Lyft投資と持分法から見る楽天の未来

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

今日見ていく会社は前回に引き楽天株式会社です。(前回記事はこちら)
前回も紹介したこちらのニュースをご覧ください。

楽天株式会社(本社:東京都世田谷区/代表取締役会長兼社長:三木谷浩史)は2019年11月5日、同社が株式を約11%保有する米ライドシェア大手Lyft(リフト)の市場価格が著しく下落していると判断し、2019年12月期第3四半期(2019年7〜9月)決算で減損損失を計上する見込みだと発表した。報道発表によれば、減損損失の額は約1030億円に上るという。

さて、前回はこのLyftへの投資は実は成功している事を紹介しました。(前回記事はこちら)

今回はLyft投資の損益の中身について詳しく見ていこうと思います。

面白いポイント!!持分法適用

次の資料をご覧ください

まず図にあるROIとは投資利益率です。
ざっくりいうとLyftの投資額に対して55%もうけているという事ですね。

またLyftに対する損益が3つに分かれていることが分かりますね。

①で971億円の利益を出し
②で253億円の損失を出し
③で923億円の損失を出しています

楽天のLyft 投資に対して何が起きているのか見ていきましょう

まず出資をすると株式が手に入りますね、そして株式は時価評価をすることが原則です。
Lyftなどは最近まで未上場株式でした、このような株式も合理的な算定方法を利用して評価額を出します。

その評価額に対して毎期損益を計上するわけですね。

さて、先ほどの①部分で何が起きたかというとLyft の上場です。これによって市場価格が決定され、楽天が未上場時に算定していた額よりも一気に高値を付ける事になります。

さきほどの説明の通り株式は時価評価ですから、未上場時の算定価格と市場価格への上昇分まで①の971億円の利益を出すことになります。

その後②で何が起きたのかというと持分法適用会社としました。
持分法とは何でしょうか?

ざっくり説明すると、子会社未満だけど関係性強いよねって会社です(詳しく知りたい方はこちら)

この持分法を適用するとどうなるのかというと、例えば持分法適用会社の株式を30%保有していて、その会社が利益1000万円だとします。

そうすると1000万円×30%=300万円を持分法による投資利益として計上します。

つまり持分法を適用した会社の株式の保有比率分だけ、その会社の損失や利益を計上するという事です。

つまり②の253億円の損失とはLyftが出した損失のうち楽天の保有比率である12%程度を計上しているという事になりますので今後も同程度の損失を計上し続ける可能性があるという事です。

ここが重要なポイントで持分法を適用すると株式であっても時価評価の対象外となります。
そこが①時点との大きな違いです、ですがそのかわり大きく株価が値下がりしたときは時価評価しなければなりません。
③部分の減損とは大きく値下がりしたことによって、株式の時価評価をしたための損失です。
上場後Lyftは大きく株価を下げてしまっていたため起こったわけです。

楽天の未来と持分法の適用理由!!

基本的に持分法を適用するのは、保有比率が20%以上50%未満であることが多いです、もちろん影響力基準といって20%未満でも影響力が強い時は持分法適用しましょうっていうルールはあるのですが、12%程度の保有比率である楽天はわざわざ持分法適用会社としたのでしょうか?

それはLyft株式は株価が大きく変動していたため、持分法適用会社とすることで、時価評価による業績の大きな不確定要因を無くしたかったからだと考えられます。

市場の予想は立ちませんから、株価が乱高下することで決算内容が変わってしまうと、今後の通信への大規模投資の時期などに決算の見通しが立たないくなって困るわけです。

また、Lyftとはアメリカのライドシェアの会社であり、基本的には今後も自動運転普及までしばらくの間は多額の赤字を計上する可能性が高いとみられています。

つまり楽天は今後も持分法による投資損失を計上する可能性が高く、業績の下振れ要因を抱えている事が分かりますね。
ちなみに株価には織り込み済みなはずなので、持分法による投資損失が出たからといって株価の下落要因にはなりずらいので注意です

損失が高確率で出るにも関わらず、それを予測可能な数字にしたという事からも、通信事業への本気度が感じられるのではないでしょうか

社運をかけるようなチャレンジをしてきている楽天の通信事業に注目です!!

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