楽しいイメージトレーニングは大事
私が何かを作る時、結構じっくりと時間をかけて設計する。設計するといっても、CADを使ったりして正確な図面を描いたり、緻密な計算式を元に回路の組み立てをするというわけではない。
じっくりとかける時間は、居心地の良いロフトの安楽椅子に座りながら、大好きな音楽を、大好きな自作真空管アンプとスピーカーで聴きながら、そして、時にはうとうとしながら、「さて、今度はどんなものを作ってやろうか」とイメージを膨らましている時間が長いのである。
目をつぶって、そんな事をしていると、覚醒と睡眠の狭間で、イメージが膨らんでいく。勿論、睡魔が勝ってそのまま寝落ちしてしまったらそれに任せる。
こんな調子だからなかなか、具体的なイメージが頭の中でまとまらない。
それでも、目的である「製作」という事を意識しすぎるよりも、その時の心地よさに浸って、頭の中は、適当に縦横無尽に駆け巡っている。
この時が、最高に楽しい時間なのである。
多分知らない人が、私を見ていると、ただ、オーディオマニアのジジイが、音楽に陶酔しているとしか見えないかもしれない。
楽しい時間なので、自ずと頭の中でα波が出て、自由な空想空間を駆け巡り、いいアイデアが生まれてくる源泉になっていると思う。
そして、いいアイデアが浮かぶと、それを実現するための、具体的な図面や、回路を頭の中で組み立ててみる。頭の中なので、消しゴムはいらない。好きなように描いたり消したりして具体的な形を作ってゆく。
そして、具体的な形ができてきたら、その局所をズームしてその収まりを考える。ここを無垢板一枚で構成すると将来木が縮むから逃げをどのように作るかとか、縦方向と横方向の木の折り合いとか、どこにほぞ、さねを作って強度を出すかとか、デザインはいいのだが機械加工でどのように処理をするべきかとか、アンプ構成を初段と出力段でどの真空管を使うと見栄えが良くなるかとか、トランスの収まりを考えて全体デザインをどうするかとか、そのデザインで熱処理ができるか等々、考え始めるときりがないほどアイデアが浮かんでくる。
勿論、技術的に不明瞭なところは、参考書とネットで調べながらひとつづつ頭の中で全体像をズームイン、ズームアウトできるようにして計画を立てる。
ここまで来て納得のいくものができると漸く、紙にそのデザインを手書きでアウトプットする。もしくは、PCの回路図ソフトへ落とし込む。
この段階を踏んで、いよいよ具体的に購入するものをリストアップして実行へ移してゆくという具合である。
なので、今日も飽きもせずレコードをぐるぐる回しながら、頭の中で次の構想を練っているのである。