オリエンタルランドの決算から考える大赤字だけどディズニーランド大丈夫?
どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
今回見ていくのは株式会社オリエンタルランドです、もちろんディズニーランドを運営している会社です。
オリエンタルランドに関しては以前にこんな記事を書きましたのでよろしければどうぞ。
決算から考えるディズニーランド1か月以上休園してもつぶれないの?
さて、こんなニュースがありました。
ディズニー休業で95%減収、赤字最大248億円 OLC
4~6月最終
2020/7/30 16:21 (2020/7/30 19:47更新)
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)は30日、2020年4~6月期の連結最終損益が248億円の赤字(前年同期は229億円の黒字)になったと発表した。東日本大震災があった11年1~3月期の103億円を上回り過去最大の赤字だった。TDRやホテルの休業で売上高がほぼなくなった。
2020年4月~6月は全期間でテーマパークは休園していましたから、そのの影響でオリエンタルランドは過去最大の赤字となってしまったようです。
今回はそんなオリエンタルランドの今後について考えていきましょう。
売上高は94.9%減の61.6億円、営業利益は319億円の黒字→156億円の赤字、純利益は229億円の黒字→248億円の赤字となっており、物凄い業績の悪化をしている事が分かりますね。
とはいえ4月~6月は全期間でパークの休園をしていましたから分かり切っていた事で、市場のコンセンサス予測では経常利益で337億円の赤字予測でしたから、むしろよく152億円の赤字に抑えたなという感じです。
ただし、新型コロナによる休園の影響は211億円ほど特別損失として計上しています(予測されていた経常利益の計算には含まれていないという事です)のでそれを加味すると予測を下回っているとも考えられますので、その点には注意が必要です。
以前の記事にも書きましたが、オリエンタルランドは非常に財務体質が盤石でした。
とはいえこれだけの大赤字ですからダメージは大きいはずです、現在はどのような状況になっているのでしょうか?
まず、現預金、売掛金、有価証券などの手元資金は1910億円ほどあることが分かります。
一方、短期的な負債である流動負債は847億円ほどしかなく、短期・長期の負債全てを合計しても1744億円ほどですから、手元資金で足りているという事でいまだに財務体質は盤石だという事が分かります。
ディズニーランドはまだまだ大丈夫そうですね!!
しかし、手元資金の推移を見てみると2020年3月末には現預金、売掛金、有価証券の合計で2883億円ありましたから3ヶ月で973億円も減少してしまっている事が分かります。
このペースで資金を失うようであれば、余裕があるような状況ではありません。
もう少し具体的に、資産と負債の変動をみてみると、建設仮勘定(新アトラクションなどの建設途中の投資)が314億円ほど増加しており、流動負債も157億円ほど減少しています。
さらに流動資産のその他という項目が91億円も増加している事が分かります。
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金として、需給が確実と見込まれる金額を合理的に算出し控除しております。
との表現からも分かる通りで、雇用調整助成金は未受給のものが多いと考えられますので、その他の増加分は雇用調整助成金の未受給分だと推測でき、この金額は近い内に入金があると考えられます。
という事で、手元資金の減少973億円から、建設仮勘定314億円の増加、流動負債157億円の減少、雇用調整助成金の未受給と考えられる91億円を考慮してみると、投資を除く休業期間中の3ヶ月の活動の中で実質的に資金が流出したのは411億円と考えられますね。
今でこそまだまだ余力のあるオリエンタルランドですが、再び数か月の休業となると楽観視できる状況ではないと分かります。
とはいえ、ファンも非常に多いのでいざとなれば借入の余裕はまだまだありますからオリエンタルランドの経営が行き詰まるような事は考えにくいです。
しかし多くの取引業者にとってはそうではないかもしれません、オリエンタルランドほどの規模の会社となると、オリエンタルランドとの取引が大半という取引先は多いでしょう。
今もまだテーマパークの入場規制をしたり、パークすべてを開放している状況ではありませんので、このままの状況が長期化したり今後また休業となるような事があれば取引先の中には、もたないところが出てくると考えた方がいいでしょう。
また、オリエンタルランドもこうやって休園で大きな資金を失っている事からも分かるように、他のテーマパークも大打撃を受けている事は想像できます。
となると財務体質が盤石ではない多くのテーマパークは休業によって危機的な状況に陥っているのは間違いないでしょう。
感染症対策は非常に重要ですが、いたずらに危機感だけをあおるような事をしていると本当にもうもたない企業が出てくることを意識したほうがいいと思います。
オリエンタルランドは今後の入場者数に関しては徐々に入場制限を緩和するものの引き続き入園者数を制限するとしています。
最近はまた新型コロナに対するネガティブな空気感が増加し始めており、東京や大阪などでは飲食店の時短営業を求めるというような話も出ています。
これまでの新型コロナ関連の流れでは、平等意識が世間を動かす側面が非常に強いので「飲食店はダメなのにテーマパークは」とか、「旅行は自粛しろと言われているのにテーマパークは」などという声が増える事は十分に予測できます。
となるとオリエンタルランド側からすると敵を増やすことが出来ない事業内容なので、入場者数の制限を大きく緩和できるのはまだまだ先になるのでは無いでしょうか。
という事はしばらくの間は売上が大きく回復するとは考えずらいため、しばらくの間は業績の低迷が続く事を予測します!!
しかし、個人的にはテーマパークは今後さらに強くなるとも考えています。
ここ最近の旅行やレジャーの流れとしてはSNS重視だったと思います、SNSでいいねをもらうための旅行ですね。
しかし、新型コロナによって旅行に行ってもSNSに写真を上げるようなことは難しくなっており、それはしばらくの間続きそうです。
となるとSNS重視よりも、実際に行って自分が楽しいところに需要が集まることが予測できます。
となると、分かりやすくアトラクションもあり顧客を楽しませることに注力してきたオリエンタルランドなどのテーマパーク人気というのは再び拡大するのではないでしょうか。
という事で長期的には再び業績回復・向上という事が起こると予測します!!