日産自動車の決算から学ぶ、デリバティブ取引と未来

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていくのは日産自動車です。(過去記事:日産自動車は業績不振だから増配が避けられない)

こんなニュースがありました。

日産自の4~12月期、純利益88%減 世界で販売台数が減少
日産自動車(7201)が13日発表した2019年4~12月期の連結決算は、純利益が88%減の392億円だった。米国や欧州など世界で販売が減少したほか、為替の円高や研究開発費の増加が重荷となった。
売上高は12%減の7兆5072億円だった。グローバルの販売台数は前年同期比8.1%減の369万7000台だった。
営業利益は83%減の543億円だった。為替の円高の影響が約500億円あったほか原料費の増加なども響いた。
同時に発表した20年3月期通期の連結業績予想は売上高が前期比12%減の10兆2000億円、
営業利益が73%減の850億円、純利益が80%減の650億円に下方修正した。
従来予想は売上高が8%減の10兆6000億円、営業利益は53%減の1500億円、純利益は66%減の1100億円だった。

どうやら業績が大幅に悪化したようですね、業績回復の可能性はあるのかどうか考えてみましょう。

面白ポイント!!デリバティブ

先ほどのニュースに「為替の円高の影響が約500億円あった」とあります、円安が進んだ影響で材料等の調達コストがかさんだのでしょう。
日産としても為替の影響を受けすぎないようにしている対策があります、それがデリバティブ取引です、それではデリバティブ取引を決算から見てみましょう。

こちらの資料をご覧ください。

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為替差損・益という項目とデリバティブ収入・損失という項目がありますね、為替差損・益とはその言葉の通り為替の影響で出た損益の事です。

ではデリバティブ収入・損失とは何でしょうか?

デリバティブ取引はいくつか種類があるのですが、日産の場合は為替の変動によって業績に与える影響を少なくするためにしている取引です。

例えばアメリカの取引とのために、100万ドルを1ドル100円で1億円で準備していたとします。
為替が99円になると100万円の損失が出てしまいますよね、為替は1企業ではどうすることも出来ないのでそれは困るわけです。
そこでドルを売っておくわけです。(先に売っておいて後から買い戻す・信用取引的な感じで、証拠金入れておけば現物を持っていなくても取引が出来る)
1ドル100円で100万ドル分売っておけば、ドルが99円になった時には100万円の利益が出るので為替の影響が無くなるというわけです。

このドルを売るという取引をデリバティブ取引と呼びます、その他にも有名なものだと先物取引などもデリバティブ取引の1つです。

先ほどの資料を改めてみてみましょう。

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為替差損が出ているときにはデリバティブ収益、為替差益が出ているときにはデリバティブ損失が出ていることが分かります。

為替の影響を少なくするためのデリバティブ取引をしているという事なんですね。

日産自動車の未来!!

こちらの資料をご覧ください。

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日産の業績不振の理由は何と言っても販売台数の不振です。

ここ最近の問題で、イメージの悪化は非常に大きいですから販売台数が回復していく事は難しいでしょう。

では業績回復の可能性は無いのでしょうか?

これに関しては、回復は難しいとは思いますが今後悪化していくかというと一概にそうとも言い切れません。
こちらの資料をご覧ください。

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販売奨励金というのが利益の大きなプラス要因であることが分かります。
ゴーン体制の日産は販売台数の拡大を優先しており、1台売ったらいくら払うよというような販売奨励金を多く渡していました。
しかし、ゴーン体制以後は販売台数へのこだわりを捨て販売奨励金を減らしているようです、つまり業績を回復するためには販売台数を以前の水準まで戻す必要性はないという事です。

さらに昨期の広告費800億円から今期は670憶円へと減らしています、現状のような悪いイメージを持たれている状況だと広告が逆影響になってしまうのでさらに広告費を減らすのではないでしょうか。

という事で短期的には広告費の減少と、販売奨励金の減少で販売台数が下がってもある程度の利益は確保できる可能性があります。

しかし自動車産業が大変革期を迎えているこの時期に、これだけの問題を抱えてしまったのは長期的に見れば詰みに近い状況だと考えます。

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