JR東日本が終電繰り上げをするようなのでJR各社の月次推移をまとめてその理由を考えてみる

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回はいつものように個別企業の決算を見ていくのではなくJR各社の月次業績の推移を見ていこうと思います。

さて早速ですがこんなニュースがありました。

JR東日本の終電繰り上げ 東京駅から100キロ圏内対象
「スイカ」を使った回数券サービスも
サービス・食品
2020/9/3 17:36

JR東日本は3日、2021年春のダイヤ改正で、東京駅から100キロ圏内のほぼすべての路線で終電の時刻を繰り上げると発表した。首都圏全域で同時に繰り上げるのはJR東の発足以来初めて。合わせて交通系ICカード「Suica(スイカ)」を回数券のように使えるポイントサービスを導入し、利便性の向上も図る。

繰り上げは山手線や中央線などで実施する計画で、10月に路線ごとの繰り上げ時間を発表する。終着駅の到着時刻をおおむね30分程度繰り上げ、午前1時ごろに設定。一部路線では始発の時間も遅くする予定だ。深沢祐二社長は3日の定例会見で「対象は列車キロ全体の1%未満なので、収入への影響はほぼない。安定的に運行するのに必要だと利用者の皆さんに理解していただきたい」と説明した。

どうやらJR東日本は東京駅から100キロ県内のほぼ全ての路線で終電時刻の繰り上げを行うようです。

さらにこんなニュースもありました。

深沢社長は将来、定期券を料金別に複数用意する考えも示した。「どの時間でも使える定期は少し値上げして、その代わりオフピークの定期は値段を下げることで提供したい」(深沢社長)という。

将来的にはどの時間ども使える定期に関しては値上げの意向を見せているようです。

都心部では以前から通学、通勤時の混雑を避けるために電車のダイナミックプライシングなどが検討されていましたがそれが現実味を帯びているようです。

今回はなぜ終電を繰り上げる事になるのか、ダイナミックプライシングを導入していく事になるのかなどを現在のJR各社の業績から考えていこうと思います。

それでは早速ですが、JR各社の月次業績(売上の前期比)の推移をまとめてみましたのでご覧ください。※以下の数字は定期収入を除いた数字です。

①JR東日本(東日本旅客鉄道)
                      4月           5月          6月           7月            8月
近距離  :25.5%      27.7%      55.8%        58.5%        57.1%
中長距離 :2.1%        5.5%        26.4%        26.3%        23.8%
1Q 売上高:55.2%減 営業利益:1446億円の黒字→1783億円の赤字

②JR東海(東海旅客鉄道)
                      4月           5月          6月           7月            8月
新幹線  :10%         10%        16%           34%           24%
名古屋近郊:43%         36%        67%           68%           60%
1Q 売上高:72.7%減 営業利益:2062億円の黒字→836億円の赤字

③JR西日本(西日本旅客鉄道) ※新幹線はこだまやのぞみなど個別集計のため幅があります
                      4月           5月          6月           7月            8月
新幹線  :8-16%   7-16%   24-37%  30-42%  22-25%
在来線  :29%    32%    62%    64%     58%
1Q 売上高:55.3%減 営業利益:660億円の黒字→942億円の赤字

④JR九州(九州旅客鉄道)
                      4月           5月          6月           7月            8月
新幹線  :18.4%      15.2%       39.3%       47.5%        29.9%
近距離  :31.9%      35.4%       60.0%       61.9%        51.0%
中長距離 :9.1%        12.9%       33.7%       33.8%        27.4%
1Q 売上高:38.4%減 営業利益:154億円の黒字→157億円の赤字

全ての鉄道会社で1Qは赤字転落となっており、さらに緊急事態宣言明けも新幹線や中長距離に関しては3割程度しか戻っておらず、在来線など近距離の移動に関しても6割程度と鉄道業界全体が相当厳しい状況にいる事が分かります。

そして全体的にみて6月7月と回復傾向にあったものの8月に入ってから業績が悪化しており人出が減っている事が分かりますね。
特に新幹線や中長距離の客足が減少していますから8月に入ってからは東京での感染者数の増加とともに再び新型コロナのニュースが大きく報道された影響が大きいと考えられます。

最近では、感染者数も落ち着いていますし自民党総裁選の話題の方が盛り上がりを見せて新型コロナの報道も減っていますから9月は多少の回復は期待できるかもしれません。

しかし長距離の移動は3割程度しか回復していないようですから、観光業は本当に危機的状況が続いている事が容易に想像がつきます。

個別に見てみるとJR東海が最も売上が悪化しており1Qは72.7%減となってしまっているようです、もともと在来線よりも東海道新幹線の売上が大きかったので大幅減の影響を受けていると考えられますね。
ここの路線はビジネス利用もかなり多く、オンラインでの打ち合わせが増えその需要の減少は元に戻りそうもないので回復は難しそうです。

さて利益面で見るとJR東日本の赤字幅が最も大きいですね、JR各社は鉄道だけでなく、都市開発や不動産ホテル事業など他分野へも展開しているのでもちろん単純比較はできないのですが、これだけ利益が悪化してしまった理由は走っている電車の本数の多さが影響してしまっていると考えられます。

電車を走らせるコストは乗客数にかかわらずほぼ一定ですから、より多くの乗客を乗せたほうが利益が出るわけで、逆に不採算となってしまった便は走らせれば走らせるほど赤字が膨らんでいきます。

なので最も多くの本数を走らせているJR東日本で不採算の便が増えた事で最も利益面で悪化してしまってると考えられるという事です。

さてそうなってくると、終電を繰り上げたい理由やダイナミックプライシングを導入したい理由が見えてきます。

まずはリモートワークが一般化していけば会社の飲み会は長期的に減少が考えられますから、これだけ利益が悪化している中で不採算となる深夜の便を減らしたいはずで、ダイナミックプライシングで需要をもう少し平準化する事で不採算の便を減らしていきたいという事ですね。

それにしても、JRのどこの地方を見ても人の移動はまだまだ回復していないようで特に長距離の移動は3割ほどと全く回復を見せていません、新型コロナが流行してからは7割経済などとよく言われますが全くそこにも到達していませんね。
このままだと多くの観光業が大打撃を受けて観光資源が失われて行ってしまう可能性がありますので、感染症対策は必要でしょうがそろそろ観光を再開する方が増えてくることを期待したいところです。

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