婚活サービス、IBJの決算から考える今後とオンラインお見合いの面白いデータ

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今回見ていくのは株式会社IBJです、婚活サービスを提供している会社です。

この会社は以前記事を書いた「この会社の決算読んで欲しいという要望を大募集します!!」にてTwitterからご要望いただきました。
どうもありがとうございます!!
他にもご要望くださった皆様もありがとうございます、全ては難しいですが機会を見つけて徐々に読んでいこうと思います。
ちなみにまだまだ大募集中です!!

婚活サービスの会社というのは、自分では決算を読もうと思ったことが無くIBJの存在も初めて知り、とても新鮮でしたので是非読みたいぞと思いました。

ざっくりですが、人口減少の中で婚活サービスというのは縮小していくのではないかと想定できますが、IBJの今後がどうなるのかについて考えていきましょう。

まずはこちらの資料をご覧ください。

売上高は5.7%減の34.5億円、営業利益は26%増の5.3億円、純利益は34.1%増の3.2億円となっていることが分かります。

減収ながらも増益となっているようです。
ではどうして減収ながらも増益を達成できたのでしょうか?

IBJの事業セグメントは①婚活事業②ライフデザイン事業と2つある事が分かります。
ちなみに婚活事業は、結婚相談所や婚活パーティーなど、ライフデザイン事業とは、新婚旅行を中心とした旅行事業や結婚式上の紹介などその他にも多数の事業を行っているようです。(詳しくはこちら)

そして各事業の売上と利益の推移は
①婚活事業:売上25億円→25.1億円・利益は6.74億円→7.96億円
②ライフデザイン事業:売上11.6億円→9.4億円・利益1.7億円→90万円の赤字
となっておりライフデザイン事業が業績悪化したことが減収要因だと分かります。

ライフデザイン事業で業績が悪化した要因は、新型コロナの影響で特に新婚旅行などを取り扱う旅行事業が悪化してしまったからのようです。

この決算は2020年1月~3月ですから、その後に新型コロナの影響が本格化し旅行需要がゼロに近くなりましたし、結婚式の中止も相次いだ事を考えるとライフデザイン事業はさらに業績が悪化していそうです)。

また、婚活事業ではイベント等の減少や参加人数の減少があり、それに伴い新規会員数は減少してしまったようですが既存会員については成約率が上昇がしたようです。

震災などの危機が起きると人との結びつきが重視され結婚率が上がったりしますが、今回の新型コロナでも同様の動きがあったのかもしれません。
また、今回は外出自粛で新しく人と会う機会が減少してしまいましたから、結婚願望のある既存会員の方からすると、数少ない出会いの場で成約率が上がるというのは納得です。

という事は、新型コロナによる自粛が本格化する次の決算でも成約率はある程度望めそうです。

一方イベントの中止や縮小によって売上原価が10.1億円→7億円へと大きく減少している事が分かります。

つまり今回の増益の要因はイベントを中止や縮小したことによってコストが減少した一方で、成約率は高まったので売上が確保出来たことだと考えられますね。

では今回の新型コロナは追い風といえるのでしょうか?

実は全くそうではないと考えています。
IBJのビジネスモデルを考えると、結婚まで至った会員は当然抜けていきますので成約率が高まれば高まるほど、新規会員の獲得をし続ける必要が出てきます。

新規会員数こそが今後の収益の源泉となるわけです。

しかし先ほども書いた通り、イベントの中止や縮小が続いたために新規会員数は減少傾向にあったわけです。
この傾向は4~6月も継続しているでしょうから、将来の収益源が減少していっているという事が想定できますよね。

実際に大きな入会同線として婚活パーティーを上げていますから、この入会同線の1つが失われている状況にあるわけですので、中長期的にみれば将来の収益の源泉を失っていますので、今回の新型コロナは大打撃だと考えられますね。

また、新型コロナが落ち着いてくれば、新規会員数を増加させるためにリアルイベントを増やしていくことが想定できます。
そうなった際には、一時的なコスト負担が大きくなる一方で既存会員数は減少しているでしょうから、大きな業績悪化があるかもしれません。

IBJ自体も大幅な下方修正を行っている事が分かります、新規入会者は減っていますしライフスタイル事業の方もさらに悪化している事が考えられますから当然ですね。

新型コロナの影響が本格化した後こも既存会員の高い成約率が続く、一方でイベント中止によりコスト減少が起きている事が考えられます。

そうなると成約者が抜けていき徐々にその好影響ががなくなっていきますから、徐々に業績悪化が続きそうです。

今後が厳しい状況にありそうなIBJですが、どのような施策を取るのでしょうか?

どうやら新型コロナの自粛期間はオンラインお見合いを増やしており、今後は継続的にオンラインお見合いを行っていくようです。

そして、この資料が面白かったのですがオンラインお見合いだと交際への発展率は高く、対面では3割に比べオンラインでは5割ほどあるようです。

オンラインの方が交際発展率が高い理由ははっきりとは分かりませんが、データの対象としているのが新型コロナによる自粛期間ですから、このオンラインお見合い以外では新しい出会いが無かったことや、単純に人と会う機会が減った事で人恋しさを感じていたというだけ、という可能性がありますから、もう少し長期的なデータを見たいところですね。

しかし、オンラインの方が緊張しないので初対面では仲良くなりやすいとか、情報量が少ないほうがリアルで会いたくなるなどの理由で本質的に交際発展率が上がるのであれば、オンラインお見合いも事業として面白いかもしれません。
新型コロナの影響が減ってからの、データが出てくるのが楽しみです。

ただしオンライン上の事業はライバルも多いですし、参入障壁も低いので競合が増える可能性も高いです。

となるとやはり、積み上げてきたものが大きいリアルとオンラインの組み合わせが大切になるはずで、新型コロナの影響が落ち着けば改めてリアルの方を押していく必要性があるでしょう。

という事で短期的には、旅行関連の悪化を中心にライフスタイル事業は大きく悪化、婚活事業は既存会員からの収益は得られる一方で新規入会者の減少が続くので業績悪化が続くことを予測します!!

中期的に考えてみても、新型コロナの影響が弱まってきた後には新規会員獲得のためにリアルイベントなどを増やしていくでしょうが、そのリアルイベントのコストが増加、さらには新規会員が減少している影響が響き一時的に大きな業績の悪化が起こる事を予測します!!

会員数の推移やオンラインお見合いの今後に注目です!!

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