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海外リモートワーク:ビデオチャットで良いブレストはできるか?

オランダでインタラクション・デザイナーをやっています。仕事の会議を日本とする機会は多いですが、いまは便利なビデオ会議のツールがたくさんあるので、基本的には問題なく打ち合わせできてしまっています。

今日は「打ち合わせができるか」ではなくて、「(良い)ブレストができるか」について、実際にこの半年ほど海外からのリモートワーク、ビデオチャットをやってきた自分の経験をふまえて書きたいと思います。

議題がカチッと決まっていて、一週間の進捗報告会のような会議だとビデオチャットも問題ないが、雑談的な要素や「セレンディピティから生まれるアイデア」などを求める場、いわゆるブレスト的なものは、やはりリモートでは難しいのではないか、という意見も聞かれます。実際どうなのでしょうか。以下、あくまで「リモート先、遠くにいる側」の実感として、ご覧ください。

① 「1:n」の場合 △ 結構むずかしい

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例えば日本側で5〜6人で会議室にあつまって、こちらはオランダから1人で参加という場合。これはブレスト系は結構むずかしいです。議題に沿った進行の、普通の会議でギリギリくらい。大きめの部屋でむこう側が10人以上とかになったら、それでもつらいです。なにか発言するときも被告人みたいな気分になっちゃいます。

向こう側が数人でも、ブレストとして話が盛り上がり始めてしまうと、ガヤガヤして聞こえづらくなったり、発言するタイミングが難しく、リモート側は話題に乗り遅れやすいです。「一瞬、だれが言ったのか聞こえにくかった」などでついていけなくなる場合もあります。が、ブレストとして悪い状態ではないので「もっかいお願いします」とも言いづらいです。

あとは大勢いる現場側の人たち同士で顔を見あって話してしまうと、(こちらが映っている)画面に目を向けてくれなくなったりして、入るタイミングが難しいです。いくらビデオチャットツールの画面や音質がよくなっても、やはり同じ空間にいることの情報量ってすごいんだなと思います。

② 1:1(または1:1:1)の場合 ◯ 結構いける

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1対1(〜ギリ1対2くらい)だと、聞こえにくい問題も少ないし(気軽に聞き直しもできる)、お互いが画面に向かっているので動作や表情も含めて会話することができます。そうすると、雑談的な細かい話や、派生していく展開などもノッて行きやすく、結構いけます。実際に同じ空間にいるのと比べると、85点くらいかもしれませんが。十数年前と比べたら、じゅうぶんにテクノロジーの進化の恩恵をうけてる感じがします。

また、たとえば海外は自分1人:日本側に3〜4人、という場合でも、日本側の参加者がそれぞれノートパソコンの画面に向かう状況だと、わりと大丈夫です。その3人が同じ会議室にいても、あえてちょっと離れて座って(隣を見て話さない&ハウリングしないように)それぞれ画面に向かって話してもらう。

日本側の会議室としては、ちょっとヘンな状態になりますが。なのでそこまでして海外のコイツとブレストする必要あるのか(いいアイデアが生まれるのか?いいこと言えるのか?)みたいな、こちらにもちょっと変なプレッシャーは生まれちゃったりしますが、それはそれで別問題としていただきたいです。

③ 時間帯(の相性)もそろう場合 ◎なお良し

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僕の場合たまたまかもしれませんが、「海外リモート組が、自分一人ではない」という状況があります(Laboratikの仕事ではデザイナーYさんがワルシャワに住んでいて、Tamsterdamは姉妹店であるロンドンのIさんがいる、という具合)。そういうヨーロッパに居る相手と1:1でビデオチャットしてみると、日本とのチャットよりも、より盛り上がりやすいということに気づきます。

ひとつは単純に、画面越しだがリアルで近くにいる(日本との距離よりは)という連帯感は影響しているかもしれません。もう一つは、ミーティングする時間帯の問題があると思います。
発想がでやすい時間、雑談的にゆるめに話すのに向いた時間、といった参加者のバイオリズムの問題です。もちろんバイオリズムは人それぞれなのですが、近いタイムゾーンに居る者同士で話すと、そのリズムが合いやすい(マッチする確率が高い)のかもしれません。時差の問題で、片方が深夜で実はもう寝たい(余計な話なら早く終わらせたい)という状況よりは、ブレストには向いています。

「脳や気分がそういう話に向いている」というのが大事なので、必ずしも日本とヨーロッパではNGということではなく、話題に向いた状況をつくれば良いので、別のタイムゾーン同士でも工夫できると思います。片方はフレッシュな朝、片方はちょっとリラックスした夕方、といった具合で。

以上、簡単ですが、ビデオチャットでブレスト的なことをする場合の注意ポイント、工夫ポイントでした。海外に限らず、東京と大阪、福岡と北海道、といった場合のミーティングにも、同じことは言えると思います。

おまけ:顔をみて話すのが必ずしも良いとは限らない話

上の②のケースで、1:1でなくとも、1:1:1という状況(それぞれが画面に向かう)ならOK と書きました。それぞれが相手の動きや表情を見て話せるので、と。
でも一方で、実際に1:1で(たとえば時間帯も合うヨーロッパ在住同士で)話していたりすると、リラックスした状態で、画面ごしに相手の顔を見るでもなく話している時間もあって(画面共有でなにか見ていたりとかも含む)、そういう時が結構「ブレスト的」には良かったりします。

それで、むかし建築家の手塚貴晴さんがスピーチで、「見つめ合うよりも、同じものを見たほうが共感が生まれる」という話をしていたことを思い出します。若い恋人同士なら、レストランの二人席で「好き〜♡」と相手の顔を見つめ合うだけでなく、海辺の防波堤に並んで座って海をながめる「同じ方向を見つめる」時間が大切なんです、という話でした。だから手塚さんは「家族が仲良く暮らせる家」という依頼の場合にも、必ずしも中心性があり「ここで団らんが生まれます」という提案ではなくて、海に向かってメガホンのようにドーンと開いている家とか、屋根の斜面がバーンと大きくそこに家族みんなで寝転んで空を眺められる家とか、そういう空間を作っていると。

わりと相手の目を見て話さず怒られたりしがちな自分は、いたく感銘をうけた記憶があります。千葉の海際で青春時代を過ごしたので「見つめ合わない関係性」の大事さはよくわかるからです。波に向かって石投げちゃう的な。

おまけ2:シューゲイザー世代

「目をあわせない」「青春時代」といえば、ライドです。1990年代はじめ、轟音ギターにフワァーっとしたドリーミーでポップなメロディーをのせて歌うバンド達がイギリスからたくさん出てきて、彼らはシューゲイザーと呼ばれていました。下むいて歌うので。その中で僕が一番好きなバンドがRIDEです。青春です。(My Bloody Valentineも好きだけどあの人達はシューゲイザー以上の、別物という感じ。)
RIDEの、ギターにも映像にもドリーミーなエフェクトがかかったビデオを貼っておきます。

今日は絵も使った話題で文章はサクッと短めに、と思ったけどそれなりに長くなってしまった。おじさんの青春の話とか書かないのが、noteで読まれるコツだと聞いてます。ではまた次回!

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ユーザー体験をデザインする会社・TAMSTERDAM代表 / UXデザイナー。2018年からオランダ在住の3児の父。オランダで気になったデザインやUXについて書いていきます。