事業も展開している事が分かります。

それでは続いて事業セグメントで売上を分解して構成比率を見てみます。
①駐車場事業国内:49%
②モビリティ事業:29%
③駐車場事業海外:22%

国内の駐車場のイメージが強いパーク24ですが、その構成比率は約半分ほどでモビリティ事業や海外事業の規模も大きい事が分かります。
人によってはすでに、イメージと違っていたりするかもしれません。

続いて事業セグメント別のセグメント利益の額を見てみます。
①駐車場事業国内:84億円
②モビリティ事業:46億円
③駐車場事業海外:1億円

利益面でも国内駐車場が最も規模が大きいですが、モビリティ事業の規模も大きい事が分かります。そして海外駐車場事業は収益性が低いですね。
海外事業は売上では一定の規模がありますが、利益面に大きな影響を与えるのは国内事業だと分かります。

という事で、パーク24は国内の駐車場やレンタカー、カーシェアなどの影響を受けやすく、移動需要の影響を受けやすい事が分かりました。

売上と利益を事業セグメントで分解してみると、どのような企業でどういった市場の影響を受けやすいかが分かるという事ですね。

ステップ2.業績の推移を確認する

事業内容が分かったら続いて、業績の推移を見てみます。
目的によってどのような期間で見ても問題ありません。

今回はコロナ禍を経て直近までにどのような変化があったかを知りたいと思いますので、2019年10月期1Qから直近の2024年10月期1Qまでの、ここ数年間の1Qの業績の推移を見てみます。

まず売上の推移を見てみると、2021年10月期1Q(2020年11月~2021年1月)に大きく下落し、その後は回復傾向となり2024年10月期の1Qにはコロナ以前を上回る水準まで増加しています。

経常利益は2021年10月期1Qに赤字転落となり、その後は回復が進み直近の2024年10月期の1Qにはコロナ以前を大きく上回る利益水準となっています。

コロナ禍では業績を悪化させたものの、直近ではコロナ以前を上回り非常に好調になっていた事が分かります。

もう少し詳しく2019年10月期の1Q→2024年10月期の1Qのセグメント別の業績の変化を見てみると以下の通りです。
売上高
①駐車場事業国内:403億円→423億円
②モビリティ事業:214億円→253億円
③駐車場事業海外:174億円→192億円

経常利益
①駐車場事業国内:69億円→84億円
②モビリティ事業:13億円→46億円
③駐車場事業海外:6億円→1億円

主力の国内駐車場事業とモビリティ事業の好調が、コロナ以前を上回る好業績の要因だという事が分かります。

ステップ3.業績の推移の理由を考える、疑問点を出す。

では続いてどうしてこのような業績の推移になっていたのか、その理由を考えて、疑問点を出してみましょう。

先ほど事業内容を確認したようにパーク24は国内駐車場とモビリティー事業の規模が大きいですから国内の車での移動需要に業績が左右されます。

なので、2021年10月期の1Qに大きく業績を悪化させていた要因はコロナ禍での移動需要の減少だという事は分かると思います。
そしてその後、移動需要の回復が進み業績が回復した事も直感的に理解できると思います。

ですが直近では、国内駐車場とモビリティー事業がコロナ以前を上回り好調となっていました。

移動需要が回復したとはいえ、コロナ以前を大きく上回っているとは考えられませんし、そういった中で業績が大きく上回っているというのは不思議ですね。

業績の推移を見てみると、このように疑問点が見つかる事があります。
小さな疑問や、「なんで売上が伸びているんだろう?」みたいな単純な事でもいいので疑問点を見つけてみましょう。

ステップ4.疑問点について調べてみる。

では続いて生まれた疑問点について、その理由を調べてみます。

企業側が出してくれている資料がいくつかあり、そこで業績の変化に関する理由を解説してくれています。

例えば、どの企業も開示する必要がある「有価証券報告書」の<経営成績に関する説明>というところや、企業が独自に作れる「決算説明会資料」では、より分かりやすく説明してくれていたりします。
そういったものをチェックしてみるといいですね。

もちろん会社側は、なるべく良く見せたいわけですから丸々それだけを鵜呑みにするわけにはいきませんが、基本的にはその通りだと思いながら読み進めていって問題ありません。

今回は、決算説明会資料から変動の要因を確認していきます。

まず、駐車場事業国内をもう少し詳しく見てみると、コロナ禍で駐車場の運営件数が減少している事が分かります。
売上高に関しても2024年10月期1Qは2020年10月期の1Qと比べると減少している状況です。

一方で事業利益率は高まっており、駐車場当たりの収益性が高まっていた事が分かります。

パーク24はコロナ禍で駐車場の需要が低迷する中で、より筋肉質な経営を目指し、コスト管理の徹底や不採算事業からの撤退など収益性を重視した経営を進めていました。

駐車場の需要が回復する中でもその成果が続いており、利益面がコロナ以前を上回るような好調になっていたという事ですね。

平時であれば中々進みにくいような大きな改革が進んでおり、コロナの影響はパーク24にとってマイナスの影響だけではなかった事が分かります。

続いてモビリティ事業を見ていくと、台数と会員数が共に増加しています。
特に会員数に関しては大きな成長が続いています。

カーシェアは成長事業で、成長が続いた事で好調だったという事が分かります。

好調な2事業ですが、好調の要因は別なんですね。

ステップ5.今後の施策を確認する

続いて今後のために、どのような施策を進めていこうとしているのか確認していきましょう。

パーク24の駐車場事業国内では、筋肉質な経営を維持したまま規模の拡大を進めていこうとしています。

モビリティ事業では車両台数を拡大させて、事業の拡大を進めていこうとしています。

各事業とも拡大を目指しており、運営件数を減らし収益性の改善を進めていた駐車場事業国内でも、再拡大を目指していこうとしている事が分かります。

移動需要が回復する中で単純な収益性改善のフェーズではなくなったという事ですね。

ステップ6.知っている知識や知見も活用して今後について考えてみる

さて、ここまでで「どのような企業なのか」「どういった業績の推移になっているのか」「どうして変化があったのか」「今後どういった変化を進めていこうとしているのか」が分かりました。

考える前提が整ったという事ですから、今後について自分なりに考えて調べられるものは調べてみましょう。

そんなに難しい事でなくて構いません。

例えばすごく単純な点では、国内駐車場事業は、収益性が改善しているものの運営件数は減少していますし、今後の業績拡大にはカーシェアリングの拡大が重要だと考えられると思います。

なので「カーシェアリングの市場が拡大するのだろうか?」かは重要になりますね。
こういった調べればわかるものは、ググってみると市場予測など出てきます。
今後の市場予測が分かりますから、それによってどの程度拡大が期待できるかが分かります。

他にも、もう少し長期的な視点では「自動運転になったらどうなるんだろうか?」なんて事を考えてもいいかもしれません。

いわゆるMaaS化が進めば、駐車場の需要が減る可能性がありますしカーシェアも需要が減少するかもしれません。

一方でカーシェアを「車両を保有してユーザーに貸し出すサービス」だと考えればむしろ自動運転化、MaaS化の中で自動運転の車両を提供する事業基盤が整っているという事で、タクシー会社を代替するようなモビリティ企業としての変化が期待できるかもしれませんね。

どのような事でもいいので考えたり、調べたりしてみましょう。

自身の他業界の専門知識や経験などを組み合わせてみると、他の人では気付く事が出来ない点に気付ける可能性がありますから、おすすめです。

これを続けていくと様々な情報が結び付き始めるので、一気に決算書を読む力も思考力も伸びていくと思います。

ステップ7.自分なりの総括をする

今後がどうなるかまで考えてみたところで、最終的にまとめて総括してみたら終了です。

パーク24は国内駐車場やモビリティ事業が主力の企業で、国内の移動需要に業績が左右されやすい企業です。
直近はコロナ以前を大きく上回り好調で、その要因は国内駐車場事業ではコロナ禍で進めていた筋肉質な経営への改革が進んだことと、モビリティ事業の拡大が続いている事です。

移動需要も回復する中で今後は国内駐車場事業の再拡大と、モビリティ事業のさらなる拡大を目指しています。
カーシェアは市場の拡大が続く事が期待されますし、コロナを経て平時では進まないような筋肉質な経営への改革が進んだ駐車場事業国内も再拡大による業績の拡大が期待できます。

今後も好業績が続く事が期待できそうです。

また、自動運転化が進む中ではモビリティ企業への転換も考えられますから長期的な変化にも注目です。

このように、これまでの流れをまとめてみると企業の全体像がつかめた事が分かると思います。

という事で、この7つのステップで会計の専門的な知識や難しい指標などを見なくても決算書が読めるようになる事をお分かりいただけたと思います。

妄想する決算流決算書の読み方7ステップ!!

それでは最後におさらいです。

ステップ1.事業セグメントを見て売上と利益を分解し事業内容を把握する
ステップ2.業績の推移を見てみる
ステップ3.業績の推移の理由を考える、疑問点を出す。
ステップ4.疑問点について調べてみる
ステップ5.今後の施策を確認する
ステップ6.知っている他の知識と組み合わせて、自分なりに考えてみる
ステップ7.自分なりの総括をする

それではみなさんも是非こちらの7ステップを利用して、決算書を読んでみてください。

以上決算書の読み方講座でした!!

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