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少年ナイフが好き

少年ナイフが好きです。

90年代くらいから日本に逆上陸という感じで出てきたと思うんですが、今思うとあの頃のロック界の具合と少年ナイフってすごくマッチしていたように思います。でも、流行りに乗っかっただけじゃなくて、その時のノリのまま今の今まで続いてるんだから、大変なロックバンドですねえ。

結成からから約40年、日本でのメジャーデビューアルバムのリリースから28年、今でもずっと同じ芸風(?)、同じ熱量で活躍しているって、よく考えるとすさまじいことです。すさまじく感じないところがまたすさまじい。

私が初めて聴いたのはテレビのコマーシャルでした。何のコマーシャルか忘れましたが「Get The Wow」がテレビから聴こえてきたのを聴いて、けっこうビックリしたのを覚えています。曲が猛烈にカッコいいことと、演奏が猛烈に荒いことに衝撃を受けました。今思えば、これぞガレージ、グランジ、オルタナなんだよと説明できるのですが。

「Get The Wow」が収録されている日本でのメジャーデビューアルバム「Let's Knife」を買い、その後「Rock Animals」(これはとても好きなアルバムです)やベスト盤など少し買ったところで、以降はたまにアルバムを買いはしたもののそこまで深く聴き込むこともなかったんです。それでも常に気になる存在として意識はしていました。

それから随分時が流れて、少年ナイフに強く意識が向いたきっかけはまたしてもテレビでした。「モヤモヤさまぁ~ず」は割とBGMの選曲が面白いと常々思っていたんですが、ある日の放送で「Blue Oyster Cult」が流れたんです。

聴いた瞬間、少年ナイフの曲だとすぐにわかりました。それにしても、演奏の荒さは当時持っていたイメージに輪をかけてすさまじい(笑)。そんなことはさておき、何というセンスの良さ。なんじゃこりゃあ。

それからさらに年月が流れて、つい去年くらいのことです。今は動画配信サイトという暇つぶしには格好のモノがありますから、なんとなく関連動画をサーフィンしていたところ、少年ナイフの動画を見つけて曲を聴いてみました。

これまた荒い!荒すぎる!でも超カッコいい!そして楽しい!

「Baggs」は超カッコいいロックですが、歌詞については「るいびとん」って言いたいだけじゃないのか。しかしそれが良いんです。良すぎるんです。

それをきっかけに、少年ナイフのことは長いこと気にしているのにまだ聴いたことがない曲がたくさんあるなと思い、CDを5~6枚買って改めて聴いてみました。

「Blue Oyster Cult」「Baggs」が収録されているアルバムは、「Let's Knife」より前に海外でリリースされたアルバムのようです。「712」すごいアルバムです。好きなことをやってむき出しでお送りしますみたいな。これがロックなんです。

少年ナイフを見ていると、ひとつ思うことがあるんです。

ミュージシャンって、売れるとおかしくなる人がいるじゃないですか。名声やお金で買えるものの方が音楽よりも好きだったことが判明してしまうタイプの人が。

いや、名声やお金が大好き丸出しでもいいんです。それ以上に音楽が好きで好きで仕方ないことが体から出ていれば。その音楽大好きオーラが消えちゃった人をヨゴレミュージシャン崩れと呼ぶんです。

少年ナイフはその真逆で、本当にロックが好きで好きで仕方ないから演奏するということを40年近く続けていて、それが音からギュンギュン届いてくるんです。そして、40年ずっとガレージロックスタイルで、ほとんど変わらず演奏し続けているというのもまた少年ナイフらしいなと感じます。

ラブソングがないというのもまだ面白い個性です。歌詞を見ると寿司ネタを連呼したり、アイス食べたいとか、ジェリービーンズ投げたり食べたりとか、猫でけぇ!とか。こういうのを狙ってスベるというのは厳しいですが、全くスベってません。だって、ウケ狙いみたいなものとはちょっと違いますから。ちゃんとロックの要素として成立しているところが素晴らしい。

そう言えば、今年のナイフの日(7月12日)に新曲が配信されましたね。ちくしょう、少年ナイフにちょっと泣かされるとは、不覚をとったわい。今気づきましたが、山野直子がウィルコ・モデルのテレキャス弾いてます、似合いますねえ。

少年ナイフはボンカレーと同じで、いつ食ってもどう食ってもうまいのです。そしてその変わらぬ味を、創業以来継ぎ足しているタレで・・・みたいにことさらにひけらかすでなく、好きなように作ったらセンスが抜群なもんだから我々に届く時にはちゃんといつものおいしさに仕上がっちゃっている、その感じが少年ナイフの素晴らしさです。

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