量子暗号が今後の東芝の業績にどの程度影響があるのか書いてみる

どうもコージです!
私は、毎日決算書を読んで企業の未来を妄想しています。
そんな私が決算書の中で面白かったポイント、未来への妄想ポイントを説明しています。
記事一覧

以前に東芝の記事を書いた際に、子会社買収のニュースから新しい事業への投資にしっかりお金をかけることは難しいと考える理由を説明しました。
その記事はこちら,

そんな東芝ですがこんなニュースがありました。

東芝と東北大学は14日、光の粒子(光子)に暗号データを載せる量子暗号通信技術を使って、ヒトゲノム(人間の全遺伝情報)解析データの伝送に成功したと発表した。量子暗号通信は理論上、外部の解読や盗聴が不可能とされる次世代技術で、実際に大容量データの安全な送受信を実証したのは世界で初めて。東芝は今後、秘匿性が必要なゲノム医療や金融取引などの分野で実用化を目指す。

量子暗号通信技術を使って大容量データ送信に世界初で成功したようです。

量子暗号って必要なの?

そもそも量子暗号って必要なのかどうかから説明していきましょう。

私も専門家ではありませんし、詳しく説明しようと思うと時間がかかりますので、とてもざっくりした説明をします。

いま世界では量子コンピューターの開発が日進月歩で進んでいます。
グーグルの量子超越性に関するニュースは大きな話題になりました。

さて量子コンピュータが出来るとなにが起きてくるのかというと、その一つに既存の暗号技術が効かなくなる可能性があるわけです。

それはどうしてでしょうか?

既存の暗号化技術は、古典コンピュータ(量子コンピュータじゃない普通のコンピュータ)が計算に時間のかかる因数分解をもとに作られているものが多くあります。

古典コンピュータでは総当り的に因数分解を解くのでとても時間がかかるんです。

ですが、これが量子コンピュータになると総当り的ではなく1度の計算で並列的に解けるようになるため、解ける速度がめちゃくちゃ早くなるわけです。

そのために、盗聴不可能と考えられている量子暗号の実用化が必要なわけですね。

量子暗号が東芝の業績に与える影響!!

こちらの資料をご覧ください

画像1

東芝は2035年に2兆円を超える市場規模に成長すると考えているようです。
ですがこれは独自の試算であるため注意が必要です。

リサーチ・アンド・マーケット社が発行したレポートによると、2027年までの量子暗号市場の年間平均成長率は39.2%になり、現在の約1億ドルから2027年には19億9610万ドルの市場規模になるという。

このような記事もあるため、東芝の試算は過大である可能性もあります。

ですが大きく成長する市場であることは間違いありません。

どちらの試算にせよ、今後5年程度で見ると市場規模は数百億~1,2千億程度である可能性が高いですね。

そう考えると実用化して、市場シェアの2割とったとしても売上規模は数十億~数百億、利益も数十億程度にとどまる可能性は高そうです。

東芝の売上は3.6兆円ほどありますから、数年程度で見ると業績に影響を与えるような事業にはなりえないでしょう。

しかし、15年20年のスパンで考えると主力事業に育つ可能性がありますね。
前回の記事でも書きましたが東芝は国内インフラがメインのため日本経済の縮小とともに会社も縮小していく可能性が高いです。

量子暗号は世界で戦える技術ですから、長期スパンで見たときには重要な事業になりえます。

市場が成長しなければ、どうしようもないですから量子暗号の市場がどのように成長するのかに注目です!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?