飯塚うなぎ

妖精大図鑑という創作ユニットに所属しています。脚本を書いたり美術を作ったり、照明をやっ…

飯塚うなぎ

妖精大図鑑という創作ユニットに所属しています。脚本を書いたり美術を作ったり、照明をやってみたりなんだりかんだり。

最近の記事

魔法使い居そうの話

家から駅までの道のりに、魔法使いが居そうなスポットが二箇所ある。 一軒目は花屋さん。 夜遅くまでやっている花屋さんで、お爺さんとお婆さんのお二人で営んでいるご様子。近隣には他にも花屋さんはあるのだけど、特にここはなんかセンスが好き。様々な種類の植物が所狭しと置かれているのが、様になっているというか、ちょっと雑然としているというか、なんかそういうのも良い。 魔法の材料っぽく見える。特に夜。 温度を保つためだと思われるガラスのケースから漏れ出る灯りも良い。なんだかとっても怪しく

    • 音楽のこと別に好きじゃないんだなと思った話

      嫌いな訳ではなく。 いわゆる音楽好きな人の話を見たり聞いたりしていると、彼ら彼女らとは見えてる世界、もとい聞こえてる世界が違うっぽいぞ?と高校のあたりでうっすら気付きました。 音楽が好きな人って、それこそ音?そのものを?楽しんでるんだな〜と。 私には聞き取れない、読み取れていない情報。音楽という言語。 わかっている人同士では、それこそ会話してるみたいに情報のキャッチボールがあるみたい。 歌詞がとか、その曲が伝える世界感がとか、背負ってる設定的なところにどうしても自分は意識

      • 上演台本『カレンダー☆ドリーム』

        こちらは2019年「The Bonustrack presents COUNTDOWN KAGURAZAKA 19▶︎20」参加作品の妖精大図鑑『カレンダー☆ドリーム』の上演台本です。 12月28日という年の瀬に行われた公演だったので、年越しに向かうカレンダーのお話にしました。ドリームと名がついている通り、夢のような取り留めのなさ。何?なんなの?と読み返すたびに首を捻る作品です。 妖精大図鑑 『カレンダー☆ドリーム』 〈12月28日〉 卓球少女のもとにピンポン球がやってく

        • 上演台本『ダンスリライトのための超市場的幻想曲』

          こちらは2021年、吉祥寺ダンスリライトvol.2参加作品の妖精大図鑑『ダンスリライトのための超市場的幻想曲』の上演台本です。 ダンスを再定義するというテーマで、永野百合子と相談してネタ出しをしました。ダンスショーケースでこんなにいっぱい喋らせていただけるとは… 妖精大図鑑 『ダンスリライトのための超市場的幻想曲』 舞台上に段ボールが一つ。永野はその段ボール箱を開く。 箱の中身を見て何か驚く。 段ボール箱をひっくり返し、何かを探す永野。 永野:…え、嘘でしょ。え、無い。

        魔法使い居そうの話

          考え事の話

          ぼやっと考え事をしながら生活をするじゃないですか。 考えようと思って考えている奴じゃなくて、 なんとなくふと思いついた事について、 これってこういうことなのかな〜とか、こうだったりして…? とぼやっと思いつき、 大体のことは特に結論が出るわけでもなく、 ふーむ…と感嘆符で終わるだけの奴。 電車に乗っていたり、 掃除機をかけていたり、 寝る前にぼやっと立ち現れては消えていく。 影のうっすい亡霊みたいな考え事たち。 あれなんなんでしょうね。 ぼやぼやしているから根拠もあった

          あだ名の話

          なんでうなぎなんですか? 飯塚うなぎなんてふざけた名前で活動していると、大体の人に聞かれます。 聞かない人も多分思っている事でしょう。なんでうなぎなの? その疑問は至極真っ当! そして答えはとっても簡単。 顔がうなぎっぽいから。 と言うのもですね、うなぎと言うあだ名は中学校の時につけられました。 学区の関係で、通っていた小学校と中学校はほとんど同級生が被りませんでした。 自分が通っていた小学校から同じ中学校に上がったのは、10人いるかいないか位。 あとはみんな初対面。ほとん

          台本冒頭「無関係のジョバンニ」

          こちらは2023年上演、妖精大図鑑「無関係のジョバンニ」上演台本の冒頭です。 吉祥寺シアターで上演する作品ということで、舞台奥にあるシャッターで遊ぼうと思いました。世界にある門や扉の伝説をかき集め、シャッターの向こう側には何がある?と想像します。妖精大図鑑ってなんなんだろう。結成10周年の記念に、妖精大図鑑とは結局なんなのか?という御伽噺を書きました。 妖精大図鑑 「無関係のジョバンニ」 黒い舞台、そこにはまだ誰もいない。 舞台奥にはシャッターがある。 長いこと開いたこと

          台本冒頭「無関係のジョバンニ」

          台本冒頭「ASAKUSA THUNDER GATE」

          こちらは2022年上演、妖精大図鑑「ASAKUSA THUNDER GATE」上演台本の冒頭です。 浅草で上演ということで、観光について。そしてその時心を占めていたオタクのことをテーマに「推しのライブのチケットに当選して初めて地球にやってくる女の子の話」を書きました。 妖精大図鑑 「ASAKUSA THUNDER GATE」 【天の川銀河の一角にて前口上】 天の川銀河の一角。舞台上には観測者が一人。 みしらぬミチ: 宇宙に一千億個あるという銀河、の中の一つ、天の川銀河

          台本冒頭「ASAKUSA THUNDER GATE」

          台本冒頭「会議は踊る」

          こちらは2022年上演、妖精大図鑑「会議は踊る」上演台本の冒頭です。 「会議は踊る」はウィーン会議での話がまとまらず社交ダンスばっか踊ってる様子を批判した一言「会議は踊るされど進まず」から取ったタイトルです。話し合っても何も決まらない虚無の時間をテーマに、妖精たちが通う妖精学園達の不毛で、でもどこか愉快な学級会議を描きます。修学旅行の行き先を決めるのってなんであんなにワクワクしてまとまらないんだろう。 妖精大図鑑 「会議は踊る」 明転。死屍累々の教室。 ナレーション:

          台本冒頭「会議は踊る」

          台本冒頭「YOKOHAMA Ammonite Night」

          こちらは2021年上演、妖精大図鑑「YOKOHAMA Ammonite Night」上演台本の冒頭です。 YOKOHAMA Ammonite Nightはその名の通り横浜での公演を想定して書きました。ランドマークタワーの大理石の壁には、アンモナイトの化石が埋まっているらしい。そこから着想し、古代生物と現代の人間、それから遠い未来で人間の化石を観測するであろう未来の研究者が、いなくなってしまったものを想像したり懐かしがったり。かつてそこに居たけど、もう会わなくなってしまった友

          台本冒頭「YOKOHAMA Ammonite Night」

          右眼球破裂と診断書に書かれた時の話

          noteをやってみたら?と何人かから言ってもらえたので、ふと思い立ってアカウントを立ち上げてみました。妖精大図鑑という団体で舞台作品などを作ったりなんだりしています。飯塚うなぎと申します。 さて、何を書いてみようかしらと考えて、なんか面白い話あったかな… 他の人はあんまり経験してないんじゃなかろうかと思ったので、ここはひとつ、「右眼球破裂」と診断書を出された時の話でも。 もう10年くらい前のことなので、正直ところどころあやふやだけど。完全に忘れる前に書き出してみます。 大

          右眼球破裂と診断書に書かれた時の話