🔸「阪南式」脱ステ治療法

・「脱ステロイド・脱保湿」

何十年もステロイドを塗り続けている方は、皮膚が外部からのステロイド無しには正常に機能しない状態になっています。

これは佐藤先生言わく「ステロイド依存性皮膚症」の状態になっています。またその多くの方は保湿剤も同じぐらい使っているので「保湿依存症」にもなっています。

もともとステロイドは副腎及び皮膚で作られますが、幼少の時から外部よりステロイドを塗り続けることで、内部から作る機能が働くなります。

元々アトピーが年齢とともに治っていくと言われているのは、この機能が年齢とともに正常になっていくからだと阪南の先生たちはおっしゃっています。

しかし幼い時から薬漬けになると、外部から定期的にステロイドが与えられ続けるので、体が自分で作らなくてもいいと勘違いしてしまいます。そうなるとステロイドを作る機能が弱いままの状態になってしまいます。

まずはこれを改善させるためにステロイドと保湿剤を止めることで、正常な機能を取り戻していきます。そのためステロイドはもちろん、ヒルドイドやワセリン、化粧水など保湿となるものは全て使用禁止になります。

ただし長期に渡り使用していたステロイドを急に止めると、リバウンドという離脱症状が患部だけでなく全身に広がります。これは想像を絶する身体的・精神的な苦痛を伴うため、予め覚悟と強い意志が必要です。私は一人で行うのではなく、入院での脱ステ・脱保湿を強くお勧めします。

・「水分制限」

これは水分の摂取量が多いと、皮膚細胞間の水分量も増え、掻くことによりダメージを受けやすいからです。

例えば工作で使うような粘土をイメージして見てください。普通の粘土は水分があるので柔らかく、引っ掻いただけで傷ができてしまいます。しかし陽に当てて水分を飛ばした粘土は固く、少し引っ掻いただけでは傷はつきません。

これを人体で当てはめると水分があると強く引っ掻いた時、血が出るほどの大きな傷になりやすいですが、水分が少ないとそこまで達することも少なくなるのです。また滲出液がドバドバ出るのを抑える効果もあります。

1日の摂取量の目安は1,000〜1,500MLほどです。（大体夏場は1,500ML、冬場は1,000MLが目安）もちろん人によって体の大きさや元々の水分摂取量も違うので、自分なりの基準を作る必要はあります。

私はジュースや炭酸水が大好きで、常に水太りしているほどでしたから、初めのうちはこの水分制限にずいぶん苦労しました。しかし人体は不思議なもので、数週間もすれば体が慣れてきて、1日1,200MLぐらいでも大丈夫なようになりました。

なおこの水分制限時は脱水にならないように、注意しながら行ってください。脱水症状になっていないかは唇の乾き具合と、おしっこの色を見て判断します。おしっこが赤に近い濃い黄色をしていたら脱水症状気味、反対に透明に近い色だったら水分の取りすぎです。

また運動して無くなった水分は摂取可能なので、運動する前後は体重計で測り、無くなった水分量をチェックしましょう。特に脱ステ中はたった100〜200MLの摂取量の差で、意外に調子の良し悪しが分かれます。元々の水分摂取量が多い方は辛いかもしれませんが、少しづつ体を慣らしていきましょう。

・「入浴制限」

お湯のシャワーを浴びたり入浴をすると、元々少ない体の皮脂がさらに流れていったり、せっかくできたカサブタが取れてしまい、かゆみも落屑も増します。

大体週に2〜３回程度が目安で、入院中はシャワーを2〜3分ぐらいかける程度にしましょう。シャンプーは良いですが、石鹸で体を洗うのは先生の許可が出てからにしてください。

逆にあまり浴びないと、皮膚の常在菌や黄色ブドウ球菌が悪さをして細菌感染を起こす可能性もあるので、まずは目安を先生に相談しましょう。

・「肌を乾かす」

脱ステ中は皮膚を常に乾燥状態にしておくことが大切です。

一日中布団にこもっていたり、必要以上に厚着をする場合は肌が外気に触れないので、保湿状態になってしまいます。これは保湿剤を塗っているのと同じ効果になってしまうので、NGです。

・「適度な運動」

運動することによって代謝が上がれば、自然治癒力も向上してきます。

また血管が広がって血流が良くなった結果、栄養がたくさん体に運ばれるので、皮膚の再生も早くなります。最初は散歩から始めて、慣れてきたらランニングに切り替えていきましょう。心拍数120の状態が30分以上続くのが望ましいです。

以上が大まかな阪南式治療法です。

・個人的なプラスα

また個人的に良いと思ったことを下記に書きましたので、そちらも参考にしてください。

・爪切り励業
以外に見落としがちなのが爪切りです。爪が長いとそれだけ深く肌を傷つけやすいので、2〜3日に１回程度、切るように心がけましょう。

・掻き方にも工夫を
無意識に掻きぐせがついている場合も多いので、気がついたら意識して止めていきましょう。小さなことですが、傷が減る→肌の状態が良くなるの好循環ができます。これを気をつけるだけでもだいぶ変わってきますよ！

・こする、叩くのはNG
こすったり、叩きぐせは良くありません。これは目に症状がでた際、無意識にこすったり叩いてしまい、目にダメージを与えるので、最悪失明するリスクがあるからです。

・外に出る、陽の光を浴びる
多くの脱ステ患者を見て思ったのは、症状がひどい人でも頑張って外に出ている人ほど回復が早いです。

運動の効果はもちろん、脱ステに紫外線治療を施す所もあるので、適度に陽の光を浴びることも何かしら肌に良い影響を与えているもかもしれません。

また外の空気を吸い、リフレッシュすることで気持ちが前向きになれるとも考えています。体がしんどくて外に出るのは辛いという方は、日向ぼっこをしてみるだけでも違うと思いますよ。

いかがでしたでしょうか？
今回は「阪南式」脱ステ治療法をテーマに書きました。
次回は入院生活について書きますので、良かったら覗いてみてくださいね。

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