明治HDの決算から考えるうがい薬が業績へ与える影響と、うがい薬は値段が上がると価値が下がる話。

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。

早速ですがこんなニュースがありました。

政府もうがい薬の効果注視-吉村知事の発表に批判も、明治株は反落

軽症患者の臨床研究で陽性率低下-知事は予防効果はないとツイート
都内ドラッグストアでは店頭から製品消える、ネット通販でも品切れ
大阪府の吉村洋文知事がうがい薬の成分「ポビドンヨード」で新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待できることを確認したと発表したことを受けて、菅義偉官房長官は5日、「政府としてもこの研究の状況をしっかり注視していきたい」と述べた。前日に急騰した関連銘柄の株価が5日の取引では反落した。
  吉村知事は4日の府庁での会見で、大阪はびきの医療センターの臨床研究で、同成分を含んだうがい薬を使うことでコロナの陽性者が減少していくとの知見が得られたことを紹介。法律の関係で効能については言えないとした上で、大阪府の宿泊療養施設で同意を得た上で軽症者の全員にうがい薬を使用してもらうようにしたいと述べた。
  この発言を受けて同成分を含んだうがい薬を販売する明治ホールディングス(HD)の株価は同日、一時2018年11月8日以降で最大の日中上昇率となる7.7%高の8990円まで上昇。都内のドラッグストアにも消費者が殺到し、店頭から該当の製品が消えた。
  しかし、その後、買い急ぎをあおる形となった吉村知事の発表のやり方に会員制交流サイト(SNS)などで批判の声が続出。明治HDの株価は5日、一時前日比5.6%安と下落に転じた。吉村知事自身も同日のツイッターへの投稿で、「誤解なきよう申し上げると、うがい薬でコロナ予防効果が見られるものではありません」と弁明。発表は「感染拡大防止の挑戦」の意図があったとした。

どうやら吉村大阪府知事がポビドンヨードを含む、うがい薬を使うことで新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待できることを確認したと発表した事で、ポビドンヨードを含むうがい薬を販売している明治HDは発表があった8月4日に株価が7.7%も上昇したようです。
しかし8月5日には5.6%安となってしまったようですね。

今回はいつもとは違い、うがい薬の販売が明治HDの業績に与えるインパクトは実際どのくらいなのかについて見ていきましょう。

それではまずこちらの資料をご覧ください。

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まず、明治の売上高は1兆2527億円ほどあり、営業利益は1027億円ほどあることが分かります。
明治は流石の1兆円企業ですね。

画像2

続いて事業セグメントとしては①食品と②医療品の2つある事が分かりますね。
①食品事業:売上高1兆561億円・利益847億円
②医療品事業:売上高1986億円・利益142億円
となっている事が分かります。

うがい薬が含まれている医療品セグメントは、食品に比べると売上は5分の1弱、利益面では6分の1ほどとなっており、そもそも医療品セグメントが業績に与える影響はそこまで大きくない事が分かりますね。

画像3

さらにうがい薬は明治からは主力品としてとらえられていないことが分かります。

なので具体的な売上規模は分からなかったのですが、主力品の最小売上がシクレストの43億円ですからうがい薬の規模はそれより小さいと考えられます。
また、この主力製品だけの売上げを合計してみると819億円ですから、先ほどの資料の医療品セグメントの売上は1986億円から考えると1000億円以上は別の製品での売上となっているわけです。
となるとうがい薬は数億円~十数億円ほどの売上があってもおかしくはないですね。
ものすごい単純計算ですのでざっくりと規模感をつかむだけになりますが、医療品セグメントの利益率は7.1%ですから、うがい薬の利益は1000万円~1億円程度だと考えられます。

明治にとってはそもそも医療品セグメントは食品に比べて非常に規模が小さい上に、1兆円以上の売上がある中で数億円~十数億円程度の売上だとすると非常に規模が小さく業績に与えるインパクトは小さそうです。

それこそ売上が2倍3倍となったとしても、100億円の売上には到達することはまずなさそうですが、ものすごく下駄を履かせて見積もって100億円の売上となり先ほどの単純計算を使って利益は7億円ほど出たとしましょう。
2020年3月期の売上は1兆2527億円で、営業利益は1027億円ですから売上に与える影響は0.8%程度で、営業利益に与える影響は0.7%程度となります。

つまり結論としては、うがい薬が明治の業績に与える影響は軽微だという事です。
吉村知事の発言から翌日には株価が大きく下落しているのも納得という感じですね。

ここからは完全に余談となりますが、当初のニュースにもあった通りどうやらうがい薬でも買い占めが起こって品切れになってしまったようです。

そもそものうがい薬の効果については専門外であり誤った知識伝えられませんので言及はしません。
ただ一つ間違いなく言える事は、買い占めするのだけは意味が無いよねという事です。

吉村知事自身も同日のツイッターへの投稿で、「誤解なきよう申し上げると、うがい薬でコロナ予防効果が見られるものではありません」と弁明。発表は「感染拡大防止の挑戦」の意図があったとした。

とのニュースからも分かる通りで、新型コロナの予防になるわけではありません。

つまり効果がもしあるのだとしたら感染者やウィルスを持った方がうがいをしてウィルスを減らすことで感染拡大を防ぐためのものだという事です。

つまり多くの人に普及してこそ初めて価値が出る可能性があるよねという事であって、自分一人が持っていたからといって何ら意味の無いものだという事です。

マスクが不足していた際にもさんざん飛沫感染を防ぐためなんだから多くの人の手に渡ったほうが全体としては得だよね、買い占めても意味ないよねという話がされていましたが、こんな短期間で同じ過ちを繰り返してしまうのには非常に残念です。

まあメルカリなどではうがい薬の値段がかなり上がっているようですので、転売ヤーが買い占めてかなり値段を吊り上げいるという理由も大きいのでしょうが。

ただし一つ大事なポイントは値段が上がれば上がるほど多くの人の手には渡らなくなるという事です。
つまり、多くの人の手に渡ってようやく価値があるかもという商品なわけですから、値段の上昇とともに実質的な価値が下落しているという事です。

うがい薬を買うかどうかは、もちろん自己判断ですので私が口出しする事ではありませんが、値段が上がると価値が下がってるよねという事は頭に入れておいた方がいいのではないでしょうか。

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